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いや、ひどい話なのだということはわかっている。なにしろ前例のないことではあるのだし、三権分立が大切だということは、中学校の社会の時間に習って以来よく知っている。ただ、どれほどひどいのかという「程度」の問題が、実は、わかっていなかった。多方面で身勝手な横紙破りをやらかしている安倍さんと、その周辺の人間たちが、例によって、身びいきの人事を敢行したのであるうと、そう考えていた。もちろん、検事長というポストが普通の公務員とは違うことはわかっていたし、そこに手を突っ込んだことについては、 「しかしまあ、どこまで調子ぶっこいているのだろうか」 くらいには思っていた。
でも、本当のところは、やはりわかっていなかった。思うに、今回の検事長の人事は、安倍さんにとって、単に調子ぶっこいている猿山人事の一環という程度のお話ではない。
おそらく、この検事長人事は、安倍さんにとって、絶対に譲ることのできない、政治生命にかかわる一大事なのだと思う。
最初に「あれっ?」と思っだのは、産経新聞がその社説の中で、正面からこの人事を批判してみせた時だった。
「おい、産経が社説で批判するのか?」
と、私はたいそう驚いた。というのも、第2次政権発足以来、産経新聞は、およそどんな局面でも安倍政権を擁護する田舎のおかあちゃんみたいな存在だったからだ。その身びいきの露骨さは、時に滑稽なほどだった。その産経新聞が批判にまわっているのは、これはよほどのことなのではあるまいか、と、この時、はじめて、私はこのたびの黒川人事の異常さを実感した。
自民党内でも、この人事については異論が多い。検察内部でも、現役の検事正が顔出しで真正面から批判の論陣を張っている。
してみると、これは、前代未聞の、全方向的にあり得ない卓袱台返しで、身内でさえ誰一人擁護できないほど筋の通らない、クソ人事なのであろうな、と、ようやく私は理解したのだが、この時の理解もまだまだ甘かった。というのも、私は、 さすがの安倍さんも、ここまで四面楚歌の状況に陥った以上、いったんは検事長の定年延長事案をひっこめて、出直すだろう と考えていたからだ。
国会答弁でも、この件に関しては、ほとんどまったくマトモな回答ができていない。人事院のお役人も、森雅子法務大臣も、支離滅裂どころか、恥さらしとしか言いようのないデタラメな答弁を繰り返している。
で、つい昨日(というのは3月9日)、その森雅子法相が、9年前の東日本大震災の折、公務を投げ出して逃げた検事がいたことを、今回の定年延長の根拠のひとつとして掲げる、驚天動地のおとぎ話答弁をしているのを見て、ようやく私は悟った。 つまり、安倍さんにとって、この人事は、どんな赤っ恥をかいても押し通さなければならない彼の生命線なのである ということを、だ。
つまり、安倍さんは、ガチで自分が逮捕される近未来を予測している。 そして、その事態を心底から恐れている。だからこそ、なりふりかまわず、国会答弁を踏みにじる勢いで当該の人事を貫徹しにかかっているわけだ。
ところで、安倍さんが恐れている逮捕事案(検事総長の首を無理矢理にすげ替えてまで隠蔽しようとしているできごと)とは、いったい何だろう? この 腐った人事の向こう側には、どんな犯罪が隠れているのだろう。
それを、今後半年ほどの間に見極めたいと思っている。楽しみがひとつできた。
([GQ]2020年5月3日)
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