兄やんの日記。
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交通事故に遭うとスローモーションになるとはよく言ったものだ。きっと、これも同じようなものなんだと思う。一瞬のデキゴトのはずなのに、その時の記憶が幾重にも重なり残っているのだ。そして不思議なもので、そのデキゴトが起きるコンマ数秒前の感覚から記憶はスタートする。 微かに空を切る音と共に何かが落下してくるのを感じた。それは髪に当たり、皮膚を伝い、強い衝撃となって頭を襲った。同時に外側から中心に向け視界が真っ白になり、比例して意識が薄くなるのを感じる。何ができるわけでも無いが、必死にそれを拒もうと、狭まる視界の中心を保とうとする。よろめきながらも、頭の中では「何が起こったのか」幾通りのもの可能性を巡らせる。答えも出ないまま、無意識のうちにしゃがみこうもうとする。その瞬間、自分を追い越すように落下していくものを視界の端に捉える。「あぁ…そっか」と、その落下物と、何が起こったのかを理解する。"それ"が床に落ち激しい音を鳴らすと同時に、ようやく芯まで響く痛みが頭を襲った。"それ"の正体が何かって?"それ"がクローゼットの扉の上に乗せていた『物干し竿』だなんて…それに気付かず扉を閉めたら頭に落ちてきたなんて…そんなこと恥ずかしくて死んでも言えない。
2008年04月29日
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