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2011.03.19
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 耳をすませて聞いていると、マルシリオは先ほどから一生懸命、この国の昔話をしている。

 おかしなこと、とエリダヌスは首をかしげた。 
 マルシリオの話しているのは全部、エリダヌスが暇をもてあまして部屋で読みふけっていた、この国の歴史の本と、まったく同じ内容に過ぎない。 この国に生まれ育って、しかも戦士といえばこの国では支配階級にあたるはずなのに、レグルスはなぜ自分の国の成り立ちを知らないのだろう。 戦士たる者が、それを知らずにいったい何のために戦えるというのだろう。 

 考えこんでいるうちに、買い物を終えたレグルスは、お伴の少年たちを従えて、引き上げて行こうとしていた。
 エリダヌスは、はっと我に帰り、ともかくも、この機会に、レグルスさまに、命を助けていただいたお礼を申し上げなければ、と思った。
 思ったが、胸がどきどきして、どうしても、一歩前に足を踏み出すことができない。 
 ぐずぐずしている間にもレグルスは、エリダヌスの後ろの、出入り口目指してどんどん近づいてくる。
 その姿はまさにあの夜、エリダヌスを迎えにきてくださった、光り輝く神さまのお姿そのものだ。 恐れ多くて、目をあけているのもためらわれる。 足を踏み出すどころか、今にも腰が抜けてしまいそう。

 無理! あの美しく光り輝く戦士の前に進み出て、お声をかけるなんて!

 レグルスの全身から発する、まばゆいオーラに、すっかり気後れして、たじろいでいる間に、レグルスは、エリダヌスのほうは見向きもせず、まっすぐに、マルシリオ商店の外へ出て行ってしまった。

 ああ、あのかたが、行っておしまいになる!
 一抹の寂しさと、かすかな安堵と、さらに、かつて感じたことのない甘く悩ましい思いに、エリダヌスは、胸を震わせ、目を潤ませながらその後姿を目で追うばかりだった。 
 声をかけるどころか、まっすぐ見上げることさえ、とうとうできなかった。


 レグルスの姿が、通りの向こうに消えてしまうと、エリダヌスは、不思議な高揚感と失望感のないまぜになった小さなため息をひとつつき、胸をさすって気持ちを落ち着けてから、マルシリオのところへ行って声をかけた。
 「どうなさいました、マルシリオさん。 ずいぶんひどくお叱りを受けていましたね」
 ぺたりと椅子に座り込んでいたマルシリオが、エリダヌスの声に、はっとしたように顔を上げた。
 「あ、これは、エリダヌスさま。 それが、今、私つい口を滑らせて、レグルスさまにとんでもないことを申し上げてしまったんです。 ああ、どうしよう! こんなことがもし、軍の上層部の方々のお耳に入ったら、私、捕えられて首をはねられてしまうかもしれない」

 ただ歴史の話をしていただけなのに? と首を傾げたエリダヌスに、マルシリオが苦々しく首を振って答えた。
 「ああ、エリダヌスさまはまだこの国にいらしたばかりだから御存じなかったのですな。 そう、巷ではみんな知っていることなのに、訓練生たちの耳にだけは入れないよう、きつく命じられている公然の秘密、とは、リュキア城跡の地下にあるという、迷宮のことなんです。 恐ろしい怪物が出没する宝物殿、なんて噂を聞きつけたら、今の、レグルス軍曹のような、お若くて強い、血の気の多い訓練生は、たちまち好奇心と野心に取りつかれて迷宮に入り込んでしまうでしょ? それが危険すぎる、というんですが、なに、実のところは、莫大な財宝は誰にも渡さんぞ、ってところでしょうよ。 あきれた話ですが、軍に逆らうことは誰もできません。 今は、真実を知ったレグルス軍曹が、血気にはやって無茶なことをなさらないで下さることを祈るばかりですよ」





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最終更新日  2011.03.19 22:30:19
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