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2011.03.27
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 どのくらいの時が流れただろう。
 遠慮がちなノックの音に気づいて、エリダヌスは、はっと顔を上げた。
 部屋の中は真っ暗。 
 いつのまにか夜になっていた。
 夕べの祈りの鐘も、食事を知らせる鐘も、一心に祈り続けていたエリダヌスの耳には入らなかったらしい。

 急いで神衣の乱れを直し、指で髪を梳きながらドアを開ける。
 ドアの外に、浮かない顔つきで立っていたのは、フォーマルハウトだった。 手にはお茶の道具の乗った、大きな盆を持っている。

 エリダヌスはあわててドアを大きく開け、フォーマルハウトを部屋の中に迎え入れた。
 「ああ、フォーマルハウト、お待たせしてすみません。 今ちょうど、お祈りの最中だったものですから」


 「あなたにお茶をご馳走しようと思って運んできたんです。 夕食の時間にも、食堂にお姿が見えなかったから、もしや食事をお取りにならなかったかと思って」

 「それは御心配をおかけしてすみませんでした。 別に何でもありませんよ。 ちょっと鐘を聞きそこねただけ。 ではさっそく、そのおいしそうなお茶とお菓子をご馳走になろうかな。 ああ、おいしそう!」
 テーブルのランプに火を燈しながら笑ったエリダヌスに、フォーマルハウトはちょっと拍子抜けしたように、目をばちくりさせた。
 「エリダヌス、先ほどプラターマ導師にお会いして話を聞きましたよ。 雀第一の呪法『保護』ができなかったそうではありませんか。 私は、あなたがどんなにお力落としだろうと思って、お茶にかこつけてお慰めにあがったのに」

 エリダヌスはくすっと笑って言った。
 「おや、思いのほか元気でがっかりしました?」
 「まさか! だって、お夕食にも夕べの合同礼拝のときにもお姿が見えなかったから、きっとお部屋に閉じこもってめそめそ泣いていらっしゃるのではないかと」
 「もちろんそうですよ。 本当のことを言いますと、道場から帰ってきたときには、落胆のあまり涙がこぼれました。 けれど、それからずっと神さまとお話をしていたら、元気が出てきたんです。 それにこんなおいしそうなお菓子と温かいお茶を見たら、ますます元気になってしまいました。 どうぞ心配しないでください、フォーマルハウト。 明日は今日よりもっとがんばって、いい日にするつもりですから」

 フォーマルハウトは目を丸くしてエリダヌスを長い間見つめていたが、やがて、心底感じ入ったようにつぶやいた。
 「・・・エリダヌス、あなたはすごい。 なんてお強い方なのだろう」
 エリダヌスは笑って、フォーマルハウトの顔を見つめ返した。


 考え込みながら、フォーマルハウトが、2つのカップに熱いお茶を注ぐ。
 「・・・後で私、もういちどプラターマ導師のところへ行って、明日はあなたに別の呪法を授けてくださるようにお願いしてみます。 『保護』はできなかったけれど他の呪法はすぐにできた、というケースもよくありますから。 呪法は必ずしも第1、第2、第3と順番に習得してゆく、と決まったものでなく、人によって、1も2もできなかったのに3でいきなり成功したり、差があるものなのです。 それに、そのときはできなくても、必ずいつかはできるようになるのですから、少しも心配することはないんですよ。 法力というのはそういうものなんです。 能力によって差が出てくるのではなく、それぞれ習得する時期というものがあるようなのです。 それはすべて神さまがお決めになることですから、新しい呪法が人より早くできるようになったからといってむやみに得意がったり、また逆に、いつまでもできるようにならないと落胆したりするようなことではないんです」

 フォーマルハウトのこの言葉に、エリダヌスはまたひとつ救われた気がして、にっこりと微笑んだのだった。





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最終更新日  2011.03.27 19:49:21
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