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首相が事実関係を自ら明らかにしないなら、中傷動画の作成・拡散に関わったとされる首相の秘書を国会に参考人招致する必要がある。
首相は5日の参院予算委員会で週刊文春電子版が公開した首相の公設第1秘書と中傷動画を作成した男性とのオンライン会議とされる音声について「秘書本人のものかどうか判断するのは難しい」と述べた。
首相は秘書とされる声に「違和感があった」としつつ、秘書ではないと否定もしなかった。男性とは自身も秘書も「面識がない」とし、オンライン会議も「記録がない」と強調した。公開された音声が本物なら、首相は国会で事実と異なる答弁をしたことになる。
立憲民主党の議員が促した第三者による調査も拒んだ。 首相が明確に説明できず、調査もしない以上、立民が秘書と男性の参考人招致を求めたことは妥当である。
参院予算委は委員長も含めて自民、日本維新の会の与党が過半数を占める。議席数の上では野党による参考人招致の要求を退けられるが、 自民党は自らの総裁選の公正性に疑念を持たれていることを深刻に受け止めるべきだ。
週刊文春によれば、首相陣営は今年2月の衆院選でも、野党・中道改革連合の候補者を中傷する動画を作成し、拡散させたという。SNSを悪用し、有権者の判断をゆがめようとしたとすれば、民主主義の根幹である選挙の公正を揺るがす重大な問題だ。
首相は自身の事務所が動画の作成と投稿を依頼したことはないと繰り返すが、 男性は5月に動画サイト・ユーチューブの番組で、動画の作成や拡散を「秘書とやりとりして実施した」と証言した。首相の説明をそのまま信じられるような状況ではない。
選挙の公正性確保は政治に対する信頼の前提であり、疑惑を不問に付すわけにはいかない。
米国などによるイラン攻撃で、国民は物価高騰と石油製品の不足への不安を募らせている。国民が政府と国会に期待するのは、暮らしの支援と早期和平に向けた外交を巡る論戦だろう。そのためにも疑惑の解明を急ぎ、活発に議論できる環境を整えるべきである。
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