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2020年10月27日
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テーマ: 本日の1冊(3757)
カテゴリ: 読書
稲田豊史著「『こち亀』社会論」(イースト・プレス刊)について、ライターの永江朗氏が3日の東京新聞に、次のような書評を書いている;




 『こち亀』とは秋本治のギャグ漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』のこと。東京・下町出身の少々がさつな警官、両さんこと両津勘吉が主人公の人気作品で、1976年から40年間にわたって少年漫画誌に連載された。



 『こち亀』は現代の浮世絵である、というのが著者の見立て。庶民の社会風俗を細かく描き込んだ浮世絵は、江戸時代の人びとにとって、いま何か起きているのか、どんなことが流行っているのかを知るメディアだった。後世の私たちにとっては、過去を知るタイムマシンである。『こち亀』もまた、連載時の日本社会を描いた。しかも、読者対象は小中学生。両津警官、つまり庶民の視点で、世の中がどうなっているかを子供たちに教えてくれたのだ。

 具体的にはどんなことを?

 たとえばバブル経済や地価狂乱について。1987年のある回では、両津の大叔父が都心に持っていた10坪の土地に10億円もの値段がつくというエピソードが登場。その他にもスーパーMMC(市場金利連動型預金)など経済ネタは多かった。「バブルははじけて初めてバブルと気づく」などというけれど、『こち亀』の作者はあの時代の異常性に気づいていたのだ。

 世相や流行、世間を騒がせる事件などを次々と題材にしながら、なぜか描かれなかったものがあると著者は指摘する。東日本大震災だ。阪神淡路大震災では両津らがボランティア活動をしているのに、東日本大震災についてはまったく触れなかった。その理由のひとつとして著者は、原発問題など政治性のあることについて触れるのを回避したためではないかと推測する。現代の浮世絵師にも限界はあったのだ。

 現代の視点では問題のある表現についても指摘している。とりわけ差別的な女性観・ジェンダー観については、丸ごと1章を割いて批判的に検証している。贔屓(ひいき)の引き倒しにならないところがいい。ギネス記録だという『こち亀』全200巻読破に挑戦したい。
<評・永江朗(ライター)>

稲田豊史著「『こち亀』社会論」(イースト・プレス刊)1870円

いなだ とよし 1974年生まれ。編集者・ライター。著書『ばくたちの離婚』など。


2020年10月3日 東京新聞朝刊 9ページ 「読む人-世相を描く現代の浮世絵」から引用

 「こちら葛飾区亀有公園前派出所」というタイトルのマンガの作者は、最初「山止たつひこ」というペンネームだった。このマンガが一定の人気を獲得して「週刊少年ジャンプ」の「定番」になった頃に、現在の「秋本治」になって、その時メディアの取材に応えて、「山止たつひこ」というペンネームを使っていたのは、自分がマンガを志した頃、爆発的なヒットになっていたのが「がきデカ」というマンガで、その作者が「山上たつひこ」だったので、その彼の勢いを止めてやろうと考えて「山止たつひこ」にしたのだったと説明していたのを、思い出しました。山上たつひこ氏の「がきデカ」は10年くらい連載を続けて終了しましたが、「こち亀」のほうはその後も延々と続いて、とうとう40年になりギネスブックに記載されるような大記録になりました。40年の間に変化したジェンダー観や、阪神淡路大震災にはボランティアに行ったのに、東日本大震災のことはまったく触れられなかった理由とか、興味を引かれます。





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最終更新日  2020年10月27日 01時00分05秒


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