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~14年目の今年、「原点回帰」をテーマに、
「愛夢舎ヒストリー」を序章から再掲載しております。
現時点で、全33章。
各記事の一番下に、次章へのリンクがあります。
どうぞお楽しみください~
~~~~~~~~~~~~~~~~~
( 【第27章】へもどる )
学習塾 愛夢舎の校舎は
「一軒家」
である。
が、 佐々木 の持家ではない。
大家が存在する、 「借り家」 であった。
2000年9月
。
前の塾を閉鎖し、新しく塾を開校するにあたって、
佐々木と小田切が探し当てた物件、
それが「一件家」だった。
以来、塾としての運営ができるよう、
家の内部をさまざまに改造した。
家庭用の照明を蛍光灯にしたり、黒板を設置したり、
欄間をふさいだり、隣り合わせの部屋を壁で仕切ったり、
その逆に、仕切りを取り払ったり。
そもそもが「一軒家」であるから、
電力供給にも限界があって、
年に何度か起こる 「停電」
は、愛夢舎の風物詩ともなった。
校舎が「一軒家」であることに、
初めて訪れる人は、さまざまな反応を示す。
あるとき、生徒の保護者からこんな話を聞いた。
「チラシを見て、ここはいい塾だと思い、
息子を連れてきた。
しかし、玄関に入るとき、
『おやじ、まさかここじゃないだろうな、ここだけはやめてくれ』
と本人が拒否したが、とにかく話だけでもとやってきた。」
入塾した生徒たちは、
一様に「一軒家」を気にいってくれた。
生徒と講師の距離感は ゼロ
。
奥には台所もあって、
これ以上 「アット・ホーム」
(=家庭において)を体現した校舎も珍しい。
2008年 。
それは突然訪れた。
第三者による伝達だった。
「大家が、この一軒家を売却する予定である。」
愛夢舎の面々は、はじめはなんのことだかよくわからなかった。
「この建物が売りに出される?
じゃあ、塾は?我々は?生徒たちは?」
しかし、売却の情報は真実であったようだ。
新しい持ち主が決まって、
その持ち主が、この地において
「愛夢舎」という塾を続けて運営することを希望すれば、
今と大した違いはない。
しかし、その持ち主が、
この地を「サラ地」にすることを希望すれば、
それもその持ち主の自由。
そうなれば、 我々はここを出ていかねばならない
し、
校舎たる「一軒家」も残らない。
無論、 生徒たちの居場所も失われる 。
あまりに一方的な通達に、
正直、憤りを覚えるメンバーもいたが、
佐々木はいきなり、重大な決断を迫られた。
もし、新しい持ち主が
「一軒家での愛夢舎」を認めてくれれば
何の問題もない。生徒にも迷惑をかけずにすむ。
しかし、ひとたびその持ち主が
「出て行ってくれ」と言えば、
佐々木にはどうすることもできない。
そして、そうなる可能性は否定できない。
ならば、追い出される前に、
自ら、ベストな状態で、
他の地に拠点を移すべきではないのか。
が、またしても葛藤に陥る。
しかし、この「一軒家」あっての「愛夢舎」だ。
もし移動するとなれば、
それはおそらく、ビルのテナント。
いわゆる「塾」になってしまうであろう。
今の愛夢舎を気にいってくれている人たちには
受け入れてもらえないのではなかろうか。
「一軒家の雰囲気がよかったのに」。
そういう声がいまにも聞こえてきそうだった。
だったら、新しい持ち主が
愛夢舎に好意的であることを、ひたすら祈るか...。
しかし、佐々木は思う。
だが、待てよ。
「愛夢舎」
は、
確かに 「アット・ホーム」な塾
だ。
そう自負している。
では、「ホーム=家」とは、何だ?
もちろん、建物も「家」の要素のひとつだろう。
でも、愛夢舎が「家」たるゆえんは、
きっと、建物ではないはずだ。
いや、建物であっては困る。
「家」とは「人」だ。
愛夢舎は
「人」の集まり、
佐々木を中心とした講師陣
そして、そこに集まってくれる生徒・保護者、
支えてくれる、地域の人々。
それらによって「家」である。
ならば、建物がビルだろうがなんだろうが、関係ない。
このメンバーで
「家」をなすメンバーで続けていくことに
変わりはないのだから。
佐々木は決断を下した。
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