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2005年12月06日
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カテゴリ: 映画
DEAR WENDY製作年:2005年
製作国:デンマーク/イギリス/フランス/ドイツ
監督:トーマス・ヴィンダーベア
脚本: ラース・フォン・トリアー
出演:ジェイミー・ベル


<内容>アメリカの炭鉱所のある小さな町に住むディック。
彼の母親は幼くして死に、炭鉱で働く父と 黒人のお手伝いさんに育てられた。
ひ弱な彼は炭鉱へ働かせようとする父の願いをはねつけ、町のスーパーで働くようになる。
ある日、炭鉱所の事故で、父親が死に、お手伝いさんも出て行き、一人ぼっちになってしまった主人公。


dear wendy

ラース・フォン・トリアー脚本、BILLY ELIOTの男の子主演と 聞いて、早速観にいきました。
トリアー脚本、イコール、意地悪なんだろなと思いつつも、なんか見ちゃうんですよね、彼の作品って。
やっぱり意地悪でした。




何で夢を見る少年、幸せになっちゃいけんのかいな?トリアー監督!え??


と、いっちゃいたいとこですが、
なかなかどうして、すっごく納得できるものがあります。
まさに今の時代の問題にぴったり重なるところがありますからね。
さすがにかなり考えさせるテーマの 見ごたえのある作品でした。


 主人公ディックはひ弱で、その町の王道である炭鉱での仕事ができず、家族もいず、一人ぼっち。
世間に対して、引け目を感じている自分に自信のない少年。いわゆる「負け犬」ですね。
そんな彼が 銃を手にしてから、段々と自信をつけ始めます。


あんなに自分に自信がなく、下を向いて歩いていた少年が、銃を持つことで人々よりも高みに立っているような気分を味わう描写がリアルです。



だから、銃を持っていても、誰にも見せないし、使うことはない。
銃を使う唯一の場所は 仲間と結成した秘密結社「ダンデイーズ」での集会でのみ。
その集会では 儀式を行い、銃を洗礼し、銃を神聖化します。
銃について学び、銃を愛し、銃の腕を磨く。
彼ら自身も 昔の貴族か英雄かのような衣装に身をつつみ、ファンタジーの世界に入り込みます。

そう、ファンタジーの世界を創り出し、ファンタジーの世界に生きるようになったのです。



ここから超ネタバレ→









要するに現実逃避。
自分達は「ダンディ」と意識しているが、他人から見るとただの変人。
本人達はそういうことに気づいていません。自分達は他人とは違う、選ばれし人間。


 そういう自分たちで作り出した独特の色眼鏡によって、彼らは世界を見始めます。
自分達は正義のヒーロー。正しいことをしたい。悪者から弱きものを守るべきだ。自分達はダンデイーなのだから。
凝り固まった正義感というものは恐ろしいもので、常識とか理性が見えなくなって、他の考え方、意見を受け入れられなくなってしまう、タチの悪いものでもあります。
それも数が増えれば増えるほど、それを疑う余地がなくなってしまう厄介なものなのです。


 保安官は おとなしく、問題を起こさない主人公を「いい子だ」と思っていました。
そんな「いい子」が最後には この町の歴史上かつてないほどの凶悪事件を起こしてしまいました。
しかも、彼らは「裏切り者で悪者の保安官達と戦う、英雄達」だと思っていて、「自分がしていることを正しい」と思っていたのです。
ここが 現実逃避の恐ろしさですね。
現実逃避もいろいろありますが、社会的に弱く、世間を恐れている人が生きていくために 「自分を破滅させるもの」にすがってしまう。そんな風に流れてしまうのはどの社会でも起きる可能性のあることで、仕方がないというか、防ぎようのないことなのかもしれません。
マイノリテイーの苦しみが爆発する事件といえば、コロンバインの銃撃事件を思い出させます。


途中で、昔のお手伝いさんの問題児の孫セバスチャンが 現れます。
保安官は「模範」であるディックに 「問題児」であるセバスチャンを更正させるために、いい影響を与えてやってくれといいます。
そんなことはできないといいながら、引き受けるディック。
その時のディックは その問題児セバスチャンに対し、優越感がありました。
彼は自分よりも より負け犬だと。
そんな彼にダンデイーズの隠れ処を見せてやり、仲間にしてやりました。
すぐに他のメンバーと打ち解け、しかも他のメンバーに慕われ始めたり、女の子が「たくましくてセクシーだ」と言っているのを聞き、その立場が逆転したことに対し、苛立ちを感じ始めます。
見ないようにしていた厳しい現実(主人公には欠けている男としての魅力、肉体的、精神的強さ)を見せ付けられたようで、彼のプライドは引き裂かれてしまいます。
自分の心地よいファンタジーの世界に 現実が入り込むことで拒否反応を起こしてしまったのですね。




 ディックは自分の銃に”ウエンディ“という人間の名前をつけることで、モノを擬人化してしまいます。
モノ以上だけど、人間ではない。人間は気が変わりやすく、信用できないが、ウエンディは人に忠実で、決して裏切ることがない。ナイトライダー(←でしたっけ?)の意思のある自動車のように、主人に忠実な“守り神”のように考え始めます。
一人ぼっちで寂しい主人公の生きるすべだったのですね。
ウエンデイをつかって撃った弾が的に当たれば、一心同体だと考え、
的が外れれば、見放されたと考える。
最後に主人公が書いた手紙は そのウエンデイに当てたものでした。
唯一の自分の味方だった母親は幼いときに亡くなり、父親は自分の理解者ではなかった。家で長年働いた母親代わりの黒人のお手伝いさんも今やぼけてしまって、自分のことなど覚えていない。
彼の人生で、唯一信用できたモノ(者OR物)は ウエンデイだったんですね。
でも、ウエンディは「銃」で、「殺人兵器」なのです。


どうしてこうなっちゃったんでしょう?
やっぱり外界との接点や対話のなさなのかもしれません。
現実社会から目をそらしてしまい、心地のよいファンタジーの世界が彼らの現実社会になってしまったのでしょうね。
悲しく寂しい映画でした。










→ここまで。




 この映画に主演の『ビリーエリオット』の男の子、美少年になっておりました!
イギリスの美しい少年が好みの方、大注目です。
ブロンドヘアに 大人の男性になりつつある角ばった顔の線に輝く、丸く繊細な瞳。
超かわいいです。
猫背で自信なさげに歩く映画の中の彼ですが、あれが背筋を正してにこやかに笑顔を振りまけば、ぴっかぴかと輝くことでしょう!彼は ピータージャクソンの『キングコング』に出演しているとか??


 映画紹介HPによると、またこの映画は御馴染みの「アメリカの銃社会に対する痛烈な皮肉」ですよー、また。
でも、こういう点は あまり成功してない気がしますね、毎回。
だって、 アメリカに見えんとです。この町。
どう見てもイギリスです。
だって、アメリカのこんなに貧しい町にあんな美しい銃がひっそりと眠っているわけ?
ゴブラン織りのガウンだとか、思いっきりイギリスしてると思うんですがね。
負け犬の貧しい少年達が何でそんなもの持ってるんでしょ??
それに、言葉遣いがイギリス的。
イギリスからのアメリカ移民って考え方もできるけど、それじゃあ現代のアメリカ批判にならんような・・・。
所詮ヨーロッパの人がアメリカを語っても、ヨーロッパ的なものが抜けきらないのでしょうか。
皆さん、どうですか?


結構よいですよ。見ごたえがあって、お勧め映画です。





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最終更新日  2005年12月09日 22時50分10秒
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Re:映画『ディア・ウエンディ』(12/06)  
suzuran-rachel  さん
こんばんは!
ビリー・エリオットは大好きな映画です!
大好きが多くて困っちゃいますね(笑)
そうか~~あの子がそんな美青年に成長したのですね。
ナイーブな感じでよかったけど。
ついついネタばれも読んじゃいましたね~~(笑)
でもいつか見たいものです。最近度忘れが激しいから大丈夫!
イギリス映画はやはり地味でもジーンと来ます。
どう見てもアメリカに見えないってとこが可笑しいですね(^^;
でもやっぱしそこがいいんだろうな。 (2005年12月10日 21時24分13秒)

Re:映画『ディア・ウエンディ』(12/06)  
sunny16  さん
ラース・フォン・トリアーが脚本で、監督が「セレブレーション」の人ですよねー
めっちゃ見てみたいです!!
『ビリーエリオット』の男の子はちょっと前にGREEN DAYのPVに出ているのを見て、すっかり男前の青年になっててびっくりしました。
『キングコング』にも出てるのか~
ほんとこれから注目ですね!
(2005年12月11日 00時40分21秒)

suzuran-rachelさん  
LUANA さん
>ビリー・エリオットは大好きな映画です!

・・・わたしも。DVD まで持ってるんですわ、実は。


>イギリス映画はやはり地味でもジーンと来ます。
>どう見てもアメリカに見えないってとこが可笑しいですね(^^;


・・・品や伝統が抜けきれないってのは 結構カッコいいですね。(笑)
(2005年12月11日 22時02分16秒)

sunny16さん  
LUANA さん
>ラース・フォン・トリアーが脚本で、監督が「セレブレーション」の人ですよねー


そうそう、その『セレブレーション』の人。でも、私は見たことないから、これが初めてなんですけど。
いかにもSUNNYさんが好きそうな映画です。



>『ビリーエリオット』の男の子はちょっと前にGREEN DAYのPVに出ているのを見て、すっかり男前の青年になっててびっくりしました。


・・・ウイリアム王子系統ですよね。
この映画ではさえない子の役ですが、かなりハンサムくんですよ。 (2005年12月11日 22時05分00秒)

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