突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2014.07.30
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カテゴリ: カテゴリ未分類

 さびしい赤い空の下に、ひとり呆然と立ち尽くすクロ ――― その姿は、あまりにも小さくて、哀しくて、このまま見放すことなんかとうていできないと思った。

 混乱して、たまこは誰にともなく叫んだ。



 「いや! こんなさびしいところにクロちゃんを一人で置いていっちゃうなんてできない!」


 小さな子どものように、大声で泣き出したたまこの涙を、ミケが優しくぬぐって微笑んだ。

 その笑みは、まるで、慈愛に満ちた母猫のようだ。


 「珠子お嬢さま、・・・お嬢さまならきっとそうおっしゃるのではないかと思いました。 それではお嬢さまの代わりにわたくしがここに残りましょう。 思えば十二年前のあの雨の日、お嬢さまの優しいお手に拾われてから今日まで、わたくしは十分にお嬢さまに慈しんでいただきました。 猫として、本当に幸せな一生でございました。 もうこの世で望むことは何一つありません。 ですから今度はわたくしが、あの無垢な子猫に、慈悲の心を教えてあげましょう。 大丈夫、いえ、むしろわたくしのほうがお嬢さまよりうまくできるかもしれませんよ。 同じモト猫同士。 そして守り猫さまもわたくしにお力添えくださっていますからね」



 振り仰げば、守り猫の示す空から、一筋の清らかな光が、地上に向かって差し込んでくる。

 いや、単なる光ではない。 

 よく見ればそれは、光に包まれてゆっくりと地上に伸びてくる、ほそい階段なのだった。



 はっとした。


 「ミケ、・・・まさか、あたしをおいて、クロと一緒に天国へ行っちゃうつもりじゃないでしょうね?! だめよ! そんなの絶対許さないから!」


 たまこは狼狽してミケを捕まえようとしたが、ミケは、たまこの手をするりとすり抜けて、クロのほうへと駆け出してしまった。




 「行っちゃだめ! 帰ってきて! ミケ! お願い!」


 泣きながら懇願したが、ミケはちょっとたまこのほうを振り向いて微笑んだだけで、立ち止まろうとはしなかった。

 嬉しそうに駆け寄ってきた黒い子猫に優しく頬ずりする、その姿はまるで本当の親子のようだ。 

 仲睦まじげに寄り添って、ミケがクロを光の階段のほうへと導いていく。


 並んでゆっくり階段を上り始めた二匹の姿が、だんだん白い光に包まれていく。


 白い光が強さを増して、まぶしくてとうとう目を開けていられなくなったとき、たまこは、もう二度とミケの姿を見ることはできないと悟った。 


 真っ暗な悲しみのふちへとつき落されるような気がして、たまこはそのままマサキの腕の中に倒れこみ、気を失った。

ミケとクロ


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最終更新日  2014.07.30 18:34:40
コメント(7) | コメントを書く


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Re:猫<117> 第9章 魔物 <16>(07/30)  
千菊丸2151  さん
ミケは、もう老齢ですものね。
我が子のように慈しんできた珠子に別れを告げ、クロとともに光の階段を上る彼女の姿は、何処か嬉しそうでいて晴れやかに見えました。
(2014.07.30 20:57:19)

Re:猫<117> 第9章 魔物 <16>(07/30)  
おはようございます。
今日も暑くなるようなので、お身体に気をつけてください。
応援をしております。 (2014.07.31 05:10:06)

胸がいっぱいです.:*・☆  
風とケーナ  さん
ふろぷしーさま、こんばんは☆彡
励みになるコメント&応援、
いつも本当にありがとうございます!

ミケばあさまに寄り添われて、
クロちゃんはついに成仏を遂げていくのですね。

ミケばあさまとの別れはあまりに悲しく、寂しく、せつなくて、
胸に塊が詰まったような思いがいたします。

その一方で、
慈母の眼差しでクロちゃんに寄り添うミケばあさまの神々しい美しさ、
ミケばあさまを本当のお母さんのように慕うクロちゃんの無垢な愛らしさ、
そんな二人が仲睦まじげに天上への階段を昇っていくお姿に、
深い感動を覚えずにはいられません。

守り猫さまの存在感も大きく、
優しく清浄な光に満ちたイラストもとても素敵です.:*・☆

(2014.07.31 23:58:07)

Re:猫<117> 第9章 魔物 <16>(07/30)  
おはようございます。
今日から八月です。今月も宜しくお願い致します。
応援をしております。 (2014.08.01 05:43:45)

千菊丸さま 。.:+*:・'☆。  
愛する者との今生のお別れ ―――
悲しすぎる場面になったらいやだなあと思っておりましたが、
『何処か嬉しそうでいて晴れやか』とのお言葉に、
心から安堵いたしました。

千菊丸さま、いつも本当にありがとうございます。
お返事遅れてごめんなさいね。

(2014.08.01 22:36:44)

こうこさま☆゚・*:.。.  
あたたかい応援いつもありがとうございます♪

尻こすり坂、本当に山奥みたいな景色ですね。
現在のふろぷしーもぷしーの棲家といい勝負です(〃 ̄▽ ̄〃)
果敢な挑戦、お疲れさまでした。
ゆっくり休んでくださいね。

応援ぽちっとしてきました♪

(2014.08.01 22:45:37)

ケーナさま☆゚・*:.。.  
☆゚・*:.。.なんと嬉しいお言葉 。.:+*:・'☆。、:+*:.

こんなふうに描けたらなあ、と思っていた
まさにその通りのお言葉をいただいて
感激です! 。.゜.(*ノД`*).゜.。ジーン…

イラストにも、もったいないお言葉を、
本当にありがとうございます☆ 


いろいろなことがありましたが
ここまでなんとかたどり着くことができて、よかった~

心底、ほっとして、
今日は横着に過ごしてしまったふろぷしーです。


が、
ケーナさまにこんなに熱いパワーをいただき、
あと少し
珠子たちが人間に戻って
めでたしめでたし(?)のエピローグを、
頑張ります~( ´▽`).: ルン♪:+・


ケーナさま、本当にありがとうございました☆゚・*:.。.


(2014.08.01 23:05:05)

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