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2011.03.14
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 リュキアの祭日。


 この日エリダヌスは、部屋に閉じこもってお祈りばかりしていた。
 フォーマルハウトが部屋まで運んで来てくれる食事も、まるでのどを通らない。
 時おりアギーラが、シーツの取替えや部屋の掃除などにやって来たが、それも断っていた。
 体中が、火照るように熱い。
 ベッドから起き上がる気力もない。
 目を閉じれば、まぶたの奥に、あの、レグルスという美しくりりしい戦士の姿が浮かんできて、このところ夜も眠れない日が続いていたのだ。


 ――― あのかたは、神さまではなかった。

 それを、神さまのお姿と思い込むなんて、なんという恐れ多い罪を犯してしまったのだろう。
 それを思うと、不安でいたたまれなくなった。

 あるいはまた、それならばあの夜、死出の旅につこうとしていた私を、神様はお迎えに来てくださらなかったということになるのか、と思うと、それもまたエリダヌスの心をひどく苦しめた。 ドードーの言い草ではないが、神さまにすら忘れられてしまったのか、と絶望しそうになる。

 エリダヌスはあわてて頭を振り、その罪深い考えを払いのけて両手を組み合わせた。
 いいえ、神さま、私はあなたを信じます。 あなたは、私がまだこの世でのお役目を終えていないから、お迎えに来てくださらなかっただけですね。 私をもう一度この世にお戻しになるおつもりだったから、御国にお召しくださらなかっただけですよね。 私がこの世でのお役目を終えたときには、きっと私を迎えに来てくださいますよね。 あなたの深遠なる御業を、ほんの一時でも疑ってしまいそうになる、心の弱いこのエリダヌスを、どうかお許しください。 

 そうして、心を落ち着けてお祈りに集中しようと目を閉じると、またしてもまぶたの裏に、神ならぬあの戦士の姿が、神さまよりなお輝かしく神々しく、浮かび上がってきてしまうのだ。

 エリダヌスはまた、ぱちりと目をあけ、頭を抱え込んで嘆息する。
 これではさっぱりお祈りにならない、と思った。


 ――― あのかたは、神さまではなかった。
 その考えは、エリダヌスを当惑させ、罪深い気持ちにさせ、恐怖させたが、同時にまた、不思議なときめきと、甘美な喜びとをもたらしてくれるものでもあった。
 あのように美しく、熱く、力強く、息づいておられる方と、私は今同じ世界に生きているのだ。 神様のような手の届かない存在ではなく、望めばこの目ではっきりお姿を見、この耳でお声を聞き、手で触れることすらかなう、血の通ったお方なのだ。


 もう何度目になるかわからないため息をついたとき、ドアを軽くノックする音がして、フォーマルハウトが顔を見せた。
 「エリダヌス、ご気分はいかがです? 熱さましのお薬湯をお持ちしましたよ」





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最終更新日  2011.03.15 01:15:17
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