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2018.01.08
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カテゴリ: 探訪 [再録]
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この歴史散策講座の最後が淀城跡です。
淀本町通りを抜けて、この (よど) 神社の鳥居 傍を通ってまずは淀城跡へ。


稲葉氏時代の淀城下の図 が案内板に載っています。


この図と、講座レジュメの地図に黄色い丸枠をしたところを併せてみてください。 (資料1)
地図の黒太線が主要交通路 空色に塗り替えたところが橋の架かったところ でした。併せてレジュメ掲載の見取り図を見てください。


講座レジュメに掲載の淀城復元図と、ほぼそれと同じ方向に回してみた略図をみていただくと、イメージがはっきりするでしょう。

復習の一環でネット検索して CG復元の淀城の映像を見つけました 。この秀作をさらに重ねてみることで、イメージを膨らませてください。​ こちらからご覧ください。 ​  (「3DCGでよみがえる 日本の名城」)

それでは、今の淀城跡へのご案内です。


城跡に石碑が並んでいました。その続きに、 淀城の由来の案内板 もあります。
淀藩10万2000石、春日局を出した稲葉氏の居城-享保8年(1670)に稲葉正知が入部-として明治維新をむかえた城址です。
淀城主は永井尚政-石川定之-松平光熈-松平乗邑とかわり、稲葉正知となるのです。 (資料2)

本丸区域の石垣


ここに上っていき、石垣の見学です。何となく眺めるだけでは歴史探訪にはなりません。
石垣の観察です。

天下普請を現地確認したことになります 。丸を突き抜けたXマークの刻印が一番鮮明に見えました。


石垣が積み上げられた結果、たまたま露出して見える刻印があるというだけなのですが、石垣図を作成し、どこにどんな刻印があるかをつぶさに記録したものの一部も、レジュメには添付してありました。調査報告書か専門書に掲載されていた図でしょう。
レジュメによると、ここに載せた画像の刻印は、加藤貞泰(美濃・黒濃)か前田家と記載されています。

石垣の間の通路から前方には、京阪電車のレール上の鉄骨構造が見えます。

これは、石垣の傍を離れるときに見かけました。 井戸の場所を石板で蓋をしたものだとか
(講座の受講生の会話が耳に入り、場所を確認して撮った記録写真です。)

石垣しか残っていませんし、外回りしか見られないので、淀城跡探訪はさっぱりしたものです。
この淀城は淀君の居た城址ではないのです。德川幕府としての 江戸期の淀城 なのです。この歴史探索までは、京阪電車の車窓から眺めた時は、ここが淀君の居たところと思っていました。認識を新たにした次第です。

最後に、予杼神社の境内で説明を受けました。

「もとは桂川西岸の水垂に鎮座。明治33年、淀川改修に伴い淀城跡に移転した。式内社。千観による肥前嵯峨からの移座とする伝承がある。淀姫社。」だそうです。 (資料1)
「社伝によると応和年中(961-963)、僧千観内供が肥前国佐賀郡の河上神を勧請し、このとき村上天皇がとくに正一位淀姫大明神の神号を賜ったという。この淀姫大明神というのは、神功皇后の妹にあたる豊姫である。そして相殿に自在天神管丞相之霊と千観内供を祀っている」そうです。 (資料2)
本殿
拝殿
拝殿は重文で、慶長12年(1607)建立と推定されるもののようですが、本殿は残念ながら昭和50年に焼失し、再建されたものでした。

『都名所図会』には「淀姫の社」として載っています 。校注で予杼神社だと説明が付されています。
また、千観という人は「平安中期の僧。一に勝持上人とも称す。大原野勝持寺の中興開山」だとか。 (資料3)
この項に、「宮の渡し」の説明があり、「当社の鳥居前より桂川の落合を小橋の北詰への舟わたしをいふ」という記述があります。納所の交叉点のところに、宮前橋が架かっています。この近くにたぶん、渡しがあったのでしょうね。宮前というのも、予杼神社の元の位置との関係で名づけられたように思えます。


「大坂淀屋の高灯籠」 境内・筑地塀の前にて




ふと見ると、収蔵庫のような建物の横に 鬼瓦 が展示してありました。
こんなのは初めて見ましたが、なかなかおもしろい発想ですね。こんな気軽さがいいですねえ。

さて、現在の淀城趾は京阪電車が淀付近で高架になったので、斜め上から眺める形になりました。
後日、淀屋橋に向かうときに、どんなに見えるのか関心を持って改めて眺めてみました。今は淀城址そのものをほんの一瞬しか見られませんでした・・・・
大昔は、石垣の傍のプラットホームから、石垣を眺めたものですが。

調べてみると、この淀城の辺りが色々と描かれています。古文書の絵図などの閲覧先ご紹介あるいはいくつかを引用します。

国際日本文化研究センターのデジタルアーカイブには、「都名所画譜」掲載の​ 「淀城水車(淀城)」 ​があります。 (ハイライト文字をクリックしてご覧ください。以下同じ。)

「志田染付・淀城と水車図大皿」 (「すきずき~やきもの好きの雑感あれこれ~」越前屋平太氏)
     お皿にも描かれています。


『都名所図会』の「淀川」の項 には、「河水はつねに溶々としづかにながれて、難波津へゆきかふ舟は夜とともにたえまなく、城郭の汀には水車ありて波に随ひ翻々とめぐる。領主の茶亭、橋上のゆきき、美景すい々として足らずといふことなし。」と述べています。校注では、この水車は、「城の西と北の2ヵ所にあって、城内の用水に使用した」とあります。

前回ご紹介した『澱川両岸一覧』からいくつか引用します。 (資料4)
こんな絵図が、当時の情緒を感じさせてくれます。まずは、

水車。淀城との位置関係がわかります。

淀城を迂回する形の街道には、北に小橋が架かり、南に大橋が架かっていたようです。


北側の小橋 以前は淀小橋から淀姫社が望めた ということでしょう。
淀小橋は宇治川に架かっていました。淀城地域と納所を繋いでいたのです。

南側の淀大橋 淀大橋は木津川に架かっていました 。 


城郭の雰囲気が分かります。

                    淀城 御茶屋が対岸に描かれています。

                     こちらは城郭から少し外れた郊外の感じです。
全体の図絵に付された、番号を見比べていただき、位置関係を想像してみてください。

この改訂版の作成追加で、現在の鳥羽作道(鳥羽街道)の全行程・歴史散策を一カ所にまとめることができました。
赤池を起点にした北への散策と南への散策のまとめです。
淀から鳥羽街道を経て羅城門に至る行程は、ご紹介の順序を逆転させてご覧いただき、頭の中でイメージしていただければ幸いです。

ご一読ありがとうございます。

参照資料
1) 龍谷大学REC「京都の歴史散策23~下鳥羽・淀を歩く~」(2012.5.10)
   (龍谷大学非常勤講師 松波宏隆氏 作成レジュメ)
2) 『新版 京・伏見 歴史の旅』 山本眞嗣著 山川出版社 p188-192
3)『都名所図会』[安永9年(1780)刊] 下 竹村俊則校注 角川文庫 p32,p36-37
4)『​ 澱川両岸一覧』 ​ 早稲田大学の古典籍総合データベース

補遺
淀城 ​ :ウィキペディア
淀城故址 ​ :「フィールド・ミュージアム京都」
淀城跡 ​ :「城めぐり.com」
稲葉神社(伏見区) ​ :「京都風光」
かつての水郷地-淀周辺のみどりを歩く ​ :「京都市都市緑化協会」
 「みどりのウォーキングマップ」として載っています。

  ネットに情報を掲載された皆様に感謝!

(情報提供サイトへのリンクのアクセスがネット事情でいつか途切れるかもしれません。
その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。
その点、ご寛恕ください。)

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Last updated  2018.01.08 18:07:54コメント(0) | コメントを書く


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