音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2019年05月04日
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テーマ: 洋楽(3405)
90年代“アメリカン・バンド”の代表作


 もはや昔のことなのでいま一つ定かな記憶ではないのだけれど、記憶違いでなければ、筆者が初めて聴いたブルース・トラベラー(ブルース・トラヴェラー、Blues Traveler)の作品は、確かこのアルバムだった。そのような初体験の盤であるものの、今回取り上げる理由は、個人的思い入れが強いというよりは、後述の通り、時間を経ても“安心して聴ける盤”であり続けている点にある。

 ブルース・トラベラーは、1987年に米東海岸のニュー・ジャージーで結成され、1990年のデビュー以降、現在まで活動を続けているアメリカのロック・バンドである。日本では残念ながら過小評価されているというか、本邦での知名度はなぜか低いのだけれど、そのキャリアの中で最も人気を集めた時期はと言うと、1994年発表の本作『フォー(four)』(全米8位)およびその次作にあたる1997年発表の 『ストレイト・オン・ティル・モーニング』 (全米11位)の頃だったということになるだろう。

 かくして、筆者もこの頃に話題になった(本作の後にはグラミーも受賞した)のを受けてCDを手に取ってみた口だったのだと思うが、発表から20年以上経たいま聴いても、本盤の特徴である“安心できる感覚”というのには、不思議なことに何ら変わりがない。彼らのベースにあるのは、ブルース・ロック的なベースと各種ロックの伝統。70年代~80年代を経て一巡したロックの諸要素――サイケ・ロック、サザン・ロック、フォーク・ロック、カントリー・ロック、もちろん“正統派”アメリカン・ロック音楽の王道も――がひとしきり絡み合って彼らの音楽を形成していると言える。まるっきり新しいわけではないが、単なる過去の繰り返しや再生でもない。抽象的な表現ではあるが、パーツごとにはすべてどこかに親しみを感じるのだけれど、聴いているのは決して古いものの再生ではない90年代の音楽、というのが、彼らの特徴と言えるだろう。

 個人的な好みのナンバーを少し挙げておこうと思う。1.「ランアラウンド」は、アルバムのオープニング曲にして、シングル・カットもされて全米8位となったナンバー。落ち着いたテンポで適度に肩の力が抜けた感じがいい。他に聴き逃がせないと思うのは、ミッドテンポの3.「ルック・アラウンド」および11.「ジャスト・ウェイト」、上記の“安心感”の象徴と言ってもいい5.「ザ・マウンテンズ・ウィン・アゲイン」、シングル・カットされた9.「フック」(全米23位止まりだったとはもったいない…)。

 ともあれ、1990年代当時の作品であると同時に20年、30年(いや、きっとそれ以上)経っても同じように安心して聴ける“新たなスタンダード盤”と言える1枚だと思う。


[収録曲]

1. Run-Around

3. Look Around
4. Fallible
5. The Mountains Win Again
6. Freedom
7. Crash Burn
8. Price to Pay
9. Hook
10. The Good, the Bad and the Ugly
11. Just Wait
12. Brother John

1994年リリース。





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Last updated  2019年05月04日 08時42分36秒
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