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プーチンは、「1991年にソ連邦が崩壊した時、ウクライナに置き去りにされた1200万人のロシア同胞を救え!」という国内世論の嵐に応える必要があったのである。 (ミアシャイマー、コーエン、マトロック駐露大使の3人は、「アメリカが仕掛けた2014年のクーデターにより、米露関係は実質的な戦争状態に入った」と述べている。その通りである。オバマ政権のウクライナ・クーデターは、ロシアに対する露骨な挑発行為であった。)
事態を憂慮した独仏両政府は2014年と15年、ミンスク協定と呼ばれる妥協案を成立させた。露・ウクライナ両国は、この協定に署名した。この協定では、ドンバス地域に住む親露派住民に一定の自治権を与えることを条件として、露・ウクライナ両国は武力紛争を停止することになっていた。しかし米政府とウクライナの右翼集団がミンスク協定の実施に激しく抵抗したため、この協定は無効になってしまった。 ネオコン族と米政府内の好戦派とウクライナの国粋右翼は、ロシアをウクライナとの戦争に引きずり込みたかったのである。
2014年のクーデターに成功してウクライナを”保護国”としたアメリカは、活発な軍事介入を始めた。数百名の米軍将校をウクライナに常駐させて、ウクライナ軍と極右集団に対する米国製兵器の供与と軍事教練を行った。米国本土にウクライナ軍を滞在させて、米軍と共に戦う訓練も実施された。 公式には「NATO加盟国」ではないウクライナが、着々と「アメリカの実質的な軍事同盟国」になっていったのである。この動きは、ロシアにとって強烈な脅威となった。 米国製の最新兵器がウクライナに大量に流れ込み、米軍の情報システムと戦闘指揮システムを使いこなせるウクライナ軍が出現すれば、隣国ウクライナはロシアに対して巨大なダメージを与える攻撃力を持つ軍事国家に変貌するからである。
しかも2021年、バイデン政権になってから、ドンバス地域に駐留しているロシア兵が、米軍に訓練され、米国製のドローンを使用するウクライナ兵によって殺害され始めた。じりじりと追い詰められたロシア政府は、「このままではロシアの立場は、毎年、着々と不利になっていく。 手遅れにならないうちに、ウクライナの軍事力増強の流れを止める必要がある」と決断した。プーチンは、ウクライナ侵攻を決意したのである。
2014~22年のロシアは、着々と戦争せざるをえない状況に追い込まれていった。西側諸国のマスコミが報道するように、「狂気のプーチンが、突然、何の理由もなくウクライナに襲いかかった」のではない。2014年以降、執念深く米露軍事衝突の可能性を増大させていったのは、米政府とネオコン族であった。 好戦的で挑発的であったのはアメリカである。
◆米露戦争長期化で利益を得るのはチャイナ
米政府は今回の露・ウクライナ戦争を長期化させることによって、ロシアの軍事力・経済力・国際政治力に、決定的なダメージを与えることを狙っている。この戦争は、陰惨な泥沼状態の長期戦になる可能性がある。現在の米政府が望んでいるのは、ロシアのレジーム・チェンジ(体制転換)であり、次のロシア政府の「エリツィン政権化」である。エリツィン時代のロシアは、米政府の言いなりであった。マトロック大使が指摘したように、「米政府はロシアを、まるで敗戦国日本のように扱っていた」。アメリカはロシアを「敗戦国日本のような従属国」に作り変えたいのである。
筆者は、そのようなレジーム・チェンジ構想が成功するとは思わない。ロシアは豊富な自然資源を持つ、核兵器大国である。西側諸国から厳しい経済制裁をかけられても、簡単に屈服する国ではない。しかもロシア人は、とても粘り強い。対ナポレオン戦争でも対ヒトラー戦争でも、鈍重で田舎っぽくて”野蛮な”ロシア民族は、目の玉が飛び出るような巨大な犠牲を払って自国の独立を死守した。 一度戦争に負けると、あっと言う間に「護憲左翼」や「拝米保守」に変身してしまう”素直な日本人”とは、価値観や文化が違うのである。
現在のウクライナ人は、米露間の覇権闘争に利用されているだけである。米政府もネオコン族も、本音レベルでは「親ウクライナ」などではない。米政府は本気で「ウクライナの民主化」や「西欧化」が可能だと思っている訳ではない。ウクライナの内政は、他の欧州諸国よりもはるかに腐敗している。現在のウクライナは、真の法治国家になれない。
今回の米露戦争の長期化・泥沼化によって、最後に笑うのはチャイナである。 このような愚劣で不必要な対露戦争を長期化させれば、アメリカは中国封じ込め政策を遂行する能力を失っていく からである。それによって強烈なダメージを被るのは、勿論、日本である。自主的な核抑止力を持たない日本は、十数年後に滅びるであろう。
(終わり)
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