愛 こ と ば・心 の 散 歩 路

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2019/05/06
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 ^-^◆ GNP(元気で・長生き・ぽっくりこ)談義
 <病弱で学んだ「知らぬが仏(気にしない生き方)>【下】



「実はその頃、近隣のお寺で日曜学校というのがあってな……」

「えっ!日曜に学校ですか?」

「和尚さんが、日曜日に近隣の小学生を集めて、
 道徳や、社会教育の様なものを、
 遊びを交えてやってくれていたんだ。
 唄や手品、踊りや、クイズなどがあってとても楽しかった」

「へぇーーー、地域の社会教育ですか……。
 いいですねーー(^。^)」

「ある時な……。
 全て終わって帰る時に、円城住職に呼び止められたんだ。
 僕の態度が気になっていたらしい……。
 円城住職は、指導して頂いている若住職の父上で、
 『大和尚さん』と呼ばれていた……。
 僕にとって絶対的存在の父が、唯一尊敬していた方で、
 子供から見れば遥か雲の上の人だった……」





「へぇーーーー、そんなお偉い方に呼び止められたんですか?
 じっと、陰から見ておられたんでしようね……」

「うん……何もかも話したよ。すごく安心感の持てる方なんだ。
 住職が言われるには、
 気持ちが苦しい時『南無阿弥陀仏』と唱えなさい。
 ただ、唱えるだけで良い。
 それだけで楽になる。
 と言われるわけさ……」

「『南無阿弥陀仏』…………?」

「僕にとっては『天の声』だから、素直に受け入れたね。
 そして、説明して下さったのが、南無阿弥陀仏の意味だった。
 南無はサンスクリット語のナーマスが変じたもので帰依する、
 お任せしますという意味らしい。
 阿弥陀は無量、計り知れないという意味。
 仏は、悟りを得た人。
 つまり、
 『分かりませんので悟りを得た貴方に全てをお任せします』
 ということだった」





「……先輩、分かりませんと言うのは?」

「うん、分からないとは……何が分からないのかというと、
 自分が死ぬ時期だ。今日とも知れず明日とも知れず……だ。
 例え健常者であっても、こればかりは分からないんだ……」

「ふーーーん。それで先輩はどうされたんですか?」

「恐怖が襲ってきたり、不安が募ってくると一心不乱に、
 『南無阿弥陀仏』と唱えていたよ。
 口に出さなくても、心の中で繰り返した。
 不思議に……ホントに不思議に気持ちが楽になったもんだ。
 流石、大和尚様だよ……(^-^)」

「それが純粋な信仰心というか、それに近いものですね。
 心が楽になられたんですね……良かったですね。(*^^*)」

「中学生位になると『死』の意味が分かってくるじゃないか。
 『我思う故に我有り』だ。余計に辛いわけだ。
 『南無阿弥陀仏』の連続だったよ。
 今でもその習慣は残っていて、有り難いと思うような折に、
 『南無阿弥陀仏』が口をついて出てしまう。(^-^)」





「一種の暗示なんでしょうが、真に楽になるから良いですね。
 先輩の……純粋に信じる力のなせる業でしょうね。
 『知らぬが仏』に加えて『信じる者は強い』の体験ですね。
 しかし、先輩はそんな素晴らしい方に巡り合って、
 ついていますよ……」

「……うん、かもしれないなぁ……。お蔭さまだ……。
 中学も三年生になると『就職』を考えるようになった。
 高校まで行くと、家計に負担をかけるだけじゃなく、
 その後、まもなく死んでしまうわけだからな。
 父母に苦労かけるだけかけて死ぬ……そんなのは嫌だ。
 ……と、思った。切に思ったよ。少しでも稼いで……、
 家計を助けて、恩返しをしたい……と思って、
 就職の説明会などにも出ていたんだ……」

「先輩、偉いですね。
 子供の発想じゃありませんよ。死という、
 極限の状況を突き付けられると人は成長するんですね。
 ……で、高校には行かなかったんですね……」





「いや……それが行ったんだ……」

「ええっ、どういうことですか?」

「元担任の先生が自宅までお出でになって、
 両親を説得されたんだ……」

「ええっ!!先生が…………ですか?」

「うん、『今時は高校までが義務教育の様な世相になっている。
 将来の事を考えたら絶対に高校までは行くべきだ。
 中卒で就職したら主にライン業務になる。体ももたない』
 ってな……。僕は将来が考えられないから就職しようと
 考えたんだが……先生には言って無かった」

「……で、ご両親は?」

「我が家は経済的にも苦しかったから、そういう話と、
 息子の決意が固い……というような話をしたみたいなんだが、
 『学費は自分が出しても良い』とまて言われて困っていた」





「凄い先生ですね……。でっ、翻意されたんですね」

「うん、実はなその先生……三年生のスタートの時まで
 担任だったんだが、健康診断で引っかかって療養所に入院
 されていたんだよ。僕の事を見舞いに来た生徒から聞いて、
 30Km離れた病院から、抜け出して自宅に来られたんだ。
 僕も、涙が出てな…………。先生の熱い思いに従ったよ」

「熱血教師ですね。今時では考えられないな…………。
 善き時代でしたね」

「うん、大恩人だ。自らの本意とは違ったが魂を揺さぶられた。
 確かに、肉体労働の仕事しか就職先も無かったし……な」

「経済的な面は……どうされたんですか?まさか先生が?」

「両親もそこまでは甘えられないよ。
 とても有利な奨学金制度を紹介して下さった。それに、
 親戚中の叔父さん、叔母さんが資金援助を申し出てくれた。
 短い命だから……本音は、辛かったな…………」

「先輩、やはり『知らぬが仏』の方が、遥かに楽だったですね」

「うん、それは今でもそう思う。
 近年は、ネットで何でも調べて知る事が出来るが……。
 意思のしっかりした人なら大丈夫と思うが、僕の様な凡人は、
 なまじ知らない方が元気で居られるという事が多い。(^-^)」

「……ですね……」

「この章は、一旦この辺で閉じようかな……(^。^)」


        <続く>








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Last updated  2019/05/06 09:22:45 AM
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