突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

PR

プロフィール

ふろぷしーもぷしー

ふろぷしーもぷしー

カレンダー

サイド自由欄



little_heart.gif


thumbnailリュキア伝説

リュキア伝説・本館

☆完結しました☆



rykia_contents.gif




鬼の棲む街バナー.gif



little_heart.gif






thumbnailレグルス王

真魚子さまの絵



thumbnailトキ

エメラルドeyesさんのブログ
『ねこマンサイ』
で紹介していただいた、
ふろぷしーもぷしーの過去日記
『迷い犬を保護してしまいました』2008.6.19~10.7



thumbnail鮎屋トキ

『いっしょに歩こう!』
2008.12~2009.1


キーワードサーチ

▼キーワード検索

バックナンバー

2025.11
2025.10
2025.09
2025.08
2025.07

お気に入りブログ

神の祝福 第1話 千菊丸2151さん

小説 「scene clipp… マトリックスAさん

パンの日々 nako7447さん
道楽オヤジのお気楽… 車屋のオッサンさん
ゆっくりね ラブドルフィンさん

コメント新着

風とケーナ @ ご完結おめでとうございます.:*・☆ ふろぷしーさま、こんばんは♪ この度は、…
ふろぷしーもぷしー @ 千菊丸さま☆゚・*:.。. いつもありがとうございます☆ わずか一、…
2011.02.16
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
 カペラに連れられて、リュキア大通りにあるその菓子屋へ行ってみると、そこは小さな別世界だった。 手の込んだ装飾芸術のようなお菓子、色とりどりの宝石細工のようなお菓子、――― 食べてしまうのが惜しいような、美しく可愛らしいお菓子ばかりが、体裁よく並べられて、こんなときでなければアルクトゥールス、一番小さくて奇麗なそのひとつを、つい、ポケットにおさめてしまいたくなりそうだ。 
 その店の奥から出てきた、品の良い、しかし見るからに頑固そうな顔つきの、その老職人は、カペラを見るなり、待ち構えていたようにこうたずねた。
 「やあ、カペラ、アルデバランはどうした? 決心はついたかね?」

 面食らったようにアルクトゥールスと顔を見合わせたカペラが、職人に視線を戻してたずねる。
 「何の話です? 決心って、何の決心ですか?」

 今度は職人のほうがとまどった顔になった。
 「何って・・・菓子職人になる決心に決まっとるだろうが。 カペラ、おまえさんが言い出したことだろ? アルデバランは、昨日の朝、この店の開くのを待って私に弟子入りを頼み込んできた。 一昨日も君に言ったが、私は弟子をとる気はなかったので、断ろうと思ったのだが、話をしてみると、アルデバランは実にいい子でな。 穏やかで、誠実で、気配りも行き届き、そして何よりも、一途な情熱がある。 小一時間も話しているうちに私も、この子なら弟子にしてもいいと考えるようになった。 もし本当に菓子職人になる気があるのなら、私の技術のすべてをこの子に伝えてみようかとまで、心が傾いてしまったのだよ。 そこで、本当に私の作るような菓子を作りたいのかとたずねてみると、アルデバランは、少し考えてから、自分は料理人になりたいのだと答えた。 毎日安心して楽しく食べられる食事、人をあたたかい幸せな気持ちにさせる食事、もりもり元気のわいてくるような食事、そんなものを、誰にでもわけへだてなく提供したいのだと。 ・・・正直なところ、少しがっかりしたよ。 私は菓子職人だ。 人を幸せにすると同時に、日常とは異なる、贅沢で晴れやかな、特別なご褒美を味わう気分を作らなければいけないと常々思っている。 毎日食べるようなものではないし、値もはる。 アルデバランの目指すものは、私の菓子とは少し違うと思った。 私のもとで修行をしても、きっといずれは出て行くことになってしまうだろう。 それならば、はじめから、同じものを目指す料理人の下で腕を磨くのがこの子のためだ。 そう思って、知り合いの料理人に紹介状を書いてやった。 その料理人はバルドーラ族で、少し荒っぽいのだが、腕は確かだ。 いつも、新鮮な材料を使ったボリュームのある料理を、肩のこらないテーブルで、と、アルデバランと同じようなことを言っている。 そこへ行けばきっとアルデバランの望むものも見つかるだろう、あいつの仕事を少し見せてもらうといい、その上でもし性に合わなかったら、いつでも私のところへ戻ってきて、本気で菓子作りに取り組みなさい、そう言ってここを送り出した。 今、君が来たので、やっぱりアルデバランはここに戻ってくることに決めたのかと、ちょっと喜んだのだが?」

 カペラが、しょんぼりと頭を振った。
 「それが、アルデバラン、何も言わずに突然いなくなっちゃんたんですよ。 アルデバランのお兄さんが心配して、あちこち探し回っているところなんです。 じゃ、あいつその料理人のところで修行することにしたんでしょうか。 変だな。 俺には、料理人になれないかもしれないなんて言っていたのに」


 そう言って菓子職人は、その料理人のいる店を教えてくれた。

 ふたりは、すぐに、教わったその店に向かった。 





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2011.02.17 20:26:36
コメント(0) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: