私の人生論 (思考が運命になる)

私の人生論 (思考が運命になる)

2018年01月26日
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カテゴリ: 千の朝


 書かれた言葉にはなく、
 読むという行為にあるのである。

 しかも、二重言語者は、
 たんに外から伝来した巻物を
 読めるようになるだけではない。

 二重言語者が
 外から伝来した巻物を
 読めるようになったとき何がおこるか。


 その〈書き言葉)で書かれた(図書館〉へと
 出入りできるようになるのである。

 ここでいう〈図書館〉とは、
 蓄積された書物の総体を抽象的に指す表現である。

 建物のあるなしは問題としない。

 戦争、火事、洪水、盗難、焚書など、
 さまざまな歴史の荒波にもかかわらず、
 人類にはなお残されたたくさんの書物があり、
 その、たくさんの書物を
 集めたものが(図書館)である。

 外から伝来した

 二重言語者は、その(図書館)への出入りが、
 潜在的に、可能になる。

 無文字文化が文字文化に転じるというのは、
 すなわち、伝来した巻物を読める少数の
 二重言語者が誕生するだけでなく、

 そのような(図書館)に、潜在的に、
 出入りできるようになるのを意味するのである。

「日本語が亡びるとき」 水村 美苗 筑摩書房





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最終更新日  2018年01月26日 06時34分15秒
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