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2006年01月01日
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テーマ: ニュース(96853)
カテゴリ: 読書
巷にあふれる歴史改ざん書籍は、南京大虐殺や従軍慰安婦問題、朝鮮人強制連行問題などを無かったものだ、虚構であると主張しています。そういう主張こそ根拠の無い妄想なのですが、政府がわが国近代史の教育にあまり熱心でなかったこともあり、しっかりした歴史認識を持たない一般人が、これだけ沢山の本がそう主張するのならそうかも知れないと誤解しても無理は無いような状況で、こういうことを歴史研究家は見て見ぬふりをしてはいけないと思います。戦後60年、わが国近代史が完璧に研究し尽くされたわけではありませんが、これまでに学問的に明らかになったレベルで、いま巷に氾濫する「歴史改ざん」勢力の策謀を阻止する必要があるのではないかと、私は常々思っておりましたが、昨年8月には岩波書店から「朝鮮人戦時労働動員」(山田昭次、古庄正、樋口雄一共著、\3,150)が上梓されました。
 最近、「朝鮮人強制連行」を虚構であると言い出したのは東大教授の藤岡信勝であるとして、この本の序章で山田昭次は次のように述べています;




(1)朝鮮総督府が置かれ、初代総督として伊藤博文が就任した。
(2)朝鮮は、日本が明治維新以降初めて獲得した海外領土であった。
(3)日本による併合と同時に、創氏改名が実施された。
(4)第二次世界大戦中、日本への強制連行が行われた。
正解は(4)である。

これに対して自由主義史観の提唱者で、かつその指導者の一人である藤岡信勝は、1月22日付『産経新聞』の「正論」欄に「拉致解決妨げるセンター入試問題」と題して、この問題が「極めて不公正で不適切な設問である」と異議申し立てを行った。

 その第一の理由は上記の用語のうち、「朝鮮総督府」や「創氏改名」は、当時その言葉が使われていて歴史的事実に属するが、「強制連行」は次元を異にし、「政治的な糾弾の機能を担う造語」であるということである。だが、 当時使われた用語がその歴史的内容を表現していないと認定されれば、新しく用語を設定することはいくらでもある。例えば「支邦事変」とは当時の用語である。しかし今日では「日中戦争」という。 藤岡も執筆者の一人である扶桑社版中学校歴史教科書「新しい歴史教科書」の文部科学省の2000年度検定申請用のいわゆる白表紙本でも「日中戦争」という用語を使っている。これは「支邦事変」という用語は戦争であることを誤魔化し、歴史的内容を適切に表現していないからであろう。したがって当時使われた用語でないからといって、新しく作られた歴史的用語を非難する理由はない。


岩波書店刊「朝鮮人戦時労働動員」(山田昭次、古庄正、樋口雄一共著、\3,150) 1~2ページから引用

この引用部分に表れているように、「歴史改ざん」派の主張の根拠はレベルの低い、たわいも無い認識不足によるもので、歴史学が専門ではない藤岡信勝は教科書執筆などやめたほうが生徒の教育のためというものです。「朝鮮人戦時労働動員」では、「歴史改ざん」派を批判するだけに止まらず、政府機関や企業に残された史料を基にした現在の「朝鮮人強制連行」研究のレベルを客観的に振り返っており、好著といえます。改ざん派のデタラメ史観に惑わされることのないよう、一読をお勧めしたいものです。






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最終更新日  2006年01月01日 12時10分01秒


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