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2011.01.23
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 少し落ち着きの悪い沈黙が流れた後、アンタレスが気を取り直したように言った。
 「で、アルクトゥールス、俺に相談って、なんだ? あらたまって、気味が悪いな」
 そうそう、とアルクトゥールスは、少し照れて、顔を赤らめながらアンタレスを見上げた。
 「おまえに、こんなプライベートな話をするのは初めてだな。 なんだか気恥ずかしいけど、それじゃ、単刀直入にお願いしてみっか。 ・・・あのさ、アンタレス、おまえ、俺の弟の、剣の先生になってくれない? ・・・いや、待て待て待て、わかってる、パピトに剣を扱うのは無理だと言うんだろ? それはよくわかってるが、だめだ、という前に、一度でいい、俺の弟に会って、話だけでもしてやってくれないかな」

 冗談だろ、と笑い出す、かと思いきや、アンタレスは意外にも生真面目な顔で少し考えこみ、それから、ゆっくりと首を横に振った。
 「俺がひとに剣を教えるのは無理だ。 俺の、自己流の喧嘩剣法なんか教わったら、強くなるものもなれなくなってしまうぞ。 本当に剣法を習わせる気があるなら、金を払ってまっとうな剣術指南を雇ってやれよ。 そのほうが、上達も早いし、何より安全だ。 そのくらいの金、おまえなら楽に払えるだろ?」

 この返答に、今度はアルクトゥールスのほうが目を丸くした。 
 パピトのくせに剣を習いたいなんて身のほど知らずもはなはだしい、と一笑に付されるものとばかり思っていたからだ。 普通のバルドーラなら絶対そう言う。 いや、生意気なことをぬかすな、と怒り出すやつのほうが多いかもしれない。 ちょこざいなやつ、といきなり殴りかかってくるやつだっていそうだ。


 「いやいやいやいや! 本物の、バルドーラ族の、剣術の先生なんて、そんなおおげさなものはいらねえよ。 俺はただ、アルデバランが、同じパピト仲間の悪たれどもになめられて、いつもカモにされているのがくやしいだけさ。 怒るべきところでちゃんと怒る、真っ向から相手を言い負かす、そして従わせる、その度胸がつきゃそれでいいんだよ。 兄ちゃんの友達の剣士に、遊びながらちょっと剣法を教わって自信をつける程度のほうが気楽でいいのさ」

 するとアンタレスは、ちょっと厳しい表情になって、たしなめるように言った。
 「アルクトゥールス、中途半端に剣法なんかかじって、おかしな度胸をつけて、間違いでも起こしたらどうするんだ。 剣術はそんな気楽なものじゃないぞ。 一歩間違えれば命にかかわる大怪我をするんだ。 遊び半分なら止めておけ。 本気でやる気があるのなら、ちゃんとした師範について基本から徹底的にやらせろ。 基本ができていれば自分に自信が持てる。 自信があれば間違いも起こさない。 そういうものだ」

 それは、アルクトゥールスが思ってもみなかった、誠意のこもった言葉だった。
 今まで冷血漢という印象しか持っていなかったアンタレスが、顔も見たことのないアルデバランの心情に深い理解を示し、その将来を真剣に考えてくれている、そう思ったら、嬉しくて、なんだか急に、胸に熱いものがこみ上げてきた。

 これまで、誰も信じたことはなかった。
 アルデバランとふたり、肩肘張って生きてきた。
 それが、このとき初めてアルクトゥールスは、アンタレスに、『友情』めいた、やわらかい気持ちを覚えた。
 ふっ、と肩の力が抜けて、楽になった気がした。

 強い味方を得た ――― その思いは、迷宮の中で同じ危険に身をさらしているときよりも、さらに深かった。





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最終更新日  2011.01.23 19:12:28
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