音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2025年11月17日
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テーマ: 洋楽(3563)
『ネブラスカ』全曲紹介(第2回)


 ブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)のアルバム『ネブラスカ(Nebraska)』の全曲紹介の2回目です。

 アルバムの2曲目は「アトランティック・シティ(Atlantic City)」というナンバーです。このアトランティック・シティという町は、アメリカ東海岸随一のカジノがある観光都市で、スプリングスティーンの故郷であるニュージャージー州にあります。弾き語るというよりは確かなテンポで歌っていて、コーラスが印象的です。ハーモニカの間奏も聴き手の脳裏に残りやすいものになっています。詞の内容は、カジノにはまってしまい、返しようのない借金を抱え込んだ男が危ない世界に足を踏み入れていこうとする姿。その状況が、主人公を1人称にした形で語られていきます。当然、犯罪に手を染めるこの男(詞の中にはその恋人がいることも明示されています)が悲惨な末路を迎えるであろうことは想像に難くありません。そして、こういう境遇の男だからこそ、”ベイビー、あらゆるものは死ぬという運命なのさ”と言いつつも、”きっと、死んだものはすべて、いつか蘇るのさ”と儚い希望を口にするわけです。

 続く3曲目は、「マンション・オン・ザ・ヒル(Mansion on the Hill)」です。そのまま日本語に訳せば、“丘の上の邸宅”となるでしょうか。殺人や犯罪というテーマの最初の2曲に比べれば、一見して牧歌的なナンバーです。というのも、幼い頃ないしは少年時代の情景といったようなものが詞になっているからで、トウモロコシ畑で遊ぶ姉弟の姿などはそんな印象を与えます。けれども、実のところ、その情景というのは、工場務めをする労働者階級の人とその家族が見上げる丘の上の大きな家が主題になっているのです。つまり、この階層の人たちは、永遠にそこに住むことはなく、いつもその邸宅を見上げるだけ。だからこそ、曲の最後は、現在に時間が飛び、工場から帰宅する車の渋滞の列で、自分自身が“丘の上の家の上に”輝く美しい満月を見上げるという情景描写で締めくくっています。

 さて、4曲目は「ジョニー99(Johnny 99)」。表題の“ジョニー99”(99は“ナインティーナイン”と読みます)は、この曲の詞の主人公のあだ名です。職探しがうまくいかず、あげくに泥酔して店員を撃ち殺したラルフなる主人公は、懲役98年プラス1年(つまり99年)の判決を受けて服役することになり、こう呼ばれたわけです。この曲では、ラルフは、最初は3人称(“彼”)で語られている。それが次第に1人称(“私”)に変わっていき、最後は、判決をやり直せるものなら死刑にし、“俺を処刑場へ送ってくれないか”と悲痛な叫びをあげます。ファルセットの部分を含め緊迫感のあるヴォーカルが、この心情の吐露を赤裸々に伝えるという、そんな1曲に仕上がっています。

 今回はここまでということで、次回(第3回)に続きます。


元アルバム過去記事: 
ブルース・スプリングスティーン『ネブラスカ』 (1982年リリース)

『ネブラスカ』全曲紹介: 
第1回(「ネブラスカ」)





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Last updated  2025年11月17日 06時03分53秒
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