私の人生論 (思考が運命になる)

私の人生論 (思考が運命になる)

2015年09月24日
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カテゴリ: 千の朝
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 ――「一寸先きは闇の世の中とは是等の時機をいふならん。
 明治維新を去る僅に三四年前においては、天下の志士は啻(ただ)に前途を観察する能はざりしのみならず、大概皆紛亂の場に轉輾したるに過ぎざりし。
 ……有りのままを言へば、かかる際に處したる人は、何れも破船の激浪怒濤の中に漂ふに異ならず、眼界汪洋(おうよう)として東西を瓣(わきま)ふ能はず、彼方へ泳がんと欲して此方に流され、北に向はんとして南に却き、遂には意外の方向に於て彼岸に達するが如し。
 唯其稱賛すべき所は気力と忍耐と臨機の智能にすぎず。
 ……僅々数年間に幕府を倒して大政を奉還せしむるに至るとは、夢想にも及ばざりし事ならん」

 そして、維新も結局はある抗しがたい時代思潮の力だつた、と感慨している。

 ――「余は前にも断言せり、今又茲にも断言す。
 維新改革の原動力は薩長の手に存したるにも非ず、公卿の間に出たるものにも非ず、又幕府の中に宿せしにも非ず、総て九州の端より奥羽の邊に至る迄、天下各地の青年書生の頭脳に煥發し、時勢と共に其力を養ふて遂に我國空前の偉業を奏したりと。


 私には、これが歴史に對するセンスをもつた観察だと思われる。

 その歴史の中で活動していた人が後年になつて同顧したとき、彼は事實を枉げて圖式の中におしこむには堪えなかつたのであろう。

 そして、この大隈伯が見たようなことを、われわれも見たのではなかつたろうか?

「昭和の精神史」 竹山道雄 新潮叢書





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最終更新日  2015年09月24日 07時25分14秒
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