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脳出血で倒れ、二度目の発作を起こした明治生まれの祖母を見舞うため、フィールドさんは一九九五年六月、成田空港に降り立つ。病床で祖母や母と過ごした幼いころの記憶をたどり、この国の戦後の変化と行く末に不安を募らせる。
占領軍の軍人だった父と離別した母。東京で写真館を営む祖母は、孫娘を自分の布団に入れて育ててくれた。意識が混濁している祖母にフィールドさんはふと訊(き)いてみる。
「おばあちゃま、へんな子をお医者さんのところへ連れて行くのは、いやじゃなかった?」。長い沈黙のあと祖母は目を閉じたまま「へんな子じゃないもん。自慢の子だもん」と答えた。この「甘美この上ない別れの言葉」が本のタイトルになった。
フィールドさんは十八歳まで暮らしたこの国が 今「個人なき個人主義と物言う人間を攻撃する、連帯とは無縁の集団意識の時代に陥り、戦後民主主義の夢を最終的に手放す瀬戸際にさしかかった」と危惧(きぐ)する。
自民、公明党が教育基本法に「国と郷土を愛する態度」を明記することに合意した。藤原正彦著『国家の品格』(新潮新書)が与党議員に好評という。自らの年金疑惑を「人生いろいろ、会社もいろいろ」とはぐらかした宰相の党から品格など教わりたくない。
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