突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2011.01.17
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 アルデバランとふたり、いつかあの城壁を乗り越えてこの国を出、砂漠の盗賊団として世界を駆け巡る ――― その夢は、今も熱くアルクトゥールスの血をたぎらせていた。 いや、迷宮に行くようになって、面白いように金が手に入るようになったら、夢は現実味を帯びてますます大きく膨み始めた。

 砂漠に出る前にまず馬と武器を手に入れよう。 馬は、とりあえず、小さくて丈夫なパピト馬が2頭いればいい。 武器はどんなものがいいだろう。 力の強いアルデバランにはいずれ、何か強力な武器を持たせるつもりだが、とりあえずは、俺もアルデバランも、自分の身を守るための、小型で使いやすい短刀みたいなものが一本あればいいと思う。 砂漠に出たら、話に聞くオアシスからオアシスへ、北を目指して、グルナという港町に行くのだ。 その大きな港町には、毎日、世界中から人や物が集まってくるという。 そこで、今度はあらためて、砂漠を縦横無尽に走る大きな頑丈な馬と、バルドーラ兵をも蹴散らす最新式の強力な武器と、そして、腕の立つ、信頼のできる手下を手に入れるのだ。 アルデバランの器量があれば、それを慕って集まってくる人材はよりどりみどり。 もちろん、そいつらを一手に束ね、思うがままに動かす頭領もまた、アルデバランでなければならない。  

 ふと気がつくと台所のほうから、アルデバランののんびりした鼻歌と、何かを刻んでいる包丁の音が、とんとんとん・・・と軽やかに聞こえていた。 それから、静かに燃えるかまどの中で、ぱちぱちと薪のはぜる音。 ぐつぐつと鍋の煮立つ音。 あたたかい、いい匂い。 もわもわと立ち込める湯気。 再び襲ってくる快い眠気。

 不意に、アルクトゥールスは、がばっ、とベッドから半身を起こした。

 これはまずいかもしれねえぞ、と思った。
 人を引きつける才覚はともかく、今のアルデバランには、たくましさというものがまるで感じられない。 日々嬉々として兄のメシを作り、楽しそうに掃除をして洗濯をして、どこかの畑の作物の出来なんぞに心を痛め、兄の稼いだ金をばらまいて人助けに走り回り、それで十分満足しているように見える。 図体だけはでかくなったが、盗賊団の頭としての威圧感、風格ってものが、かけらもない。 ひょっとして、今の夢に出てきたあの小さくて頼りないアルデバランこそが、今現在のアルデバランの、掛け値なしの正体なんじゃないのか?

 だとすると、これは問題だ。 実際の軍資金がどれだけ必要かなんてことより、馬を連れてあの城壁をどう乗り越えるかなんてことより、はるかに重大な問題だ。 


 しかし、と、アルクトゥールスは首を傾げて考え込む。
 アルデバランだって、俺と同じように、雄々しい砂漠の民の血を引いているはずだ。 度胸がないはずはない。 まだ子どもだから本来の力に目覚めていないだけなのか? と。

 まだ成長期にあるアルデバランが、この先さらに大きく、たくましくなって、心も体も見違えるような変貌を遂げる、ような気もするし、あるいは、城内にしがみつき、畑の土に汗をそそいで一生を終えることに満足する、平凡でひよわな普通のパピトとどこも変わらないような気もした。 
 それにまた自分自身にも、赤ん坊のころからかわいくてかわいくてたまらなかったこの弟の能力を、買いかぶってるんじゃないか、あるいは子ども扱いしすぎてるんじゃないか、そこを冷静に見極めている自信がなかった。

 アルクトゥールスはそのことで数日の間悩み、アルデバランの様子をじっと観察して過ごしたが、結局、いくら注意深く見ていてもアルデバランの考えていることは少しもわからなかった。 なぜなら最後は必ず、自分自身が偏った見方をしているのかもしれないという壁にぶつかってしまうからだ。

 そこでアルクトゥールスは、自分の今の気持ちを、単刀直入に、アルデバランにぶつけてみることにした。





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最終更新日  2011.01.17 21:12:11
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