太田典生の「毎朝1話」良い話のおすそ分け

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2014.01.17
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こんな逸話があります。
世界的なチェロ奏者バブロ・カザルス(『鳥の歌』の演奏でも有名)が90歳のときに、彼にインタビューしたサタデー・トリビューンの編集長ノーマン・カズンズさんが次のように書いています。
部屋で待っていると、腰が曲がり、首を突き出すようにして足を引きずり、奥さんの腕にすがってピアノの前にようやく座った。
呼吸もゼイゼイと荒く、ピアノの鍵盤の上にやっと指をのせて弾き始めても、最初はリュウマチのために指も動かない。
ところが、しばらくそうしているうちに指はスッと伸び、背中はピンと緊張を帯びて、素晴らしい音を出すようになってきた。
次にブラームスのコンチェルトを弾き始めると、目も眩むような素晴らしい速さで指が鍵盤を叩き、まさに体全体が音楽に溶け込んでいる。
そして、演奏を終えたカザルスさんは、スクッと立ち上がって、今度は足など少しも引きずらないでスイスイと食堂に入っていき、食事をしながらインタビューを受けた。
カズンズさんは、「元気の源は、やはり目の前にある仕事だ。生き甲斐を持ってる人は強い」とインタビューの感想を記しています。
文字通り、仕事が彼に命を吹き込み、蘇らせたわけです。


でも、たまの休みに息抜きのためにするのなら楽しいものだが、毎日が日曜日で、寂寥の日々を埋めるためだけのものとなっては輝きを失ってしまいます。
とくに、多少の蓄えもあって時間を持て余すような人は、心の緊張がなくなって一気に歳をとりがちです。

だから、「お金の心配よりも仕事の心配が大切だ」と邱永漢さんは言いました。
食事の分量だって減るし、贅沢にもそんなに興味もなくなるので、収入なんかそんなに沢山なくてもよく、職が見つかるかどうかは、見栄にこだわるかどうかだけの問題です。
昔の同僚たちに聞かれたり、同窓会に行ったときに格好悪いなどというこだわりさえ克服できれば、ビルや駐車場の管理人、ガードマン、病院の事務員、いくらでも就職口はあるはずです。
いつまでも虚栄心など引きずらずに、そういうこだわりを捨てて、与えられた職場で力一杯生きられる人は、気持ちも前向きで明るいから人も寄ってきて新しい友達もでき、生きて行くのが楽しくなってくるはずです。





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Last updated  2014.01.17 06:16:57
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