音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2025年06月04日
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テーマ: Jazz(2003)
カテゴリ: ジャズ
晩年のペッパーによる西海岸ジャズの芳香


 アート・ペッパー(Art Pepper,1925年生、1982年没)の人生は、ヤク中で身を持ち崩し、誉められたものではなかったかもしれない。若き日の煌めきは明らかに色褪せていったが、それでもなお、年齢を重ねてからのペッパー作品には感動を覚える聴き手も多く存在する。本盤『ある恋の物語(Historia de un Amor)』(『エンジェル・ウィングス』としてもリリースされている模様)は、1980年に吹き込まれた作品である。

 共演者はジャック・シェルドン(Jack Sheldon)。かつてトランぺッターとしてジャズ界で名を馳せた彼は、1960年代の途中からTVの世界に活躍の場を移していた。そんなシェルドンがジャズの世界に復帰し始めたのは、このアルバムの頃からだった。 

 アルバムの内容は、爽やかさから情感漂う演奏まで、全般に西海岸ジャズ的な香りが漂う盤と言えそうである。筆者の好みでいくつかの演奏を挙げるとすると、まずは、冒頭の1.「エンジェル・ウィングス」。ペッパーらしい歯切れのいい演奏、シェルドンとのアンサンブルが心地いい1曲である。アルバム表題の2.「ある恋の物語(イストリア・デ・ウン・アモール)」は、メキシコの有名曲であるが、ラテンっぽさを強調するというよりはメロディを哀愁的に奏でるといった風情である。

 4. 「ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ」 は、代表盤の 『ミーツ・ザ・リズム・セクション』 に収録されていたナンバーだが、本盤ではテンポを落としてじっくりと聴かせる演奏を披露している。7.「マイノリティ」は密かな好演で、テナーとトランペットの絡みもよければ、ペッパーのテナーそのものも実に冴えている。後期ペッパーの演奏をいま一つと評する意見もあるが、この演奏なんかはかなりの本領発揮と言えるものではないかと思う。時代背景的に、西海岸ジャズの人気が盛り返す雰囲気があったわけだが、この作品は、まさしく西海岸の香りが漂う盤の一つとも言えるのではないだろうか。


[収録曲]

1. Angel Wings

3. Softly as in a Morning Sunrise
4. You'd Be So Nice to Come Home to
5. Jack's Blues
6. Broadway
7. Minority


[パーソネル、録音]

Art Pepper (as), Jack Sheldon (tp), Milcho Leviev (p), Tony Dumas (b), Carl Burnett (ds)

1980年2月21・22日録音。




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Last updated  2025年06月04日 05時35分47秒
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