音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2019年09月10日
XML
テーマ: Jazz(1978)
カテゴリ: ジャズ
晩年のライヴ3部作の1枚にして白熱盤


 ドロシー・ドネガン(Dorothy Donegan)という女性ピアニストは、筆者にとっては“熱い人”という先入観ができあがってしまっている。1922年生まれで、1940年代には既にレコーディング活動をしており、1998年に76歳で亡くなっているが、エンターテイメント性に溢れ、強烈な個性( 参考過去記事 )を持った彼女の活動は、晩年においても変わらなかった。

 彼女の個性である“熱さ”というのは、“濃さ”と言い換えてもいいかもしれない。少々聞こえはよくないかもしれないが、“アクの強さ”と言い換えることもできる。要するに、“あっさり”というよりは“粘っこい”、“美しい”というよりは“泥臭い”(もちろんどちらもいい意味で)、そんな演奏者なのである。

 本盤『ライヴ・ウィズ・ディジー・ガレスピー(The Incredible Dorothy Donegan Trio Live at 1991 Floating Jazz Festival)』は、1990年代、原題にあるように船上でのジャズ・フェスティバルでの演奏を収めたものである。日本語の表題は、いくぶん羊頭狗肉で、ディジー・ガレスピーがトランペットで参加しているのは3.「スウィート・ロレイン」のみである(もちろん、ガレスピーのミュート演奏の客演はそれはそれとして楽しめる)。つまり、ほとんどはピアノ・トリオ演奏なのだが、このトランペット参加曲のほか、5.のようなヴォーカル・ナンバーも収められているし、随所でMCも楽しませてくれる。

 演奏そのものと同時に、曲の進行にもドネガンらしい自由度の高さがうかがえる。メドレー形式の1.「ワルシャワ・コンチェルト~ラヴァ―」と2.「イージー・リヴィング~ハッピー・ゴー・ラッキー・ローカル」だけでも十分楽しめるのだけれど、アルバム末尾の9.「セント・ルイス・ブルース」に至っては、「アメージング・グレイス」が入ったかと思えば、いきなり賛美歌も挿入されるといった破天荒ぶりで、文字通り“何が出るかはお楽しみ”といったエンターテイメント性に富んでいる。

 ちなみにこのキアロスクロというレーベルからは本盤の前年にトリオ盤、翌年にクラーク・テリーを客演に迎えた盤が発表されている。いずれも年度の異なる同じ洋上ライヴとのことだが、筆者はまだ本盤しか聴けておらず、いつか残る2作も聴いてみたいと楽しみにしている次第である。


[収録曲]

1. Warsaw Concerto / Lover Medley

3. Sweet Lorraine
4. Remarks By Dizzy Gillespie
5. Time After Time
6. Things Ain't What They Used To Be
7. Tea For Two
8. Bumble Bee Boogie
9. St. Louis Blues


[パーソネル、録音]

Dorothy Donegan (p), Jon Burr (b), Ray Mosca (ds)
特別ゲスト:Dizzy Gillespie (tp, 3.)
1991年録音。





ライヴ・ウィズ・ディジー・ガレスピー [ ドロシー・ドネガン・トリオ ]




   以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、
   クリックで応援よろしくお願いします。
       ↓      ↓      ↓

にほんブログ村 音楽ブログ ジャズへ ブログランキング・にほんブログ村へ





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2019年09月10日 15時46分18秒
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: