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2019年03月28日
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カテゴリ: 読んだ本
「失われた時を求めて~囚われの女」を読んだ。

そのせいか随所に「死んだ」とうわさされた人物が同じサロンに出席しているなどの矛盾があるし、はなはだしきはタイプ原稿が空欄ということで作中の地名などが空白のままになっている個所もある。
ただどうしたわけか、この巻は小説的には俄然面白くなっている。
今までは主人公はいわば語り手であり、そして内容も社交界の会話を延々と描写した部分が多い。それはそれで面白いのだが、当時の話題となっている政治家や芸術家に関するものが多く、注釈なしではよくわからない。そして主人公の「私」も影が薄い。父は政府高官という裕福な家庭の出身であるらしい。文学青年というだけで特に仕事をしているわけではない。ただ、才能もあり頭もよいという評価を社交界で得ており、自分の原稿が没になってもさして落ち込んでいるというわけではない。優雅な高等遊民という感じである。
ところがこの巻から主人公が動き出し、リゾート地で知り合った女性とパリで同棲を始める。同棲した女性を重荷に感じる心理と嫉妬をかきたてられ恋情が再燃する心理とが「私」の側からこれでもかこれでもかと描き出される。恋人からみれば、身勝手極まる男なのだが、意識するせざるを問わず、男性の恋情には程度の差はあっても、こうした身勝手な部分はあるのではないか。同棲にまで至った女はすでに征服された「囚われの女」であり、退屈で重荷に感じるだけというような…。一方で女性の場合は「囚われの女」となってから恋情が本格化してゆく。
「私」が同棲している恋人を夢実現の障壁と考え、彼女との別れを決意したとき、恋人は突然姿を消す。いったい何故消えたのか、彼女は今後どうなるのかというのが次巻以降の小説の興味になってゆく。こうしたストーリーとしての興味をかきたてるつくりも、今までの巻にはなかったものだ。さて、次の巻を読むのが楽しみである。





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最終更新日  2019年03月28日 21時23分28秒
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