突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

PR

プロフィール

ふろぷしーもぷしー

ふろぷしーもぷしー

カレンダー

サイド自由欄



little_heart.gif


thumbnailリュキア伝説

リュキア伝説・本館

☆完結しました☆



rykia_contents.gif




鬼の棲む街バナー.gif



little_heart.gif






thumbnailレグルス王

真魚子さまの絵



thumbnailトキ

エメラルドeyesさんのブログ
『ねこマンサイ』
で紹介していただいた、
ふろぷしーもぷしーの過去日記
『迷い犬を保護してしまいました』2008.6.19~10.7



thumbnail鮎屋トキ

『いっしょに歩こう!』
2008.12~2009.1


キーワードサーチ

▼キーワード検索

バックナンバー

2025.11
2025.10
2025.09
2025.08
2025.07

お気に入りブログ

薬屋のひとりごと 9… 千菊丸2151さん

小説 「scene clipp… マトリックスAさん

パンの日々 nako7447さん
道楽オヤジのお気楽… 車屋のオッサンさん
ゆっくりね ラブドルフィンさん

コメント新着

風とケーナ @ ご完結おめでとうございます.:*・☆ ふろぷしーさま、こんばんは♪ この度は、…
ふろぷしーもぷしー @ 千菊丸さま☆゚・*:.。. いつもありがとうございます☆ わずか一、…
2012.01.29
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類

鬼の棲む街2





 ルドゥアは、すでに、この美貌の客に対する熱い好奇心のかたまりと化していたので、そんなジラートにはかまわず、カウンターに身を乗り出すようにして、客に質問を投げかけ始めた。
 「お客さん、この港町は初めてね? どこから来たの?」

 客は、ポケットの中をあちこち探りながら、うわのそらで答えた。
 「グルナの港」

 嘘だわ、とルドゥアは思った。
 グルナの港は、南北に極端に細長いこのイルプシマの国の、ほぼ南端に位置する大きな港だ。
 この居住区のある “たそがれの港” から、船ならせいぜい2日、陸路でも数日で行ける。
 そこは別名、 “花の都” と呼ばれるほどにぎやかな港町として知られ、皆、都会人らしく歯切れのよい早口で、流れるようにしゃべるものだ。 こんな妙なアクセントでしゃべるグルナっ子なんて、聞いたこともない。

 客が、ポケットの中から煙草の箱を取り出して、その美しい形の眉をひそめた。

 それはこの街でもありふれた銘柄の煙草だったので、それを見るなりルドゥアは、煙草の買い置きがしまってある戸棚へと飛んで行った。

 その間にジラートが、客の前に火酒の入ったグラスを置き、探るような目つきで言った。
 「あんた、 『雑種』 だよね」

 すると客は、きょとんとした顔つきになってジラートを見た。
 「・・・ 『雑種』 ?」

 ジラートの目が、急に意地の悪い光を含む。
 「とぼけることはないじゃないですか。 あたしゃ別に、あんたが 『雑種』 だからってどうこういってるわけじゃない。 ただ、あんたの風体はどこから見ても 『雑種』 にしか見えない、きっとあんたのお父さんはバルドーラ族で、お母さんはパピト族なんでしょ、って、そういう他愛ない世間話ですよ」

 そのときルドゥアには、この客の白い端正な横顔が、一瞬、ふっと寂しげに翳ったように見えた。

 が、客はすぐに、小さく肩をすくめ、そっけなく答えた。
 「両親のことは知らない。 が、俺はまじりっけなしのパピトの兄に、パピト族として育てられた。 だから、自分もまじりっけなしのパピト族だと思っている」

 ジラートの顔に、かすかな安堵の色が浮かぶと、ルドゥアはまた、黙っていられなくなって、2人の間に割り込み、客の前に煙草の箱を突き出しながらたずねた。


 ルドゥアの手から煙草を受け取った客が、面倒くさそうに短く答えた。
 「リュキア」

 そのとたん、カウンターの中でジラートが、はっと息を飲んだ。






人気ブログランキングへ







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2012.01.29 19:45:49
コメント(4) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: