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January 16, 2007
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カテゴリ: 読書
浅田次郎の「地下鉄にて」。やっと図書館の順番が来て読めました。

浅田次郎さんの小説は、どこか暖かい気がするのは、自分がそういうタイプのばかりを選んでいるせいもあるのだけど、「いい話だったなあ。」といつも思います。
そして意外とSFなんですね。さりげなく時間を超えているのです。

映画で話題になった「鉄道員」の時も、赤ん坊のころに死んでしまったわが子が、だんだん成長した姿で、次々と駅長の前に現れるという話でした。仕事一筋だった鉄道員のやさしさが描かれて、悲しいのですが美しい話でした。

この「地下鉄にて」も、主人公は、父親の傲慢さに耐え切れず、裕福な暮らしを捨てて家を出、しがない営業をして暮らしていたのですが、ある日突然、地下鉄を入り口にして、過去の時代と現代を行ったり来たりするようになり、父親の過去を知っていくのです。主人公の兄が自殺する日から始まって、戦後の闇市を生きる父、満州で民間人を助ける父、出征する父、そして丁稚時代の父と時間をさかのぼって出会います。

しかし東京の地下鉄は、戦前からあったのですね。
戦前のアールデコにいろどられた銀座の町、手づくりが感じられる地下鉄の造形、そして地下鉄にあこがれた人々の気持ちが丁寧に描かれていて、目に浮かぶようでした。そのすばらしいデザインを現代に残せなかったことが残念です。

その地下鉄線は戦争中も動いていて、今もまだ使われています。
今の地下鉄のホームや地下街に、昔のままの壁や地下街が残っているらしいのです。


話の方は、戦後のどさくさを上手くわたって一代で財をなした父親の若い頃は、主人公が思っていたような冷酷で金儲けだけの人間でなく、困っている人をほっておけない男気のある若者だったのでした。主人公は過去の時間に行って、若くして自殺してしまった兄を助けようとしたのですが、兄はやはり自殺してしまい、家庭の崩壊は止められなかったのでした。
しかし主人公は、自分が父親の子どもであることに誇りを持ち、自分自身の力でがんばっていこうと勇気付けられるのでした。

今の地下鉄の風景から、自分の知らない過去の世界へ。夢ではなく本当に体験していく様子が、とても不思議な感じでおもしろかったです。
ただ読み終わったのが夜中だったので、ちょっと自分も時間をワープしそうで怖かったのがおかしいですね。






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Last updated  January 17, 2007 01:16:01 AM
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