Bookish Girl ~人生は芸術! 生活はアート!~

Bookish Girl ~人生は芸術! 生活はアート!~

2009.02.26
XML
カテゴリ: ブック・ガイド



可愛らしいイメージの作品があります。

幼い男の子の口語体で書かれた『化鳥』という短編です。


物語の舞台は、「女川」と呼ばれている、金沢の浅野川。

茶屋街沿いを流れる、この情緒ある川には、

いくつかの橋が架けられています。

物語の舞台となる「中の橋」は、

明治42年までの80年もの間、

私的な橋が架けられていて、

通行人から橋料を取る有料橋(一文橋)でした。


『化鳥』は、その「中の橋」のたもとで、

橋賃を得て暮らす母と幼い息子が、なにげない日常を送っている様子が、

少年の視点から、描かれています。

少年の視点、というより、少年の無意識・意識の世界観、というのかしら。


橋を通る人が、猪や猿や茸に見えたりして、こっけいで楽しい、とか、

橋賃を払わない先生より、花の方が美しい、とか、

川でおぼれかけた時に助けてもらったのが、五色の翼をもつ美しいお姉さんで、

もう一度会いたいけど、お母さんがいるから、いいや、とか、

ここに羅列してみると、どうでもよさそうだけれど、

いえいえ、実は、どうでもよくなく、そういうことが、大切だったりして、

一つ一つ、読み解くほど、奥深さが感じられてくるのですね。

日常を描きながら、ふっと立ち現れる姿なきものの姿が、魅力的です。


どのような時代になっても、「幻想」表現にこだわって書いた鏡花は、

時代錯誤で観念的だと、揶揄された時期もあったようですが、

わたしの心の目に映って感じられるのは、

鏡花という作家は、「幻想」という隠れ蓑を着ながら、

社会の暗部に鋭いメスを切り込んで、広く伝えようとした社会派の作家なんだなぁ~、

ということです。


ともあれ、登場人物が語るラスト2行に、

むんずと、魂をつかまれています。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2009.03.06 15:22:39 コメントを書く
[ブック・ガイド] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: