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2011.01.31
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 まさしくアンタレスの言うとおりだった。
 アルデバランは、マルシリオが、短剣なんてアルデバランにふさわしくないと説教しようとするのをあわててさえぎり、黙って短刀を包めとマルシリオをせきたてた。 その短剣こそ兄の望む武器だと知った上で、俺にそのことを気づかせまいとしたのだ。 
 そして短剣は、『使えもしない高価なもの』だからいらない、と言った。 正しくは、『使う気のない高価なもの』だったはずだ。

 思い出すと、腹立たしさがこみ上げてきた。

 ――― アルデバランは、俺をだましたのだ。 
 アルデバランが、短刀が欲しいと言ったとき、俺は、アルデバランが、重たい剣に代わる軽くて強力な武器に、すでに目星をつけているものと勘違いして、馬鹿みたいに浮かれはしゃいだ。 
 アルデバランは、俺のその勘違いをいいことに、俺の望みとは天と地ほどもかけ離れた自分勝手な夢のために必要な道具を、後ろめたさのかけらも見せず、平気で俺に買わせたのだ。 
 その短刀を、人に教わらなくたって使える、と言いながら、では実際に、どうやって、何のために、使おうとしているのか、そういうことは一言も言ってくれなかった。 
 あんな、子どもじみたペテンにひっかかって、大喜びでそれを買い与え、一人ではしゃいでいた俺は、さぞ間抜けな兄に見えたことだろう。



 ――― アルデバランのろくでなしが! いくら兄が詐欺師だからって、その兄をペテンにかけることはないだろう! 
 そもそも、俺がこそ泥だの詐欺師だのやっているのだって、みんな、アルデバランのためなんだぞ。 あいつに、惨めな思いはさせたくねえ、いつも腹いっぱい食わしてやりてえ、寒い思いもさせたくねえ、ひとに馬鹿にされちゃいけねえ、そんな、あいつへの思いだけで、がんばってきたのに! 
 その俺をだましても、あんないまいましい短刀が欲しかったと、アルデバランは言うのか? そうまでしなければ、弟に短刀の一本も買ってやらねえ、けちな兄貴だと、あいつは俺のことをそんなふうに思っていたのか?

 考えれば考えるほどいよいよはらわたが煮えくり返り、いてもたってもいられない気持ちで、アルクトゥールスはやおら席を立って酒場の出口へと駆け出した。

 ――― 恩知らずのアルデバランめ! よくもこの兄貴をコケにしてくれたな! 許さねえぞ! いやというほどぶん殴って、それから、あんな短刀、真っ二つにたたき折ってどぶの中に投げ捨ててやる! 二度とこんな勝手なまねをさせるもんか!

 アンタレスがびっくりして席を立ち、アルクトゥールスの腕をつかまえた。
 「待て、アルクトゥールス! どこへ行くんだ?」

 アンタレスの腕を振り解こうともがきながら、アルクトゥールスは大声でこの怒りをぶちまけた。
 「知れたことよ! アルデバランの大馬鹿野郎を、死ぬほどぶちのめしてやるんだ! 俺がちょっと甘い顔を見せたら、あの野郎、調子に乗りやがって、この俺をだましたんだぞ! 誰がボスで、誰に従わなきゃならないのか、今、この機会に、徹底的に叩き込んでやる!」

 言いつのる間も、可愛いアルデバランに裏切られた悔しさと悲しさで、アルクトゥールスの胸は張り裂けそうだった。
 暴れても振りほどくことのできないアンタレスの力強い手を、引っつかんで、それにすがりつくとアルクトゥールスは大声で泣き出した。 





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最終更新日  2011.01.31 20:54:40
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