書評日記  パペッティア通信

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Apr 14, 2006
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カテゴリ: スポーツ・ゲーム



将棋ファンとして、本当に喜ばしいことだ。毎日新聞の「伝統」と「将棋連盟の負い目」に安住したような運営には、いい加減、飽き飽きさせられていた。

ZAKZAKでは、 記者の幼稚な反朝日感情を炸裂させただけの、「朝日VS毎日」の煽り記事 が書かれている。読売新聞朝刊も同じように、「契約解消へ」と確定的に書いていたことを知らない模様。メディアリテラシーがないアホ記者は仕方がない。まず、毎日新聞の声明文を見ておきたい。

将棋:「毎日の名人戦」守ります=東京本社編集局長・観堂義憲

 日本将棋連盟は名人戦七番勝負が始まる直前の3月末、毎日新聞社に対し、「来年度以降の名人戦の契約を解消する」と通知してきました。連盟が12日の棋士会に報告して公になりましたが、ここに至るいきさつと毎日新聞社の考えを読者の皆様に明らかにしたいと思います。

 将棋界で最古の伝統と最高の権威をもつ名人戦は、1935年に毎日新聞社が創設したものです。いったん朝日新聞社の主催に移った時期もありましたが、77年からは再び毎日新聞社の主催に戻り、将棋連盟と協力して運営してきました。 私たちは、名人戦の単なるスポンサーではなく、将棋連盟とともに最高のタイトルを育ててきたという自負 があります。

 ところが、通知書の郵送に続いて来社した中原誠・将棋連盟副会長は「長い間お世話になり、感謝している。名人戦の運営には何の問題もなく、あのような通知書を出して恐縮している」と切り出しました。

 なぜ契約解消なのでしょう? 中原氏によれば、朝日新聞が高額の契約金や協力金を示し、名人戦を朝日新聞にもってくるよう強く要請しているから、というのです。

 毎日新聞は将棋連盟と名人戦の契約書を交わしていて、これには来年度以降も契約を継続する、と明記しています。ただし書きで「著しい状況の変化などで変更の提案がある場合は両者で協議する」となっています。

 「著しい状況の変化」とは、たとえば将棋連盟から棋士が大量脱退して経営が立ち行かなくなったとか、毎日新聞が契約金を払えなくなった場合を意味し、他社の新契約金提示などの介入はそれには相当しないというべきでしょう。連盟に通知書の撤回を求めます。

毎日新聞は名人戦の契約金を将棋連盟の要請に応じて徐々にアップ してきました。このほか 王将戦をスポーツニッポン新聞社と共催しており、合わせて年に4億円 以上の支払いをしています。

 関係者によれば、朝日新聞が将棋連盟に提示した条件は年間5億円以上を5年間払う、というものです。 日本の伝統を大切にする将棋連盟が信義よりも損得を重視するのでしょうか

 30年前、朝日新聞と連盟の契約交渉が決裂しました。この時は、連盟がそれを公表したことを受け、 毎日新聞は復帰交渉に入ることをあらかじめ朝日新聞に通告したうえで連盟と契約しました。毎日新聞はきちんと手順を踏んだ のです。

 ところが今回の契約解消通知は、私たちにとりまさに寝耳に水でした。将棋連盟から契約金の値上げなど契約の変更要請は一切なく、朝日新聞からはいまだに何の連絡もありません。長年、共同で事業を営んできて、 しかもその運営には何の不満もなかったパートナーに対して、社会通念上も許されない行為 と言えるでしょう。

 毎日新聞は全国の将棋ファンのためにも、名人戦を今後も将棋連盟とともに大切に育てていきたいと思います。



この一文を読むと、なるほど、毎日新聞は可哀想、悪いのは朝日新聞…という声が出るだろう。ZAKZAKのバカ記者のような輩も出てくるのは肯けないことはない。しかし、この声明文の内容は、少し不思議ではないだろうか?  なぜ、毎日新聞は「王将戦」も主催しなければならないのだろうか ? 併せて4億円以上を出していると啖呵を切った毎日新聞。それは正しい。ただ、名人戦の契約料は、3億2千万円前後とされている。毎日新聞の王将戦の出費額は、簡単に算出できるだろう。ちなみに、読売新聞竜王位の賞金は3200万円、名人位の賞金は2500万円だが、王将位の賞金は300万円にすぎない。盲腸のような棋戦、王将戦。のように見えなくもない。

だが、皆さんはご存じか。 かつて毎日王将戦は、朝日名人戦、読売十段戦とならんで三大棋戦のひとつ だったことを。それが、今や、竜王戦・名人戦の1/10レベルの賞金しかない、格下の棋戦に成り下がってしまっていることを。

毎日新聞の「私たちは、名人戦の単なるスポンサーではなく、将棋連盟とともに最高のタイトルを育ててきたという自負」は、間違ってはいない。ただ、毎日新聞が卑劣にも口を拭い書かなかったのは、「 私たちは、王将戦を将棋連盟とともに最高レベルのタイトルとして育ててこなかった

この話は、1950年頃に遡る。この前後、日本社会はインフレに苦しんでいた。将棋連盟は、毎日新聞に「将棋名人戦」の契約料引き上げを要請する。ところが、毎日新聞は、インフレでも新聞購読料を上げられないことを理由に契約料引き上げを拒否。連盟側は、名人戦は何も毎日新聞だけではないと、朝日新聞に移管を打診。これでは、本当に朝日に名人戦を取られてしまう。毎日も、あわてて将棋連盟と交渉をもつが、結局決裂。世にいう、「朝日新聞名人戦騒動」である。てんやわんやの末、1951年から朝日新聞が主催することになった。ここまでは、将棋ファンなら誰でも知っていることであろう。

しかし、この時。
ある野望が実行に移されようとしていたことは、意外と知られていない。

その野望の主は、「朝日新聞の執権」とまでいわれた剛腕専務、信夫韓一郎。
GHQに公職追放されていた村山長挙朝日新聞元社長(社主家)の懐刀として、
朝日新聞を牛耳っていた人物である。

その 野望とは、囲碁と将棋、両名人戦を開催 することであった。

囲碁名人戦。
この構想は、将棋名人戦が毎日新聞に由来しているのと異なり、朝日新聞に由来している。意外と知られていないことだが、将棋名人位と囲碁名人位は格式や性格がまるで違う。たとえば席次。江戸幕府期、「名人碁所>本因坊(囲碁)>名人将棋所」の順番だった。将棋関係者は切歯扼腕したそうだ。たとえば、その性格。明治時代になると、将棋名人位は家元制に近く代々受けつがれるものとなる。だが、囲碁名人位はまるで違う。囲碁の覇者として差配する「名人碁所」は、江戸時代から完全なる実力制。本因坊・井上・安井・林の4家が覇を競っていたために、終身位「名人碁所」に就くには、他家をねじ伏せる圧倒的な棋力が必要だったからたまらない。囲碁の革命を起こしたことで名高い本因坊道策は「4代名人」。彼の弟「5代名人」井上因碩道節、道策の子「6代名人」本因坊道知以後、囲碁界にはパッタリと名人が出現しなくなってしまう。

以後、大正期までの200年間近い間、出現した名人は、なんとわずか4名!!

「中興の祖」本因坊察元。幕末期、「先聖道策、後聖丈和」と並び称された、本因坊丈和。明治の「白番不敗」の本因坊秀栄。川端康成『名人』のモデルになった、大正の本因坊秀哉。秀栄に至っては、せっかく名人に推戴されたものの、推戴された翌年に死去している。 ジャンプ漫画『ヒカルの碁』で有名な本因坊秀策は、名人になれていないばかりか、実際は本因坊「跡目」秀策であって本因坊ですらない 。秀策のご存命の時代、本因坊だったのは本因坊秀和。大一番で井上因碩に御城碁で負けてしまい、名人位に付けなかった悲劇の囲碁棋士の一人であった。 名人位は推戴されてなるもの 。それが常識であった囲碁界に、「名人」位をタイトル戦として復活させようというのだ。生半可な野望ではない。毎日新聞本因坊戦の契約料が500万円の時代、なんと朝日新聞は、名人戦契約料として、2500万円という金額を提示したのである。

しかし、推進しなければならぬ切羽詰まった事情が、朝日新聞に存在していた。
それは、当時の新聞棋戦そのものに起因していた。

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Last updated  Aug 28, 2007 03:40:30 PM
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