愛ことば･心の散歩路

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2009/08/13

^-^◆　甲子園球児と……ビジネスマン

(11)

テーマ：自分らしい生き方・お仕事(38373)

カテゴリ：カテゴリ未分類

　　　　　　……ビジネスマン

今日からお盆……遠方の伯父が、

夏休みを取って、

遥々と帰省してきた……。

本家の食卓での団らん……の席。

「康司、野球まだやってんのか？」

「…ウン…」

「真っ黒だな、相変わらず……それじゃ彼女もできんな」

「……」

「地区大会……１回戦ボーイか？……相変わらず」

「伯父さん、今年は、３回戦よ………」

「ほうーえらい頑張りやな。ピッチャーに良いのが居るんか？」

「……ウン………まぁ」

「(^。^)兄さん、兄さん！康司が、ピッチャーよ……」

「えっ！あっそうか、たいしたもんじゃないか……」

「まぁ、甲子園とは縁遠い学校だけどね……なっ、康司(^。^)」

「……」

アヤメ束.jpg

「ウチのマンションの近所にも似たような高校があってな……」

「(^。^)ああ、ああ、あれは兄さん、市立かな……？」

「ウン、時々、横を通るけど、まぁ、大変だな。ありゃー。

　泥まみれでやっとるよ。……汗と砂がブレンドされて、

　まるっきり泥化粧だ…………」

「(^。^)よく、やると思うよねぇ……康司も帰ってきたら

　クタクタで勉強どころじゃ無いらしい……。芳子に

　しょっちゅう怒鳴られとるよ……」

「凄いぞー、グランドでも、怒鳴られとるぞ！コーチか監督か

　知らんが、えげつない言葉使うなぁ……あれでも先生なんか？

　………康司？」

「多分ね………ウチは、先輩なんかも来てくれるけど……」

「よく腹立てんよなぁ、あんな風に言われて……。バカとか、

　アホとか、帰れとか、……やめてしまえとか言われとるぜ」

「……」

ハウス３.jpg

「その辺は、もう、慣れとるんじゃろう……なっ？康司(^。^)」

「いやいや、むかつくとか切れるとかいう世代だから慣れるって

　事はなかろう。……やっぱり、精神力だろうな。……強烈な

　目標を持つと、人間は信じられないくらい強くなる…………」

「(^。^)ホイ、ビール……兄さん、目標って何ね？」

「……ウン？……甲子園よ。甲子園だなぁー。……全国高校球児

　たちの頭上に、太陽のように燦然と輝く甲子園という大目標よ。

　…………高校球児にとっては、キリストにも釈迦にも匹敵する

　励みの源泉というわけだ」

「……なるほど。大きな目標の為には目先の苦労は大抵の事でも

　耐えられるって事かね……？(^。^)」

「そうそう狭い門であるだけに、その価値は一層高く確率が低い

　だけに、強烈な目標となるのよ……」

ハンドル.jpg

「(^。^)兄さん、康司んとこなんて全く可能性ないけどな……」

「おいおい、全くってのは可哀相だぜ……なっ、康司」

「……」

「ウチの会社の連中にも、甲子園があるとなぁ………？」

「えっ……？……何よ……兄さん？(^。^)」

「まぁー毎日、毎日、よく頑張ってるのよ。残業、残業でな……

　もう、それも、７～８年頑張りっ放しよ…………。ホント、

　よくやると思うよな……。それに三年先位まで、仕事は

　詰まってるんだもんな………」

「……でも、兄さん、その人達はちゃんと給料貰ってるから……。

　出世だってあるだろうし……(^。^)」

「うん、まぁ、そう言えばそうだが……、やるべき事を最低限

　やってるっていう、低いレベルじゃないのよ。…何人かの連中

　は、……考えて考えて、……工夫して工夫して……自宅にいる

　時まで考えて、………こう、何というのかなぁ。仕事に

　ドップリ浸かってるんだよな……」

「へえー！今時、そんな社員がいるの？一昔前の話みたいだね、

　兄さんとこ…………(^。^)」

どんぐり実.jpg

「うん、まぁ、一部の人間だけどな。…………しかし、それも、

　そろそろ疲れ始めたのよ。……どこまで続くぬかるみぞってな

　もんよ…………。甲子園があると、又、気合が入るんだろう

　けどなぁ」

「強烈な、目標ってわけだね、兄さん。……夢みたいなも

　んかな…………。でも、兄さん、出世っていうか、課長さんに

　なりたいとか、部長さんになろうとかってのは、目標にならな

　いの？結構、競争になるんじゃないの？(^。^)」

「……うーん、昔は結構そんな感じだったけどな……。最近の

　若い者はあまり、地位に対する執着心が無いみたいなんだ……。

　何なんだろうなぁ……。欲が無い事は無いと思うが、……欲が

　薄いっていうか…………」

「………ワシら、店やっとるから、サラリーマンのことは、

　ようわからんなぁ…………。兄さんも大変やな……(^。^)」

「何かビジネスマンの甲子園みたいなものを作らんと危ない……。

　……なっ、康司、スポーツマンのお前なら、わかるやろう？」

「……」

馬.jpg

「(^。^)康司、今日は伯父さんから、良い話、聞いたなぁ……」

「………僕は…………野球好きやから………」

「ウン？……そりゃー好きやろうな、好きじゃなきゃできんな、

　あの地獄の練習は……。……それに、甲子園があるからな」

「……ウーン、ホントのところ。甲子園は夢やから……普段は、

　みんな意識してない…………」

「そんな事なかろう………じゃー、何で頑張れるんだ？

　あんなに。………目標が無いと………なっ」

「……ウン」

「例え、実力的に甲子園の可能性は無くっても、いつも、頭上に

　燦然と輝いているだろう………？……甲子園！……燦然とな」

「………と、いうより、……巧くなりたいから……」

「ウン……？？」

「…巧くなって……レギュラー欲しいし、試合に出たいし……。

　………で、頑張れる」

「……………」

「…試合、勝つのも嬉しいけど……１年生の時より、巧くなった

　のが、もっと嬉しい………」

「………ただ、巧くなりたいってだけで、あんな、過酷な練習に

　耐えられるんか？………それだけで……？」

「……野球、好きやから……他のことより……」

「バイクとかキャンプとか……ゲームとか色々あるやろう……？」

「……ウン、……………野球してる方がいい………」

「…………結局、………………好きか………何で？」

「……何でかわからんけど、……小さい時から好きやから……。

　………巧くなりたいし…………」

「………ふーん、……好きか？……そして、上達したいか？

　……考えてみりゃ、当然の事か………」

「(^。^)…………康司は、野球以外の事はできんからな……」

「おいおい、そこまで言うかよ、親が……。……まぁ、

　打ち込めるものがあるってのは、良い事だよ……康司、

　頑張る事だな」

「……」

「会社にも、打ち込んでるヤツが居るのかな～……？」

「………？……？…兄さん、ハイ、ビール………(^。^)」

「おお……いやー今年は暑いから一段とビールが旨いなぁ……。

　………さぁ、康司も一杯いこう。……一杯位良いって……。

　江戸時代なら、とっくに元服してる……。はははっ……」

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