突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2011.02.22
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 姿を消してしまったミラを追って、宮殿通りからリュキア大通りに出たとき、向こうから見覚えのある人影が近づいてくるのに気がついて、アルクトゥールスは、はっと足を止めた。
 闇の色の長い髪、ほっそりとした体つき、敏捷そうな長い足 ――― 
 アンタレスか? いや、違う。

 「アルデバラン・・・?!」
 アルクトゥールスは、雷に打たれたようによろよろと2、3歩足を踏み出し、それから、だっ、と駆け出した。
 「アルデバラン!!」
 相手もはっとしたように顔を上げた。
 「兄ちゃん!」

 夢ではない。

 あんなに嬉しそうに笑って、ちぎれるほど手を振って、アルクトゥールスに向かって走ってくる。 子どものころのように。

 しかし、ああ、アルデバラン、ほんの数日会わなかっただけなのに、おまえはなんと大人びて、りっぱになったんだろう!

 アルデバランの赤い瞳は、もう、前のような、やわらかい、優しい光を宿してはいない。 鋭い、抜け目のない光を放って、まるで肉食獣のようだ。
 すっかり日に焼けて赤銅色に染まった、頬の肉も少しこけたようだ。 もう、以前のように、ふくふくとした愛らしい顔ではなく、たくましく、野性味を帯びて、凄みさえ感じられる。

 わずか数日の間に、この変わりようはどうだ!
 それとも俺が、今までアルデバランを子ども扱いするあまりに、本来の、この精悍な姿を見ようとしなかったのか。

 いや、体つきも、確かに、ひと回り大きくなった。 出て行ったときのままの、見慣れたアルデバランの服が、いかにも窮屈そうだ。 腕や足を動かすたび、その古ぼけた服の下で、鋼のような筋肉が躍動するさまが、手に取るようにわかる。 
 腰には見覚えのある短刀 ――― つい先日、アルクトゥールスが買ってやった、あの料理用の短刀だ。 買ったときはぴかぴかだったのに、今はすっかり使い込まれたように、鈍い、しかし重々しい光を放っている。 安物の、料理用の短刀にはとても見えない。 とても危険そうで、そう、まるで、剣のようだ。

 次第に涙でぼやけてくる視界の中で、アルデバランが、身をかがめて小さな兄を抱きしめた。
 「兄ちゃん! 黙っていなくなったりしてごめんよ! とても詳しい説明をする余裕がなかったんだ!」
 アルクトゥールスは、何も言えなくなって、涙をぽろぽろこぼしながら、大きな弟にぶら下がるようにしてむしゃぶりついた。






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最終更新日  2011.02.22 19:21:56
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