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2011.02.25
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 不思議だ。
 ヴェガに追い立てられるようにして迷宮に入ってきたものの、どうしたことだろう、今日は怪物が一匹も出てこない。  
 これまでヴェガとふたり、薄い氷の上を歩くように、びくびくしながら次のドアを開け、あるいは、アンタレスの戦いぶりを震えながら見守って、緊張の糸を張りつめっぱなしで歩いていた回廊も、今夜はまるで白昼の散歩。 どこにも、何の危険も感じられない。
 まるで、侵入してきた者たちを避けているかのように、ひっそり静まり返った迷宮を歩いていると、ここはいったいどこなのか、俺はどこに行こうとしているのか、知らない場所を歩いているような、奇妙な思いにとらわれる。

 拍子抜けするほど安全、なのはいいが、皮肉なことに、怪物が出てこないと、その怪物の守っているお宝のほうも、さっぱり手に入らない。
 ニンゲン族の戦士たちふたりは、ものめずらしそうにきょろきょろあたりを見回したり、壁の石にちょっと手を触れてみたり、二人の間でしか通じない言葉で何事かささやきあったり、まるで物見遊山だが、お宝目当てのヴェガのほうは、だんだん不機嫌な顔になっていくのが傍目にもわかる。

 「・・・なあ、アルクトゥールス、今夜はなんでこんなに静かなのかなあ。 これじゃカストールとポルックスも、腕の見せ場がなくてさぞがっかりだろうな」
 しびれを切らしたように嘆息したヴェガに、アルクトゥールスは苦笑して言った。
 「がっかりしてるのはヴェガ、お宝めあてのおまえだけだろ。 おまえの戦士のお二人さんは、けっこう楽しんでるようじゃねえか、遺跡見物。 きっと、迷宮の怪物どもも、戦士さんたちがあんまりのんきにしてるから、敵と思ってないんじゃねえの? この調子じゃいくら歩き回っても無駄骨折るだけだ。 今夜はもう帰ろう」


 「ちぇっ、やっぱりアンタレスがいなきゃだめだ、とか思ってるんだな? アンタレスばかりが戦士じゃないんだ、カストールとポルックスは本当に強いんだから! 見た目とは全然違うんだから! ・・・ふん、雑魚の怪物なんか、出なきゃ出ないほうが好都合、ってもんだ。 それなら今夜は、このまままっすぐ『鏡の間』へ行ってみようよ。 この前は俺、『猫目石のかんざし』ひとつ持ち出すのが精いっぱいだったけど、あそこにはもっとたくさん、お宝がざくざくあると思うんだよなあ! そういう匂いがしたんだよ」

 不思議だ、と思った。
 お宝 ――― 以前はわくわく心躍ってじっとしていられなかったはずのこの言葉にも、今はなんの魅力も感じない。
 山と積まれた金貨も、重くて運べないほどの金塊も、目のくらむような宝石も、今のアルクトゥールスには石ころと少しも変わらないのだ。

 そんなもの、どうでもいい。 
 なにもかも、どうでもいい。

 小さくため息をついて、アルクトゥールスは首を横に振った。
 「お宝ねえ・・・あんまり気がすすまねえなあ。 あの『鏡の間』には、蒼竜とか何とかいう大物怪物がいるって、この前キマイラのやつが言ってたじゃねえか。 おまえの戦士のお二人さんだけではなあ・・・止めといたほうがいいんじゃねえの」

 ヴェガが、がっはっは、と豪快に笑って、アルクトゥールスの肩をどついた。
 「また、そういう気の弱いことを言う。 おまえらしくもない。 このまえ、おれひとりであの部屋に入っていったけど、別に何事も起きなかったでしょ? 大丈夫だって! さあ、元気出して、行こ行こ行こっ!」





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最終更新日  2011.02.25 21:29:57
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