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茫茫

2005.07.08

同期のヤカラ

(3)

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　６月はわたしの誕生月だった。むかし恋したＥさんは同じクラスにいたはずだ。ではかの女もこの歳なのである。あのころは8歳だったというのに。教員などはすでに90歳前後という勘定になる。誕生日のたびに信じられないという感慨にふける。50代というのはそうした年齢なのだろう。

父は40代でわたしの前から消えた。女を追って他県へ走ったのである。そのときの父の年齢をすでにわたしは超えている。だが40代はおろかいまに至るも、豆絞りの手拭いに隠れ、手に手をとって矢切の渡し、という女はない。そもそも棄てさる子をもたぬ。西原理恵子（いい作家だ）流に勝ち負けで言うなら、わたしは父に負けているのである。だがなに、いまにみておれ。

イッセー尾形という人のファンだ。かれの初期の一人芝居は絶品だった。同年齢である。物書きの中島らもも同じだったが、かれは呑み過ぎで死んでしまった。同年齢の知名人というのは、中身よりも見た目が気になるね。服装、声の張り、歩き方。おこがましいのだが、その老け具合を我が身に引き較べているのである。
近所に住むＳはわたしよりも２歳年長になる。まあ、同期といって差し支えなかろう。先夜いっしょに呑んだ。胡瓜の漬物なんぞをつまみながら日本酒である。
―あれだ。以前は大生でウィンナー炒めなんて食ってたけど、もうダメだね
　とわたし。
―そうか。オレはいまでも好きだけどな
―けっきょく最後は体力なんだよ。ぎりぎりのとこじゃ体力が勝負だな、お互い
―なんだい、やっと気がついたのか

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