泡雪の日記

泡雪の日記

2004年11月15日
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親しげに、書きだしたが。


(本文中の、本のタイトル間違えている。後日、日記本文でで本の感想とタイトルの訂正を入れる。)

慎太郎さんはテニスが趣味で、昔、働いていた職場の会員だった。

当時、国会議員だったと思う。

私はテニスが苦手で、テニス仲間は居たけれど、プレイをした事が無かった。

現在もう存在しないクラブなので、ここで書いても支障が無いと思う。

何度か触れているので、私は石原慎太郎さんのフアンに成ったのは、母親の食事の後の討論会に登場することがきっかけで、文学的なフアンでは無かった。

人物そのものを、アイドル的に好きで、小学生の頃から、視界の中に有った。


横須賀線のグリーン車で遭遇した時は嬉しかった。

それから、10年後、職場で近くで接する事は想像しなかった。
人生は面白い。

その職場は、家から電車で7分。
父親が死んで、アルバイトでもしようと、尋ねたら、社員採用しか、していなくて。

偶然、社員になった。

当時、外人雇用は一般的ではなく。
大企業に、外国籍で、社員になることは、未だ少なかった。
バブルの影響で、サービス業の人員が必要で外人でも採用されたのだ。

2人採用で、フロアと事務とどちらを選ぶか二人で決めることになり、わたしは、事務よりフロアを選んだ。

会社には色んな、訳判らない役付けがある。

採用は営業。

通勤簿には「書記補2級」と書かれていた。

社員章の入った名刺を頂いた。
この社員の立場で

慎太郎氏と接していた。


テニスのお相手は、いつも決まっていた。

国会議員だから、お高く留まっているわけではない。
立場上、プライベートな会話から公の立場を利用したいと接近したがる輩も居ないではないからだ。
君子危うきに近づかず。

私の場合、親が歯医者になったのは、晩年の仕事で、父親が
若い頃は、華僑の銀行を創設していた。

そんな訳で、社会とプライベートの違いを子供の頃から、躾けられている。
簡単に言うと、立場上親が偉いからと言って、子どもや奥さんが偉いわけではない。

学校に行けば社会。
学校では、兄弟でも「兄さん、姉さん。」等のよび方をしてはいけない。
学校では、兄弟でも、「誰々さん」と呼ぶことになる。

職場での私の立場は、平たく言えばウエイトレス。
一定の条件を満たしたお客さんなので、その空間では、石原慎太郎さんが、国会議員でも、他の会員さんが、歯医者だろうが、医者だとうが大企業の社長だろうが、平等に扱う義務がある。

只、平等と言っても、一人一人の個性・性格に対しては、個別の対応を持っている。

そして、クラブハウスのフロア担当の職員は、その場は任されている。
そこがアルバイトとは少し違う立場。

石原慎太郎さんと、世間話をするようになったのは、こんなきっかけがあった。

階段下の壁面に当時の時価で、一組、2000万の絵画が掛けて有った。
ウマの絵で、4枚組みで、四季の絵だ。
入れ替えたの時、残りの3枚は見た事が有る。

季節は秋。

クラブの山で、しいたけを栽培していた。
収穫を絵の下に偶々配置されたていたワゴンの上に置かれた。

八百屋のように、山分けして。

壁面にフロアの主任が「お買い得一山500円」
と貼った。

そのテニスクラブは、遊園地の跡地。
遊園地で焼きそばを売っていた、中卒の鉄道職員がフロアの主任だった。(ここで、学歴を書くのはやはり、立場上の理解度だ)


それを見て、石原慎太郎氏は、

『これじゃ、絵がかわいそうだ。』ふと独り言でぼやいた。

わたしは、それを聞いて絵に気がついた。
壁の貼り紙はずし、ワゴンに移して貼った。

石原慎太郎さんは、私の対処を満足した。

実は、石原慎太郎さんがフロアを去ってから、主任と1悶着有った。

主任が意地になって、貼り紙を元に戻そうとした。


「主任?それでは、まるで石原慎太郎さんが言ったから、張り替えたみたいでしょ?これは、慎太郎さんのアドバイスが正しいから治したのですよ。」


男子職員は中・高卒、上司は中卒と言う、一般では余り無い状況。

女子は、全員不動産部門採用の短大・大卒の多い難しい職場だった。

ここで、わたしは、学歴の違いによる、メリットでミリットを知った。

会社での立場の学歴社会ではない。

どういう、学歴の特性が仕事場にどう反映されるかだ。
それは、別に日にまわして。

主任はしぶしぶ折れた。

それがきっかけで、石原慎太郎氏は挨拶と、軽い世間話をするようになった。
言葉を理解する、一介のウエトレスだから話しやすい。
言葉は相手が飲み込めないと、話して空しい。
共通の世間は、クラブの話。

職員の私は、子供の頃からの慎太郎さんフアンであったことはおくびにも出さない。

何故なら、ここでは特別ではないから、御気楽なのだ。
当時、「ノーと言えない日本人」?タイトル間違えてたらごめんなさい。を書いたとき。

勿論読んだ。
この一冊しか読んでない。
太陽の季節は、最初の何行かで挫折した。

そんな話に触れない。

いつものように、クラブの話になった。
殆どがクレーム話なのだが・・・・。
私は、その日、私達は、夏に衣替えをしていた。
「石原さん。確かに難点は沢山あります。
今日。私達夏の制服に衣替えしました。
この制服は、私が選びました。
どう思われますか?」
「偶にはいいところにも着目してください。」
「欠点ばかり、上げていると、いじけますよ。」

エリ、カフスを取っ払った白衣に、胸から白と紺の大きなストライプのエプロンを締めていた。
靴も革靴からデッキシューズにした。

石原先生。
素直に謝る。
『それはしつれいした。気がつかなくて。そんなんだよな~。
もっと若い者に、仕事任せればいいんだよな~。』

人格のある人は、批判を嫌わない。
気がつかなかった部分を
むしろ、取り入れる。


と笑いながら、手を振って分かれた。

ある朝。
一人で、レストルームに現れた。

『昨日、スリーナインクラブで、多摩ラケにこういうお嬢さんが居るって言っておいたからね。』
「有難うございます」

実はわたしは、そのクラブを知らない。
が、恐らく、系列のゴルフクラブなのかな?
と思った。

企業には色んな採用事情がある。
私の勤めた事業所では、不動産部の所属だが、
支配人だけ、3年に一度の入れ替えがある。

鉄道職員、ホテル職員は自分の古巣に帰りたがっている。
事業所採用は転勤が無い。

そろそろ、仕事を辞めようと思って居た。
勤めて2年半。
中卒で、採用された人に30歳からだと、中途採用では給料が追いつかない。
毎年、月額一万の昇給。

当時、会社からは年間273万。
3年間自分の総収支は420万だった。
どこかで、切らないと・・・。
人間はイデオロギーでは中々動かないが、経済で動く。

その職場は居心地よかった。
外人のコーチは『この居心地よさの中に嵌ると人間駄目になる。』といつも言う。
どこかで、脱さないと・・・・。

ここは、高級クラブ。
ガラス張りの外は、端正な庭、テニスコートが広がっている。
お客さんは、身奇麗で、仕事を忘れている。

浮世離れした場所。
『五島昇氏逝去』
ビデオが社員に配られた。
歌手かな?と思ったら、勤めている企業のドンだった。

パシフィック構想。
無くなった企業主の理念が描かれたビデオだった。
企業主が変わると経営も変わる。
構想は死んだ。

クラブは赤字覚悟の経営だった。
ある意味、別天地。

クラブも変貌し始めた。

最初にクラブから逃げたねずみは私。
湾岸戦争が始まり。
最後の一泡を掴んで。
中国に留学する事にした。
退職した。

そして、今そのクラブは存在しない。

追記。
最近、芥川賞のお陰で、慎太郎氏の本に関する、コメントが目に付くようになった。
まだ、書いているのか~。と今更のように知る。
一昨日図書館で、「日本人」ナルモノをみかけ借りた。

冒頭の文章で涙が浮かんだ。
私達は、2・3百年の時代の流れを生きている。
その時代に生まれて、幸せだという話。

わたしも、同じ感覚で生きている。
親の時代に、外人雇用は考えられなかった。
親の描いた、現実の未来は何処にも無かった。
慎太郎さんは、継母より、3つ下。
私に両親はもう居ない。

自分の親を見る感覚に換わってきた。












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最終更新日  2004年11月20日 02時46分20秒
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