突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2014.03.10
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カテゴリ: カテゴリ未分類

  若かりしころの狂熱の季節を思い起こして、ミケはしばしうっとり、熱い、甘い、思い出の中にさまよい、それから、なにか急にそわそわし始めたナナに気づいて続けた。

  「口では何と言っても、お嬢ちゃんや、あんたも心の奥じゃもう一度人間に戻りたいと思っているんだよ。 商店街の猫たちを巻き込んで、住宅街の猫たちに必要以上の嫌がらせをするのも、本当のところは、商店街の猫たちのためでもなければ性悪な住宅街猫たちを懲らしめるためでもない、ただ、自分の力を誇示したいがためさ。 それは、まだあんたが人間である証拠だよ。 自分がどれだけ優秀か、あんたはうちのお嬢さまに認めさせたくて、そのためだけに必死になっているんだ。 そのことに、あんたも早く気がつかなきゃいけないよ。 そりゃあ、猫のままならたまこお嬢さまに自分の力を見せつけるのはたやすいだろう。 うちのお嬢さまは猫として生きようと頑張ったりはなさらないからね。 ひねりつぶすのは簡単だろう。 猫の世界には法律もないし、人間世界の利害関係も、上下関係も、何にもないものね。 ただ感情のおもむくままに、何をしても、誰にも咎められることもない。 だけど、ただ憎たらしい相手をやっつける、それだけのために、自分の人間としての人生を全部捨てて、残りの人生をずっと猫として生きるなんて、あまりにも不幸なことだとは思わないかね? だって、あんたは人間なんだもの。 うちのお嬢さまを憎らしいと思うのをやめろとは言わないよ。 珠子お嬢さまは、そりゃあ魅力のあるおかただからね。 あんたとは大違い。 でも、他人を憎む気持ちはひとまず脇において、二度と引き返せない道に足を踏み入れる前に、もう一度、自分のことだけをよくよく考えてごらん。うちのお嬢さまをやっつけるのは、人間に戻ってからだってできるじゃないか。 猫が猫をやっつけたって、せいぜい引っかき傷を残す、定位置が高くなる、程度のものだけど、人間同士はそうじゃない。 人間同士の闘いって、もっとレベルが高いもんじゃないか。 自分も相手も、どっちも向上していくような、さ。 だから、人間てすごい、って、私ら猫の目から見たら、そう思うんだけどねえ・・・。 どうだろう、ここはひとつ考え直して、人間に戻ってからもう一度仕切りなおして、人間同士として、うちのお嬢さまと闘ってみちゃあ・・・? そのほうがきっと、猫同士いがみ合ったりするよりずっと楽しいと思うんだよ。 だって、想像してごらんよ。 うちのお嬢さまや、マサキくん、トラオくん、みんな人間に戻っちまったときのことを。 あんたがいくら自分を誇示して見せようと、誰も見てくれる人がいなかったら、そりゃあ味気なくてつまらない人生になっちまうんじゃないかね? ま、それがいやだからあんたはお仲間全員猫のままで自分の周りにはべらせておきたいんだろうけど、そういうわけにはいかないよ。 今ここでお嬢さまが倒れても、マサキくんもトラオくんもすぐに動けるようになる。 みんなまもなく人間に戻るよ。 だからあんたも、悪いことは言わない、みんなと力を合わせて、早く人間に戻って、今度は人間として、自分の優秀さをウチのお嬢さまやマサキくんに見せつけることができるように、自分を磨いたほうがいいんじゃないのかね?」


  悔しそうに唇をかんで、ナナがじっと何事か考え始めたが、はたしてナナを説得できたのかどうか、ミケには確かめている時間がなかった。


  頭は人間で体は猫 ――― ノロ猫がこんな中途半端な状態でいられる時間も、残りわずかに迫っているのかもしれない、と、ナナと話しているうちに、急に思い至ったのだ。

  これ以上猫の姿のままでいると、珠子お嬢さまも人間に戻れなくなってしまうかもしれない。

  取り返しのつかない事態になる前に、一刻も早く、珠子お嬢さまをもとのお姿に戻して差し上げなければ。


  そのためにも、まずは、人を猫に変える悪霊どもと直接対決して、その中から、中心となって動いている魔物の正体を探し当て、すぐにも人への悪さをやめて成仏するよう、説得するのだ。 



  じっと考え込んだナナをその場に残したまま、ミケは急いで銭湯の屋根から飛び降り、『龍王』に向かって全速力で走り出した。

バス停で


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最終更新日  2014.03.10 20:56:48 コメント(4) | コメントを書く


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