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2023年08月07日
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テーマ: ニュース(96853)
カテゴリ: ニュース


 70年代前半のフランスに人工妊娠中絶を合法化する法律を成立させた政治家、シモーヌ・ベイユについて、毎日新聞専門編集委員の伊藤智永氏は、7月22日の同紙に次のように書いている;




 一方、多くのフランス人が同じ発音の姓名を聞いて思い浮かべるのは、20世紀後半の政治家である(ただし、「べ」のスペルは、思想家がW、政治家はV)。その不屈の生涯を描いた映画「シモーヌ フランスに最も愛された政治家」が、28日から公開される。

 1970年代前半、フランスの世論は人工妊娠中絶の合法化を巡り2分した。この時、司法官から保健相に抜てきされ、法案成立の陣頭に立つだのがベイユだ。

 堕胎は当時犯罪だったが、闇で年間30万人が危険な違法手術を受けていた。カトリックの影響が強く、保守派が過半数を占めていた議会で、女性自身に決定権を与える法案をいかに通すか。

 ベイユは哲学論争やフェミニズムの権利主張を避け、 産んだ子を母として育てられるのかに論点を絞り、「喜んで中絶する女性はいません。中絶が悲劇だと確信するには女性に聞けば十分です」と説く。ついに反対派から「中絶には反対だが、法案は支持する」との発言を引き出し、採決で逆転勝利した。 討論で強調した 社会全体で育児を支える家族政策の主張が、約20年後の出生率回復につながったとも評価される。

 「胎児大量虐殺はナチスと同じ」。心ない攻撃も受けた。ペイユは16歳でアウシュビッツに送られ、両親と兄をホロコースト(ユダヤ人大虐殺)で奪われている。収容所で「一人の人間の中には野獣と聖人が矛盾なく共存し得る」という絶望を刻みつけられたが、だからこそ人間の可能性を信じる覚悟も生涯揺るがなかった。

 「偉大な女性」と呼ばれ、老若男女、右派左派を問わず広く愛されたのは、 どんな問題も人間とは何かの基点に立ち戻って考えた骨太な政治家への畏敬(いけい)だろう。

 直接選挙による欧州議会の初代議長に選出され、2017年に89歳で死去。国葬が営まれ、偉人が眠るパンテオンに5人目の女性として埋葬された。著名な妻を支え続けた夫も一緒に眠る。

 日本では女性の政治進出の少なさが問題になっている。人数が増えるのに異論はないが、職業政治家が凡庸でない情熱・責任感・判断力を求められるのに男女の別はない。まず本物の政治家であること。その人が男性か女性かは、誰も問題にしない。
(専門編集委員)


2023年7月22日 毎日新聞朝刊 14版 2ページ 「土記-敬愛された女性政治家」から引用

 70年代前半に「人工妊娠中絶の合法化」を巡って世論が2分されたとき、大統領が介入して政治力を発揮したりせずに、シモーヌ・ベイユを保健相に抜てきして徹底的に論議を尽くすというのは、さすがに民主主義の伝統の国だと思います。それにひき換え、日本では与党が意図した法案に対し、野党が追及しても言を左右にして「はぐらかし」「誤魔化し」質問時間が過ぎさえすれば、それで議論は打ち切り後は強行採決などという「茶番」を繰り返していれば、そんな議会からは社会を良くする法律など生まれるわけもなく、相変わらず富裕層が栄えて一般国民は困窮するという図式は変わらず、国力はずるずると減退するわけです。この度公開された映画「シモーヌ フランスに最も愛された政治家」を、一人でも多くの若者に見てもらって、「日本は、このままではダメだ」という認識を持ってくれることを期待したいと思います。





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最終更新日  2023年08月07日 01時00分07秒


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