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『橋のない川』は部落差別を告発した小説として知られる。誠太郎&孝二兄弟の少年・青年時代を描いた物語は波乱に富み、今読んでも新鮮。60年以上読み継がれてきたロングセラーだ。
水平社宣言から、今年で100年。日本近代文学館(東京都目黒区)では、すゑの業績をたどった特別展「生誕120年住井すゑ、95年の軌跡」が開かれている。
1902(明治35)年、奈良県に生まれたすゑは少女雑誌の投稿者として鳴らし、小学校教師を経て17歳で上京。講談社の編集担当に採用された。ところが翌年、女性のみ日給という差別待遇に抗議して退社してしまうのである。
その後は、同棲(どうせい)相手で後に結婚した作家の犬田卯(しげる)が病身だったこともあり、4人の子を育てながら童話を書きまくって生計を支えた。『橋のない川』に着手したのは夫を看取(みと)った後である。
若い頃は無産階級の女性解放運動に参加し、晩年は自宅敷地内の集会所で読者と対話を続ける。絶大な人気を誇る一方、論争の火種も提供。闘う作家だったのだと再認識した次第。特別展は11月26日まで。お見逃しなく。
(文芸評論家)
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