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その子は、数学が得意な子である。
ところが、難しい関数の問題を解いていて、
途中の計算において、「8÷4」を「3」と 書き間違える
。
偏差値60程度の私立高校の過去問題を解いていて、
そんな、 「書き間違い」
が積み重なり、
合計得点が3~40点になる。
その得点をみて、 また書き間違える 。
そもそも、こうしたテストで
100点満点を要求されることはなくて、
70点もとれれば十分すぎると言ってよい。
だとすれば、たとえば各大問は小問3つで構成されていて、
もちろん配点は異なるものの、それを無視すれば3つの小問題のうち、はじめの2つを正解しつづければ
それで67%の正解率になるのである。
ところが、最後の3問目ができないことばかりが気になってしまう。
そして、 また書き間違える 。
一見すると、顔は笑っていて、
明るい声で
「あ、まちがえちゃった!」
と照れたように言い、
それは、見る人によっては
緊張感の足りない様子にもうつるかもしれない。
「書き間違い」は「うっかりミス」、「気持ちのゆるみ」に見えるかもしれない。
でも、その子の顔・・・いや、 「目」 をよくみるがいい。
「目」は泣いている。
よくみるがいい。彼女は、全身で震えている。
こんにちは、鎌田です。 (←ここでか)
昨日のエピソードです。
そして、 毎年のこと です。
特に女子に多いけれども、男子でも同じような子が少なくありません。その感情が、表に現れやすいか、現れにくいかの違いです。
ウチは、スタッフの業務スケジュールを
Excelで管理してるのですが、
↓ こちら、明日・あさっての備考欄。

みっしり並んでいるのは
当日にどの生徒がどの高校を受験するのか、という予定。
23日の下段には、早くも「発表」の文字も並んでいます。
明日1月22日は
東京・埼玉の私立高校入試
初日です。
ウチは、これも毎年のことだけど、県立高校志望者が7~8割。
県立入試は、もちょっと先の3月3日です。
つまり、明日からの私立入試は
「併願校=すべりどめ」であるという子がほとんどで、
冒頭の文章の子も、明日は「すべり止め」受験。
あんまり詳しくは書かないけど、
この場合、「不合格」になる可能性は極めて低い。
それでも、生徒たちにとってはそれこそ「そんなの関係ない」んです。
この数日、みんな
怖くて怖くて仕方がない。
15歳の彼らにとって
「人生が決まる」受験、生まれて初めて
「不合格」をつきつけられるかもしれないという恐怖。
これまで応援してきてくれて
今、心配そうに自分を見つめる親に対して
期待に答えられないかもしれない、
そうなったら自分はどうすればいいのか、
そういう恐怖。
もう、怖くて怖くて仕方がない。
でも、15歳の彼らは
その怖さを表出することが苦手であり、
内側にその恐怖を封じ込めようとして、
カンタンにいえば、
怖がっていることを「バレない」ようにして、
余裕があるように構えているつもりだけど、
僕には、そんなのバレバレである。
余裕があるようにふるまいながら、
涙のにじむ目で問題を見ようとして震える手で解答を書き、
そして、書き間違える。
その書き間違えをまた目にして
「自分はダメだ」、
「これじゃ『落ちる』」と、言い聞かせてしまう。
まして、ウチでは
2日前の日曜日、彼らにとって「本命」である県立入試の
予想問題演習を行っている。
現時点で、合格安全ラインに達している生徒はいない。
それも、彼らの恐怖を増長する。
「このままでは落ちてしまう。もっとがんばんなきゃ!」
それで、また問題に取り組み、また間違える。
落ち着け!!!
リラックスしろ!!!
この言葉しかないんだけど、
その言葉すらも彼らの心には届かない
そもそも「落ち着け!」ってのは
彼ら自身がとっくに自分に向けて投げかけている言葉だ。
でも、その自分の言葉にも
自分の心は従わない。
怖い。
これが、受験です。
もうね、なにをやったって
落ち着けるわけがないんです。
彼らにとって「人生が決まる受験」なんです。
僕らオトナは
「たかが高校入試でしょ?
どこの高校に行ったとしても
それで『人生』が終わるわけじゃない、
高校生にならなかったとしても、
十分幸せに生きていく道がある。
しかも、すべり止めでしょ?
ほとんど落ちないんでしょ?
そんなに緊張しなくてもいいじゃん」
って、リクツで考えられるかもしれない。
でも、15歳の彼らにとっては これは生まれて初めての
「人生を決めるテスト」なんです。
そんなテストを前に落ち着けるわけがない。
その恐怖と緊張の重圧を受けながら
それに耐えて過ごす日々、
それが受験であり、
受験の意義である
と、僕は思っています。
つまり、彼らは
この日々を送り、無事試験会場に行き、テストを受けるというそこまで達することで
「受験を乗り越えた」と言える。
毎年毎年、2日前や前日は
同じように涙目で震えていた生徒、
文字通り、恐怖で号泣する生徒、
不思議なもので、そんな彼らは
いざ入試本番においては
怖さや緊張なしで、
むしろ周囲の観察なんかをする余裕すらある状態で
試験を受けてくる子が多い
だから、本当に
今日が彼らにとって
一番苦しい日でしょうね。
「落ち着け」ってったって落ち着けるわけがない。
そんな彼らに、
せめて 「楽しめ」
と言う。
ほら、僕は絶叫マシーンが好きなわけですけどね、
ジェットコースターとかに乗るために
行列に並ぶでしょう、
並んでいる間に、なにを考えるか、
あるいは、ジェットコースターがファーストドロップに向かい、
カタカタカタカタと勾配を昇っていくでしょう、
そんときに何を考えるか、
「ああ~~、怖い!!
怖くて、おもしろい~~~><」
でしょ。
ああ、いよいよ順番が近づいてきた、
ああ、ドキドキしてきた、
ああ、緊張する、
ああ、怖い、
ああ、自分の心臓、こんなにドキドキしてるよ、
こんなに怖がってるよ、
・・・おもしろ~~~~い!!!
でしょ?
受験において、
そんな風に考えることができるかどうか
とっても難しいことだけども、
緊張、恐怖、ドキドキ、
その自分の心を観察することができればだいぶん、おもしろくなってきます。
だって、恐怖におののく自分の心、
それを見つめる自分の心は、極めて冷静
だもの。
(自分の心の動きを観察する心、
それが、僕が生徒たちに語るところの「お坊さまの気持ち」の正体です)
・・・まあそれでも、今日一日、彼らは緊張と恐怖との戦いでしょう。
それを乗り越える今日、彼らは、とっても大きな成長を遂げます。
kama
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