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某自民党議員がフェイスブックに「チマ・チョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさん」と投稿し、札幌と大阪の法務局が人権侵犯と認定した。さらにアイヌ政策関連予算について会計不正があると主張し「公金チューチュー」と揶揄(やゆ)した。 この議員は日本学術振興会の科学研究費助成を受けたフェミニズム研究を誹謗中傷し、それが「名誉毀損にあたる」という判決も受けている。
これらは「差別問題」とされている。ヘイトスピーチ解消法やアイヌ施策推進法に反しているのだから、確かに差別だ。しかしこの議員に差別思想はあるのか? 思想という言葉の重さと言動の軽さの間には、気の遠くなるような深い溝がある。法務省が「特権ではない」と明言した事柄を「在日特権」と表現した差別も同じ構図なのだが、しかしこの公金・コスプレ表現には「差別思想」どころか、思想の「し」の字も見当たらない。だからこそ、怖い。
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ちなみに、あえてこの議員の名前を挙げないのは「自民党議員」というくくりで十分だからである。 この議員を問題視しない自民党では、他の議員たちも同じ感覚を持っている、とみなすことができる。
「公金チューチュー」という言葉は、これより前に使われていた。若年女性の支援をしている「コラボ」への攻撃だ。その攻撃に加担した人物のインタビューが公開された。彼は攻撃を率いたりーダーを巨大な公金不正組織と闘っている英雄だと思いこみ、彼のために多額の寄付金を集めた。そのリーダーは全ての責任を負って闘ってくれている「戦車」だったからだという。自分たちフォロワーを守り「さあ、お前ら攻撃しろ」と言ってくれる。その戦車は絶対正義であり、その闘いに参加し、リーダーの喜ぶ情報を集めて褒めてもらうのが、この上ない快楽だったという。これは「戦争ごっこ」だ。
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コラボにもアイヌ政策関連予算にも公金不正はなかった。 証拠も根拠もなく「悪」を作り上げて自らを正義とするのは、典型的な陰謀論詐欺である。「チューチュー」「コスプレ」等の言葉で生身の人間の存在の重さや深さ、事実に向かう真摯をことごとくゲーム感覚の「軽さ」に変換する。そうやって快感を与え、その快感で称賛者たちを集め、従わせ、彼らを集金装置や集票装置にするのだ。 この自民党議員がよく使うおはこが「生産性」である。相模原の障害者施設で19人を刺殺したとして死刑判決が確定した植松聖死刑囚も、優生思想や障害者を殺害したナチスの思想を知らなかったが「生産性のない人間は生きる価値がない」と言い放った。 生産性とは何か自分の頭では考えず、殺人を生産性に貢献する「正義」と思い込んだ。数値と競争のみで人間を測る社会が、その思い込みを生んだのだ。
イスラエルはガザで多くの人間を殺している。そのユダヤ人たちも膨大な人数が殺された。日本には、政治家を含め、人間への想像力を欠いた誹謗中傷を快楽とし、人の命と心を日々殺している人々がいる。
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