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2023年06月20日
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テーマ: ニュース(95880)
カテゴリ: ニュース
アメリカと戦争を始めれば、日本は必ず負ける。開戦前から分かっていたのに、何故対米戦争を始めたのか。毎日新聞専門記者の栗原俊雄氏は、3日の同紙に次のように書いている;




 自国を守ろうとしない国を他国が守ってくれることは考えにくい。さらに昨今の国際情勢からして、防衛力の強化は必須なのかもしれない。ただし、戦前昭和史の視座から見ると懸念がある。それは安全保障にまつわる「情報操作」だ。

 この点、 「日米開戦と人造石油」(朝日新書) が示唆に富む。筆者の元石油公団理事、岩間敏さん(76)は早稲田大卒業後、日本経済新聞社などを経て石油開発公団(後の石油公団)へ。旧通産省調査員や米ハーバード大客員研究員、同公団のパリ、ロンドン事務所長などを務めた。退職後は吉田裕一橋大教授(現名誉教授)に学び、エネルギーの視座から日本近現代史を研究している。

      *  *

 82年前、大日本帝国は米国などと戦争を始めた。主戦場は太平洋で海軍の役割が大きい。しかし「勝てると思った人はいなかったでしょう。海軍は国家産業力そのもの」と岩間さん。 多数の艦船を造り維持する。港湾を整備し砲弾を造り続ける。そうした産業力が米国に及ばないことは当時も明らかだった。

 避戦派の筆頭が連合艦隊司令長官、つまり現場の最高指揮官だった山本五十六だ。世界の海戦史に残る1941年の真珠湾奇襲を指揮したこの提督は、時の近衛文麿首相から対米戦の意見を聞かれ、述べた。「是非やれと言はれれば初め半歳か一年の間は随分暴れてご覧に入れる。然ながら2年3年となれば全く確信は持てぬ。(中略)日米戦争を回避するやう極力御努力願ひたい」(近衛「平和への努力」)。 「勝算なし。戦争は避けてほしい」という、軍人としては思い切った発言である。

 実際は、米国が要求していた中国からの撤兵を陸軍が頑として拒否し、近衛内閣は総辞職。 昭和天皇は陸軍開戦派の急先鋒だった東条英機を首相に選び、戦争に突き進んだ。

 日米戦回避を強く主張した山本は、戦後今日に至るまで高く評価されている。しかし、岩間さんの評価は辛い。「(山本が)『やれば絶対に負けます』と言っていれば開戦はできなかった」。「海軍はアメリカを仮想敵国として、膨大な国費を費やして営々と軍備を整えてきた。軍人が『戦えない』とは言えないのでは?」。そう私か尋ねると 「負けるものは負けると言わないと。国の存亡をかけるときに、メンツにこだわっていたら国を滅ぼしてしまう。実際にそうなってしまいました」。

      *  *

 日本の為政者たちはどう戦争を終わらせるつもりだったのか。問題は重要な戦略物資である石油。日本は米国からの輸入に頼っていた。ところが41年夏、米国は対日経済制裁として禁輸した。日本は東南アジアの資源地帯を占領して石油などを確保し、不敗の態勢を整えることを目指した。「勝てないまでも負けない。きりのいいところで講和に持ち込む」という「戦略」だ。

 それには海上輸送路の確保が必須となる。当然、連合国軍の妨害を受ける。どれだけの被害を受けるのか。海軍軍令部第4課が41年10月下旬、開戦2ヵ月前に急いで試算したところ、戦時下の1年当たりの船舶の沈没は最大で100万総トンであった。これくらいの消耗ならば新造船との兼ね合いで輸送力は確保できる-という見立てだった。

 同課は、元になるデータとして第一次世界大戦(14~18年)のものを使用した。ドイツ軍潜水艦などによる連合国の船舶消耗量は1年平均で281万トン。第二次世界大戦が始まった39年9月から41年5月まで、イギリスなど連合国や中立国の消耗船舶は670万総トンで、直近の過去1年では510万総トンに及んでいた。1年当たりで第一次大戦の2倍近くに及んでいたのである。重要なことは、このデータを陸軍と日本郵船が把握していたことだ。

 「海軍は把握していなかったのでしょうか」。そう聞くと、岩間さんは「当然知っていたでしょう」。だとすれば、 あえて古いデータを用いて被害想定を低く見積もり、政府に提出したことになる。国策を誤らせる詐術といえる。

 軍事力は時として、それ自体が意志を持つかのように国家を誤った方向に引きずっていく。大日本帝国が残した教訓だろう。

 近年、公文書を巡っては改ざんや隠蔽などの問題が相次いでいる。もともと軍事に関する情報は表に出にくいゆえ、軍事費が膨らむほど市民がうかがい知れない情報も膨らむ。政府は軍事力に関する情報を正しく発信しているか。隠蔽や操作をしていないか。 疑いの目をもってチェックし、安全保障に関する情報の民主主義を守ることが、メディアの責任である。
(専門記者)


2023年6月3日 毎日新聞朝刊 13版 10ページ 「現代をみる-軍事費拡大と情報操作」から引用

 この記事は書き出しの部分に「自国を守ろうとしない国を他国が守ってくれることは考えにくい。さらに昨今の国際情勢からして、防衛力の強化は必須なのかもしれない。」などと書いて、防衛費増額に異論を唱える者は「自国を守ろうとしない」者であるかのように表現しているのは遺憾である。わが国は自衛隊を置いて、正々堂々自国を防衛するという姿勢を内外に鮮明に示しているのであって、最近になって岸田内閣が「防衛費を増額」すると言い出したのは、敵基地攻撃能力を取得するという意味であり、これは取りも直さず「専守防衛を捨てて、隣国侵略を始める」という「号砲」なのだから、国民は総力をあげて内閣の「野望」を打ち砕く必要があります。「昨今の国際情勢からして、防衛力の強化は必須」などとも書いているが、これも浅はかで愚かな思考の結果としか言いようがない。ウクライナがロシアの侵攻を受けたのは、アメリカの尻馬に乗って自国に米軍基地を置こうとしたからであり、朝鮮民主主義人民共和国のミサイル実験は日本を標的にしたところで共和国には何のメリットも存在しないことは明らかであり、ミサイル実験の真の目的はアメリカに共和国差別を止めさせるための「協議の席」に付かせることが目的である。82年前の大日本帝国は、泥沼に嵌まった日中戦争を途中で止めては格好が付かないとばかりにアメリカに宣戦布告したが、最初から勝ち目がないことは分かっていたのに、誰もそれを言い出せず、軍も内閣も天皇もお互いの面子のために対米戦争を止める者はなかった。そのせいで日本人は300万人が死に、東アジア諸国の人々が2千万人も死んだ。こういう悲劇を繰り返さないためには、岸田内閣がやろうとしている防衛費倍増を阻止しなければならないと思います。





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最終更新日  2023年06月20日 01時00分05秒
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