青い空 と 風が吹く場所

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2007.09.04
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 ユタ州カナブのモーテルで朝の3時に起床。熱いシャワーにて無理やり目を覚ます。湯上りに外でタバコに火をつけて星空を見上げる。寝る前に輝いていた星々も沢山の厚い雲に覆われ始めていた。遠くの方で稲光の閃光が見えた。今日も無事なドライブが出来る事を祈る。タバコの煙が漆黒の闇に拡散していった。
 カナブのモーテルの前にルート89道がまっすぐ闇に伸びていた。部屋のキーをポストに入れて、チェックアウトを済ませる。車のエンジンは今日も快調で、深夜のドライブに備えCDをチョイスする。木村カエラのアルバムを流しながら、ゆっくりと真っ暗な道を進み始める。
 田舎道のルート89は街灯も無く、車のライトだけが頼りだ。ハイビームの光は闇に溶けていくようで、道路の反射板を頼りに80マイル(時速128キロ)で道を走りぬける。まずはページという町を目指す。ユタ州とアリゾナ州の州境に差し掛かると、厚い雲と共に稲光がいくつも東の空に見えた。雨は降らなかったが、厚い雲が太陽を遮っているのか、5時になっても明るくならなかった・・・
 アリゾナ州に入ると、ページの街までさほど時間はかからなかった。ページに入ると闇夜にグランドキャニオンダムが浮かび上がった。昨年は夕日が沈む時間にダムを見たが、暗闇の中のダムは人一人いない静けさの中、水を湛えていた。 グランドキャニオンダムは世界第2位の面積の人造湖レイクパウエルからの水を湛え、フーバーダムと共に安定的な電力をアリゾナ・ユタ・ネバダなどに供給している。ページという街は、その電力を使い工場などで栄えているのだろう、見たこともない形の工場などで街は夜でもいたる所に街灯が輝いていた。
 ページの街からルート98へ入り、田舎道を南下する。アリゾナ州を南下すると雲が少なくなり、青く白んだ空に朝日が昇り始める。殆ど車が通らない道に車を停めて、日が昇るのをしばし見ていた。 ルート98がつきあたるとルート160に合流する。ルート160を北上するようにユタ州へ再度向かうと、ケイエンタという町に到着する。
 昨年と同じようにバーガーキングで朝食をとる。バーガーキングのハンバーガーはとにかくボリュウムが凄い。そして、ワイルドな味がする、一番お気に入りのファーストフードだ。ケイエンタで給油も済ませ、ルート163に入る。後は直線的な道を進むとモニュメントバレーだ。そこで相棒に運転を代わり、助手席でしばしの休息を取る。右側の助手席から見る抜けるような青空。そして、モニュメントバレーへの道を挟むように二つの岩がそびえ立っている。遠くから見るとそれは女神のような岩であった・・・
 まだ整備されていないモニュメントバレーのビジターセンターに到着し、車を停める。本当は車で公園内を進むことが出来るが、まったく整備されていない道をレンタカーで進むのは心もとなく、昨年途中で引き返したことも考え、ナバホ族のガイドがいるジープツアーに参加することにした。60ドルで2時間のツアーと50ドルで1時間のツアーどちらか選択するように言われ、まだ朝の9時だから60ドルのジープツアーを選ぶことにした。
 ジープツアーは30分後にスタートということで、ビジターセンターから写真にあるウエスト・ミッテン・ビュートを眺める。ビジターセンターからは、3つの大きなビュート(岩)が連なる景色を眺めることが出来る。私にとってミッテン・ビュートだけは特別だ。 昨年、ロスからの旅で西部を彷徨うようにドライブして辿り着いたモニュメントバレー。雲ひとつ無い青空の下、風が吹いて呼び寄せられた錯覚に陥った。その時に見上げたモニュメントがこのウエスト・ミッテン・ビュートだからである。 アメリカの「原風景」を讃えるビュートの数々は写真には表すことの出来ない壮大さを秘めている。大自然への感動は魂を揺さぶる。



 風に舞う羽に乗って生きる人々、その子孫のナバホ族。「水の上に風が吹いて、世界が産まれた」 ナバホの教えが心に響く。そんなことを思いながら、雲が浮かぶ空と壮大な景色に意識を溶かしていった。
 時間がいつの間にか過ぎ9時半になっていた。ナバホ族の男性が声をかけてくる。どうやら、ジープツアーが出発するらしい。ベルトも無いジープに乗り込むと、1組の夫婦と、4人組のシニアのパーティーが乗り込んでくる。夫婦はアメリカ人で東部出身らしい。4人パーティーはラスベガスに在住の夫婦とソコに遊びに来たドイツ人女性2名から構成されているようだ。そのジープに日本人男性2名とナバホ族のドライバーで出発する。整備されていない道をくだり、ミッテンビュートの前を通り、エレファントビュート・スリーシスターズといわれる。岩を目指す。昨年よりも道が少し改善されているように思えた。 スリーシスターズのふもとのビューポイントではナバホ族が馬に乗り写真を撮らないかと商売をしていた。自分の足でせり出す岩場を歩いて、大地を全身で感じる。ビューポイントに着くと、ガイドがナバホの歴史と岩の名前の説明を始める。ナバホ族の儀式についての話などは、よく分からなかった。この公園を訪れた人のお金で、ナバホ族の学校や子供達の教育施設を作っているらしい。モニュメントバレーの自然公園内にもナバホの国らしく、居住区が何個かあった。 
 通常のジープツアーよりも奥まった場所まで進む。ドラゴンに似たビュート(岩)やつるつるの波のようなビュート(岩)を巡り、丘の上にそびえる、風の力で穴の開いたビュートに辿り着く。イアーオブウィンドウ「風の耳」と看板に書いてあったような気がする。そして、ジープは原風景の荒野を走りぬけ、同じく風によって穴が開いた洞穴のような場所に辿り着く。 私はあまり人が足を踏み入れない土地に感動し、アメリカ人の男二人と大地の写真などをジープから離れた場所で撮っていた。すると、風ともに不思議なエコーをした笛の音が聞えてくる。洞穴の中で、ナバホのガイドが楽器の演奏をしていた。相棒と女性人は洞穴の壁に体を預け笛の音に耳を傾けていた。遅れて3人の男が洞穴に到着する。洞穴は天井にも穴が開いており、寝そべるように壁に体を預けると青い空が見えた。そこにナバホの笛の音が複雑に響きあっていた。「出来すぎだな」と心でつぶやき、しばし、ガイドの奏でる笛の音と太鼓の音に耳を澄ます。おわんを横にした様な洞穴と天井にあいた穴で、音が複雑な反響をする。思わぬ癒しの時間を過ごす事が出来た。小さな音楽会が終わると、2時間が過ぎていた。ツアーの時間は過ぎているが、あと1時間ほどビューポイントを巡るという。時間に余裕があるため、嬉しい仕事へのアバウトさだった。岩に穴が開くのは鉱石の比率が違う場所があるからだなんて、ガイドされた。昨年、会ったナバホのお婆ちゃんは、私は死ぬまで風に舞う民の子孫でいたいんだと言っていた。西洋文明に飲み込まれながらも自然と生きることを大切にした、ナバホの精神文化だろう。 トーテムポールと呼ばれるビュート(岩)を巡り、いよいよジープツアーも終了に近づく。ナバホのガイドとは、沢山話したというわけではない。しかし、ゆったりとした話し方は、自然とともに生きる人々の素養を感じさせた。 ジープツアーに参加してよかったと感動しながら、チップを渡してナバホのガイドと別れを告げる。ビジターセンターに戻って少しみやげ物を物色すると、時計は13時を回っていた。みやげ物は何も買わなかった。大自然への感動だけで十分だった。
 モニュメントバレーは時間に余裕を持って行く事と、ジープツアーでビューポイントを巡ることをお薦めします。
 空に手をかざして、ウエスト・ミッテン・ビュートに別れを告げる。今日のもうひとつの目的地、ナバホ族の聖地「キャニオン・デ・シェイ」を目指さなければ。あと何回、この景色を見に来ることが出来るかな?アノ人にもこの景色を見せたいな、という感傷を振り切り、赤いGT6は照りつける太陽の下、走り出す・・・





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Last updated  2007.09.19 00:15:13 コメント(1) | コメントを書く
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