窓の外へ

窓の外へ

2010年09月30日
XML
カテゴリ: ピアノ
Eちゃんというピアノの生徒さんがいました。
彼女は20歳になる前にあの世へ逝ってしまいました。
彼女は15歳の時、脳腫瘍になりました。

Eちゃんは3人姉妹の真ん中の子で、私は3人にピアノを教えていました。
Eちゃんは3人の中では一番まじめで、私のアドバイスもきちんと受け取ってくれ、ピアノの練習をちゃんとやってくる子でした。
ちょっと心配だったのは、小学校の高学年になっても、中学生になっても、相変わらず天使のように素直だったことです。私の経験では、誰でも小学校4年生くらいからどんどん新しい感情が芽生え、それに伴い表情に暗さが加わり、皆大人っぽくなってゆくのですが、
彼女にはそれが見られなかったのです。

病気が発覚したのは、中学3年生になったばかりの頃でした。
「勉強でもピアノでも、どの姉妹よりも毎日こつこつと努力していたあの子がなぜ?」お母様が泣きながら言っていました。



学校で1番だった成績も、病気のために失ってしまいました。視力も以前のようには見えなくなってしまいました。
彼女が高校時代に楽しんでいたのは大好きな書道と、ピアノを弾くことでした。
ピアノも前のように覚えることができなくなっちゃったけど、弾けることを喜んでいました。前に弾いたショパンの7番のワルツをゆっくり楽しんでいました。

彼女が亡くなったのは、歳の暮れでした。
お母様から最後に彼女を見てやってほしい、彼女に私のピアノを聴かせてあげてほしい、と言われ、彼女に会いに行きました。
彼女の練習していたピアノで、彼女の大好きだったショパンの7番のワルツを弾くと、お父様が号泣して「ああ、Eちゃんが弾いているみたいだ。」「Eちゃんのピアノと同じだ。」と繰り返しおっしゃっていました。

「生きる」とはどういうことでしょうか?
私達は何かを成し遂げるために生きているのでしょうか?
その人がその人である、それ以上のことを、果たして私達は求めているのでしょうか?

私が覚えているのは、Eちゃんが楽しみながらピアノのレッスンをしていたこと。楽しみながら勉強していたこと。楽しみながらいろいろな話をしてくれていたこと。
私のイメージの中で、ショパンの7番のワルツはEちゃんの喜びで溢れています。

きっと彼女は天使だったのでしょうね。「今のよろこびが大切」と。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2010年09月30日 10時41分32秒
コメント(0) | コメントを書く
[ピアノ] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: