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2006年01月11日
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カテゴリ: サンパウロの生活
原題:MONSIEUR BATIGNOLE
製作年:2002
製作国:仏
監督:Gerard Jugnot
出演:Gerard Jugnot Jules Sitruk
<内容>
時は第二次大戦のフランス。
ドイツ・ナチス軍の支配下にあったパリで、ユダヤ人狩りが行われていた。
バティニョールおじさんは肉屋兼惣菜屋を経営する普通の一市民であったが、いわば自分のせいで捕らえられてしまったユダヤ人医師一家の逃げてきた息子をかくまうようになり、ついには彼を両親に会わせる為、一緒にスイスへ向かうのだった。

バティニョールおじさん バティニョールおじさん



うだうだとぬるく生きてきた、バティニョールおじさん。

自分の信念を持ったり、貫いたりということには無縁で、だらだらと生きやすいように流されながら、何事にもあまり深く考えないようにしながら、世の中を渡り、妻には常にバカにされていました。

 そんな普通の市民のおじさんでも、フランス軍としてドイツ軍と闘った過去もあり、自国が敵国ドイツに支配されているというのは心安らかではいられない事実でした。それでも、毎日を争いごとなく窮地に陥らないように生きるためには 強きに屈するしかなく、心の中はもやもやとしたまま、ドイツ軍校御用達のビュッフェ業者と成り下がっていたのでした。

 ドイツ軍校御用達になることで、気持ちは煮え切らないまでも、収入はアップし、娘の婚約者の計らいでユダヤ人医師の住んでいた瀟洒なアパートに住むことも許されます。


 憎きドイツ軍に心を売ることは屈辱ではあるけれど、彼らのお陰で素晴らしい恩恵を得られました。

感情は煮え切らないけれども、何も考えないようにすればいいのさ、こんなときは。


それが、バテイニョールおじさんの生き方なのでした。
ま、ほとんどの市民の生き方は こんなものではないのでしょうか?


そんな中、予期しなかったことが起こります。

 ドイツ軍に連れ去られたはずのユダヤ人医師一家の幼い息子シモンが 命からがら逃げ帰ってきたのです。びっくりしたバテイニョールおじさんは とりあえずは女中部屋にかくまい、時機を見て逃がそうとします。

 厄介なものを抱え込んでしまったなあというのが本心ですが、いわば自分のせいで捕らえられてしまったかわいそうな子供でもあります。そのまま警察に引き渡すと、殺されてしまうのは目に見えています。厄介なことを抱え込まないのが主義のおじさんは ほんのばかり残っている良心の呵責に悩まされるのですね。



子供を見放すか。

それとも、かくまうか。

こんな一か八かの決断を迫られた状況で、子供をかくまう決断をとります。
普通の人間の割に合わない決断というものはこんな窮地に立たされたときに やっと下されるのでしょうか。



 しかし、一握りの良心を完全に無視するかしないかで、人間の価値が決まってくるのかなあと思ったりしました。


 バテイニョールおじさんは 窮地に立たされ、絶体絶命の大ピンチとなりました。

何で、オレが・・・


そう思ったに違いありません。
しかし、子供たちと行動を共にするにつれ、自分が子供たちの運命を握っているという事実に責任を感じるようになり、それを誇りに思うようになります。

醜いさえない親父の その誇りを持つようになるきっかけというものは 突然現れました。

おじさんは この事件がなかったら、一生だらだらと流され、考えず、ただ息をしているだけの生きてない人生をおくることとなったでしょう。
それが、あるほんの小さなきっかけで 自分の行動に勇気と自信を持つようになったのです。

これは戦時中に限らず、いつの時代でも言えることなのかもしれません。
命がある以上、人生を「生き」ていきたいものですね。




 主役のおじさんを 同監督が演じています。
ちょっぴり小ずるく、さえない中年のバテイニョールを 自分の思い通りに演じられたことでしょう。セザール最優秀男優賞をとったようです。

 シモンを演じた子役の男の子は 本当に澄んだ、無垢な瞳をしていて、こんな瞳の少年を目の前にして、背を向けることなど不可能であろうと思わせるほどの聖顔さでした。

 そんな無垢な風貌の癖して、言動はまったく無垢ではないところが なかなか笑わせてくれました。金持ちのブルジョワ息子であるため、かなり我侭。

「あれもってきて。」

「のどかわいた。」

まるで使用人に命令するように、あどけなくバテイニョールに命じます。
いわば庶民階級であるおじさんは憤慨し、罵倒しながらも、いそいそと物を持ってきたり、彼の要望にこたえようとすることろが実におかしかったですね。

 そして、教育をあまり受けていないおじさんと、ドイツ語、英語を自由に操るほどの男の子とのギャップも笑いを誘うエピソードの中にちりばめられていました。

 それにしても、ドイツ人って堅く、無表情で、融通の効かないような人間に描かれることが多いですね。それは 侵略された側から見た、敵国のイメージなのでしょうかね?
中国や韓国に入った日本人も 同じように描かれることが多いですね。
実際そうであったのか、それともそのように怖く見えたのか・・・。
でも、アメリカ人はそう描かれることは少ないように思います。もっとフレンドリーで、親切であると。



そして、この映画には いろいろな親切な人間も現れました。

 ピンチを助けてくれた看護婦、食べ物を分けてくれ、寝床も提供してくれた農場女主、そっとにがしてくれた地元の警官及び神父など。


 良心を少し持ち合わせている人、溢れるほどに分け与えるもの、愛を渇望しているものといろいろですが、同時に護身の為に 人を窮地に陥れようとする人もいます。
 農場主の息子もそうでした。彼は一人息子で、母に守られている。父の亡き後、自分にとって母はかけがえのない大切な人なのに、母は異性の愛に飢えていて、関係を持ってしまう。父が生きていれば そんなこともおきなかっただろうにと激しく嫉妬し、傷ついています。仕返しをしようとたくらみますが、後できちんと反省もしたりします。

 人は 知らず知らずに失敗し、人を傷つけることもある不完全な生き物だけど、ほんの一握りの良心や愛によって、救われているのかなと考えさせる映画でした。





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最終更新日  2012年04月10日 09時13分36秒
コメント(7) | コメントを書く


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Re:映画『バティニョールおじさん』(01/11)  
映画大好き人間ですが、”戦争物”は何故か避けてしまいます。やっぱり、すんごく悲しかったりするし、悲惨な事が多いし...。これって、心を知らないうちに守ってるんですかね? 子供時代は、大嫌いなのに、ホラームービーなんかも見てましたね。(逃げまくりながら)見たくなければ、見なくて良いと言う簡単なことに、子供時代は気ずかなかったんですね。(何でだろ?)  もとい、そんな私ですが、Luanaさんの解説を読んで見てみたいなって心が動きました。 (2006年01月11日 09時02分12秒)

たま2811さん  
luana さん
>映画大好き人間ですが、”戦争物”は何故か避けてしまいます。やっぱり、すんごく悲しかったりするし、悲惨な事が多いし...。これって、心を知らないうちに守ってるんですかね? 

・・・私も苦手です、戦争もの。出来れば触れたくないと思ってしまいます。
あと、イスラム圏の映画も人々が虐げられているのを見る気がしません・・・。

>子供時代は、大嫌いなのに、ホラームービーなんかも見てましたね。(逃げまくりながら)


・・・本当は平穏を望んでいるのに、実際本当に何にも起きない動物園のシカ状態だったら、刺激を求めてしまうんですよね・・・。私も子供の頃、超怖がりなくせに ホラーとかも盗み見していましたよ。

>Luanaさんの解説を読んで見てみたいなって心が動きました。

-----あ、この映画は戦争!っていうより、どの時代でもありうる、人間の内面を描いた映画ですので、安心してご覧くださいな!
(2006年01月11日 10時01分21秒)

Re:映画『バティニョールおじさん』(01/11)  
ぷちてん525  さん
この題名を目にしていたんですが、内容は知らなかったんですよ。
そうなんですか、そういうお話だったんですね~。

>普通の人間の割に合わない決断というものはこんな窮地に立たされたときに やっと下されるのでしょうか。

思わず、そうなんだろうなと思いましたね~~。
ぎりぎりになる前に何とかすればと思うのに見ないふり、知らないふりして過ぎていっちゃうんですよね。
誰の心の中にもあるだろうなって思うので、このおじさんがどんな変化をするのか、見たいですね。
早速φ( ̄ー ̄ )メモメモです♪
(2006年01月11日 19時57分50秒)

Re:映画『バティニョールおじさん』(01/11)  
iqcot  さん
この監督兼主役の人が苦手でいつもスルーしてしまいます。
この人の映画ってシリアスコメディが多くって、人間に例えるなら「冗談を言ってるのに目が笑ってない人」。

この映画はどちらかというとハートウォーミングストーリーっぽいですね。
(2006年01月11日 21時58分15秒)

ぷちてん525さん  
LUANA さん
>この題名を目にしていたんですが、内容は知らなかったんですよ。
>そうなんですか、そういうお話だったんですね~。


・・・なかなか見やすくて、楽しめましたよ。


>思わず、そうなんだろうなと思いましたね~~。
>ぎりぎりになる前に何とかすればと思うのに見ないふり、知らないふりして過ぎていっちゃうんですよね。
>誰の心の中にもあるだろうなって思うので、このおじさんがどんな変化をするのか、見たいですね。
>早速φ( ̄ー ̄ )メモメモです♪


-----まったくその通り。うさんくさい、正義を貫くこととは縁遠いおじさんが変わるきっかけ・・・です。 (2006年01月12日 23時33分37秒)

iqcotさん  
LUANA さん
>この監督兼主役の人が苦手でいつもスルーしてしまいます。
>この人の映画ってシリアスコメディが多くって、人間に例えるなら「冗談を言ってるのに目が笑ってない人」。
>
>この映画はどちらかというとハートウォーミングストーリーっぽいですね。


-----ははは。確かにかなり胡散臭そうで、「憎めない」というのとは違う、本当に胡散臭い人っぽいですねー。(笑)

ハートウォーミングストーリーよりは もう少しシリアルかな? (2006年01月12日 23時35分53秒)

Re:映画『バティニョールおじさん』(01/11)  
gacha-danjhon  さん
ユダヤ、戦争、と聞くと確かに手が出にくい感じですが、、
これはバティニョールおじさん、良い味を出してる、と言う感じですね。
去年のヒットは「舞台より素敵な生活」とか「サイドウェイ」等でしたので、またこうした人間ドラマな作品に出会いたいです。 (2006年01月13日 15時16分41秒)

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