音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2019年04月02日
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これぞスティーヴィーの真価


 エレクトリック・ブルースにせよ、ホワイト・ブルースにせよ、どんな名前で呼んでももはやどうでもよい感じさえするのだけれど、数十年後の現在からみて、1980年代においてその真髄を極めた作品はと言うと、スティーヴィー・レイ・ヴォーン(Stevie Ray Vaughan)の『テキサス・ハリケーン(Couldn’t Stand The Weather)』はトップ級に数えられる大名盤だろうと思う。

 スティーヴィーは、本盤の前年にあたる1983年に 『テキサス・フラッド~ブルースの洪水~(Texas Flood)』 でデビューを果たした。以降、新たなブルースの世界の王道を歩んでいったものの、1990年、不慮のヘリコプター墜落事故によって若干35歳で亡き人となってしまった。1984年リリースのセカンド作となった本盤では、上り坂にあった彼が初作以上に味と完成度を増強した演奏を繰り広げている。

 本盤のよさの理由として、“現在”と“過去”がうまく組み合わされて一つの作品に仕上がっている点が挙げられると思う。冒頭の1.「スカットル・バッティン」はスティーヴィーのオリジナル。2分足らずと短いインスト曲だが、聴き手はのっけからリフのカッコよさの虜になってしまう。かと思うと、3.「ザ・シングズ・アイ・ユース・トゥ・ドゥー」はギター・スリム(エディー・ジョーンズ)のナンバーを実に渋いギタープレイとヴォーカルで解釈している。聴きどころの一つと言えそうなのは、4.「ヴードゥー・チャイル」。言わずと知れたジミ・ヘンドリクスのカバーである。他にもボブ・ゲディンズ作(本盤でのクレジットはジム・リード)の6.「ティン・パン・アレイ」なんかも取り上げているが、これがまた長い尺を存分に使って聴きごたえ十分のブルースである。アルバム終盤は、短めの演奏の自作の2曲で締めくくっている。

 アルバムを通じて言えるのは、確かにブルースそのものもあれば、シャッフルの利いた演奏、どちらかというとロックに寄った演奏なども盛り込んでいながら、結局はスティーヴィーの色に統一されているという風に感じる。伝統と独自の世界を組み合わせて表現するというのは、一流のプロにしかできない技だと言ってしまえば、それまでかもしれない。けれども、この人はきっと余計な計算などなしにそれができてしまう貴重なアーティストだったのだろうと思ったりする。生きていたならば今年で65歳だったスティーヴィー・レイ・ヴォーン。叶うはずもないけれど、つくづく“枯れた”彼の演奏も聴いてみたかったと思ってしまう。


[収録曲]

1. Scuttle Buttin'
2. Couldn't Stand The Weather

4. Voodoo Chile (Slight Return)
5. Cold Shot
6. Tin Pan Alley
7. Honey Bee
8. Stang's Swang

1984年リリース。

参考:1999年のリイシュー盤では5トラック(スティーヴィーの肉声含む)追加。さらに2010年のレガシー盤ではさらなる追加曲のほか、未発表ライヴのボーナス・ディスクも付属とのこと(いずれも筆者は未聴)。





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テキサス・ハリケーン [ スティーヴィー・レイ・ヴォーン&ダブル・トラブル ]




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Last updated  2019年04月02日 06時59分42秒
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