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前回の磐越西線に引き続き「新潟圏」との綱引きが展開される只見線について、今回は考察していきたいと思います。なお、本稿で使用しているデータは、昨年7月に発生した新潟・福島豪雨以前のものです。ご了承願います。只見線における「福島圏」と「新潟圏」との境界は、会津若松方面への区間列車が発着し同線の運転上の枢要となっている会津川口駅でした。そこから23キロ前後新潟駅寄りに行った地点が、「郡山圏」と「新潟圏」との境界になるものと推察されます。そこで、該当する駅を調べてみると、会津川口駅から23.1キロ新潟駅寄りに会津蒲生駅があることがわかります。距離的にも郡山駅から148.5キロ、新潟駅から148.0キロとほぼ中間に位置しますが、いずれに行くにせよ150キロ近くあります。会津蒲生駅はは只見町内に所在しますが、町の中心にある只見駅から一駅郡山駅寄りの位置にあります。冬季運休ではありますが只見駅と小出駅とを結ぶ区間列車も走っていることも考えると、「郡山圏」との対比においても、只見駅は「新潟圏」に入ることが予想されます。只見駅周辺は252号線、289号線の両国道が交わり只見町の交通の要衝でもあるので、この時点で只見町の大部分もまた「新潟圏」ということになるかと思われます。話を会津蒲生駅に戻すと、正規運賃で全区間普通列車を利用したという前提で郡山、新潟両駅方面へのデータを示すと、以下の通りになります。【対郡山駅】運行本数 上下5本平均所要時間 4時間16分片道運賃 2,520円【対新潟駅】運行本数 上下5本平均所要時間 3時間55分片道運賃 2,520円なんと、運行本数と片道運賃が全く同じです。従って指標は、【対郡山駅】運行本数 ± 0.0ポイント平均所要時間 - 4.3ポイント片道運賃 ± 0.0ポイント計 - 4.3ポイント【対新潟駅】運行本数 ± 0.0ポイント平均所要時間 + 4.3ポイント片道運賃 ± 0.0ポイント計 + 4.3ポイントと、平均所要時間の差がダイレクトに反映され、新潟駅優勢の結果となります。なお、会津蒲生駅から一駅郡山駅寄りの会津塩沢駅においても、運行本数と片道運賃が同額で平均所要時間がわずかに新潟駅の方が短いため、その分だけ新潟駅優勢の結果となります。また、郡山駅~会津若松駅間のWきっぷを利用した場合、会津塩沢駅に関しては片道運賃が2,350円まで下げることができるので郡山駅優勢になりますが、会津蒲生駅はWきっぷ900円+会津若松駅~会津蒲生駅間1,620円=2,520円と片道運賃に変化がみられないため、新潟駅優勢のまま変わりません。ちなみに、新潟駅~長岡駅間で上越新幹線を利用したケースや郡山駅~会津若松駅間および新潟駅~長岡駅間で高速バスを利用したケースについても試算してみましたが、いずれも普通列車利用に比べて利便性が良くなく、また揃って会津塩沢駅~会津蒲生駅間が「郡山圏」と「新潟圏」との境界になるという結果になりました。以上のデータから、「郡山圏」の限界は会津塩沢駅であり、会津蒲生駅以西は「新潟圏」と考えていいかと思います。なお、会津塩沢駅は只見町の東端に位置し、塩沢、十島、寄岩の3大字が駅勢圏に入ります。人口はちょっとわかりませんでしたが、恐らく500人未満だと思います。「福島圏」との対比で言うと、金山町西部もあわせて1,000人前後の人口を「新潟圏」から奪還することになります。なお、只見町の全人口は約4,800人なので、残りの4,000人強は「新潟圏」ということになるでしょうか。福島駅から郡山駅に基点を変更してもなお磐越西線沿線の西会津町の大半(人口約7,000人)とあわせて約11,000人の住む福島県内の地域が「新潟圏」になってしまう点に、福島県の「広さ」を感じてしまいます。
2012.02.20
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前回紹介した奥羽本線についての考察で、「郡山圏」が山形県内において獲得できる人口を書くのを忘れてました。結論から申し上げると、「郡山圏」に入る米沢市板谷の人口は、約100人。かつてはカオリン(耐火粘土)の採掘で賑わい、現在でもゼオライトの採掘が細々と行われている鉱山集落ですが、もはや限界集落同然なのが現状です。栗子スノーパークや五色、滑川、姥湯の各温泉など観光スポットがそれなりに展開しているのが救いと言えるでしょうか。とにもかくにも、山形県内に食い込んだとはいえ、関根駅以南が含まれた「福島圏」に比べると、2,000人ほどの人口を失う計算にはなります。…と、ここまでは「福島圏」に対して「郡山圏」が勢力を失う地域、路線ばかりを紹介して来たのですが、今回取り上げる磐越西線からは、逆に「郡山圏」の元気ある部分をお見せできるかと思います。磐越西線沿線では「郡山圏」と「新潟圏」とがしのぎを削ることになる訳ですが、「福島圏」の限界が喜多方駅だったこと、また福島駅と郡山駅とが46.1キロ離れていることを考えると、そこから25.0キロ新潟駅寄りにある西会津町の中心地・野沢駅をめぐる攻防になることが予想されます。そこで、野沢駅のデータを調べてみると、通常運賃は郡山駅1,890円に対して新潟駅1,450円と新潟駅優勢になる(ちなみに、磐越西線における郡山、新潟両駅の中間点は、山都駅の西方4.3キロの地点であり、野沢駅から10.8キロ郡山駅寄りになります)ものの、郡山駅~喜多方駅間のWきっぷ(往復1,800円)を活用すれば郡山駅へは喜多方駅~野沢駅間の片道運賃(400円)とをあわせて片道1,300円での利用が可能になり、逆に新潟駅へは往復利用前提でえちごワンデーパスを利用すれば日出谷駅まで片道750円、日出谷駅~野沢駅の片道運賃(400円)とをあわせて片道1,150円での利用が可能になります。また、列車の運行本数に関しては会津若松駅~野沢駅間の区間列車が何本か走っていることもあり郡山駅優勢、所要時間に関しては両方向とも2時間10分前後ですが若干新潟駅優勢となります。これらのデータをまとめてみると、【対郡山駅】運行本数 上下18本平均所要時間 2時間16分片道運賃 1,300円【対新潟駅】運行本数 上下15本平均所要時間 2時間05分片道運賃 1,150円となり、指標は、【対郡山駅】運行本数 + 9.1ポイント平均所要時間 - 4.2ポイント片道運賃 - 6.1ポイント計 - 1.2ポイント【対新潟駅】運行本数 - 9.1ポイント平均所要時間 + 4.2ポイント片道運賃 + 6.1ポイント計 + 1.2ポイントと、郡山駅がわずかに及ばず、新潟駅優勢の結果となってしまいます。なお、これは全区間普通列車(一部快速列車)を利用した場合の数値であり、郡山駅方面へは会津若松駅から高速バスを利用する方法もありますが、Wきっぷが使えず運賃が割高になってしまうため、新潟駅との差は却って広がるようです。なお、野沢駅から一駅郡山駅寄りの尾登駅以東は「郡山圏」となるので「福島圏」との対比では「新潟圏」に組み入れられた喜多方市の旧山都町および旧高郷村および西会津町の尾登駅周辺は「郡山圏」となりますが、国道49号線を会津坂下町方面へと走っている西会津町民バスの沿道は、わずかな差で「新潟圏」になってしまうようです。ところで、野沢駅のある西会津町は、会津若松駅~新潟駅間(一日上下8本)、あるいは会津若松駅~野沢駅間(一日上下4本)を結ぶ高速バスが通っており、これを活用して郡山、新潟両駅へと行くことが可能です。ハブとなるバス停は、野沢駅から1キロ少し南東にある西会津ICで、同バス停に停車(ただし、野沢駅前から会津若松駅へと至る便は同バス停に停車しないため至近にある石川商店前バス停の停車時刻で代用)するバスのデータを、往復割引を利用したものとしてまとめてみると、【対郡山駅(会津アピオ前バス停で郡山駅前行のバスに乗り換えたとして試算)】運行本数 上下12本平均所要時間 1時間44分片道運賃 1,550円【対新潟駅】運行本数 上下8本平均所要時間 1時間18分片道運賃 1,400円と、本数は少ないながらも両方面とも鉄道より早く到達することが可能であり、指標は、【対郡山駅】運行本数 +20.0ポイント平均所要時間 -14.3ポイント片道運賃 - 5.1ポイント計 + 0.6ポイント【対新潟駅】運行本数 -20.0ポイント平均所要時間 +14.3ポイント片道運賃 + 5.1ポイント計 - 0.6ポイントと、郡山駅がわずかに優勢になるにはなりますが、鉄道でつけられた差を埋めるまでには至りません。やはり、尾登駅周辺を除く西会津町の大部分は「新潟圏」と考えた方が良さそうです。結果、「福島圏」との対比で「郡山圏」が獲得できる地域の人口は、約6,000人といったところでしょうか。元々人口密度の低い地域とはいえ、少し淋しい数字のような気がしなくもありません。果たして、他の地域では如何に!?
2012.02.18
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本題とは関係のない話になりますが、東日本大震災で津波の被害を受け現在も列車の運行がままならない状態にある三陸沿岸の大船渡線と山田線で、路盤にバスを走らせるというBRTというシステムを用いて仮復旧させる考えを、JR東日本が示したそうですね(参考)。地元では「これは両線の廃線に繋がるのではないか。あくまで鉄道として復旧を」と不快感を示しています(参考)が、宮崎県の高千穂鉄道のように災害が原因で廃止に追い込まれた鉄道路線の例もあるし、正直予断を許さない状況にあるとは思います。また、大船渡、山田両線のBRT化を許してしまうと、同じく災害で長期運休中の只見線、あるいは一日上下20本以下しか列車が運行されていない磐越東線の小野新町駅以東や水郡線の常陸大子駅以北に対しても同様の提案がなされる可能性があります。この問題は、福島県を含む地方の鉄道にとって、対岸の火事ではないと考えます。しかし、鉄道路線というのも不平等ですよね。大船渡線や山田線よりも普通列車の運行本数が少ない奥羽本線(山形線)の板谷峠越えの区間は山形新幹線と一体になっているため廃線の可能性と縁遠いのですから… いかに普通列車の本数が少なくとも、この路線には山形県と首都圏との最速経路という付加価値があるから廃止しようがない訳で、地方のローカル線にとって単なる地域輸送以上のメリットを提案することが、生き残る道と言えるのかもしれません。その奥羽本線ですが、「福島圏」と「山形圏」の比較においては、米沢駅の一駅南にある関根駅までが「福島圏」に入っていました。では「郡山圏」と「山形圏」との比較ではどうでしょう。距離的な境界=郡山駅と山形駅との中間点を調べてみると、山形県最南端にある板谷駅から700メートルほど福島駅寄りの地点にあることがわかります。板谷駅から両駅への片道運賃はいずれも1,110円。ただし、福島駅~郡山駅間のWきっぷを活用すれば1,100円と、わずか10円ですが郡山駅の方が安くなります。列車の運行本数は双方面とも一日上下12本。所要時間は、全区間普通列車を利用する前提で考えると、郡山駅方面が1時間26分、山形駅方面が1時間28分と、いずれの項目も拮抗しています。とりあえず通常運賃のケースで板谷駅でのデータをまとめると、【対郡山駅】運行本数 上下12本平均所要時間 1時間26分片道運賃 1,110円【対山形駅】運行本数 上下12本平均所要時間 1時間28分片道運賃 1,100円となり、指標は、【対郡山駅】運行本数 ± 0.0ポイント平均所要時間 + 1.1ポイント片道運賃 ± 0.0ポイント計 + 1.1ポイント【対山形駅】運行本数 ± 0.0ポイント平均所要時間 - 1.1ポイント片道運賃 ± 0.0ポイント計 - 1.1ポイントと、所要時間の分だけわずかに郡山駅優勢の結果となります。ただし、郡山駅方面で東北新幹線を利用すると、福島駅7時11分発の普通列車に接続する便がないことや運賃がかさむ関係で、山形駅優勢の結果となります。そんな訳で多少ミソはつきますが、一応板谷駅までは「郡山圏」ということにしたいと思います。考えてみれば、板谷峠のサミットは板谷駅の西側にあり、板谷駅付近は阿武隈川支流の松川の源流域にあたりますから、ある意味納得の結果ではあります。
2012.02.16
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前回と前々回は東北本線に阿武隈急行と中通りと宮城県とを結ぶ鉄道路線沿線における「郡山圏」と「仙台圏」の境界についての考察を行いました。「福島圏」と「仙台圏」についてであればこの2路線を押さえておけば良かったのですが、「郡山圏」と「仙台圏」ということになると、この他に高速バス福島~仙台線も押さえておく必要があります。いわき市と郡山・福島両市との高速バスが多数通るいわき中央IC周辺が「福島圏」に入ったように、東日本大震災後の一年間で減便が相次いだとはいえ一日上下68本が運行されているこのバス路線の沿線にも「仙台圏」が広がっている可能性があるからです。バスが通る国道13号線沿いには稲荷田(福島市御山)、原田東(福島市北矢野目)、天王下(福島市飯坂町平野)と高速バスの停留所が三つあり、その存在を強く匂わせています。そこで、高速バスが停まる各バス停について路線バスの運行状況を福島交通のサイトで調べてみると、稲荷田については福島駅東口とを結ぶバスが3系統で一日上下73本もあるのですが、原田東は1系統で一日上下24本にとどまっており、天王下に至ってはかつては路線バスが通っていたものの現在はすべて廃止されてしまい高速バス専用のバス停と化していることがわかります。いわき市の場合はいわき駅といわき中央IC付近(町田橋バス停)とを結ぶ路線バスが一日上下72本運行されている(参考)のですが、それに比べて福島市は腰が引けている感がなくもありません。この状況から、少なくとも原田東と天王下の周辺については「仙台圏」とみていいと思います。また、一応それなりに対抗できそうな稲荷田については、福島駅~郡山駅間を東北新幹線利用ということでデータを調べてみたのですが、【対郡山駅】運行本数 上下55本平均所要時間 40分片道運賃 2,150円(自由席特急料金840円を含む)【対仙台駅】運行本数 上下68本平均所要時間 1時間06分片道運賃 1,000円と、路線バスと新幹線とのダイヤとがかみ合わない部分があり、到達可能なパターンが減少する結果となってしまいます。従って指標も、【対郡山駅】運行本数 -10.6ポイント平均所要時間 +24.5ポイント片道運賃 -30.8ポイント計 -16.9ポイント【対仙台駅】運行本数 +10.6ポイント平均所要時間 -24.5ポイント片道運賃 +30.8ポイント計 +16.9ポイントと、仙台駅優勢の結果となってしまいます。なお、福島駅~郡山駅間で普通列車を利用した場合は、運賃が安くなる半面所要時間がかかりかつ運行本数が減少するため、新幹線利用よりポイントの差が広がります。また、福島駅~郡山駅間のWきっぷを利用すれば新幹線、普通列車双方とも運賃は120円安くなりますが、高速バスも往復利用前提ならば片道運賃が900円に割り引かれるため、ポイント差を縮めるには至りません。従って、稲荷田周辺もまた「仙台圏」とみていいでしょう。稲荷田、原田東、天王下各バス停の「駅勢圏」ならぬ「バス停勢圏」は、概ね御山(おやま)、南矢野目、北矢野目、沖高の各大字の全域および丸子(まりこ)のうち松川以南、飯坂町平野のうち東北自動車道以南という形になるかと思います。御山、矢野目両小学校の学区がまるまる入る規模ですが、東には東福島駅が「郡山圏」に入っている東北本線、西には福島駅から飯坂温泉駅までの盲腸線であり仙台駅には直通しない福島交通飯坂線が通っているので、あくまで国道13号線に沿った細長い地域が「仙台圏」ということになるでしょう。なお、この地域の人口は、約14,000人。東北本線沿線の約31,000人、阿武隈急行沿線の約9,000人と併せて、中通り北部の約54,000人の人口が「仙台圏」に入ってしまう計算になります。
2012.02.14
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東北本線下りは福島市の一部(飯坂町東湯野)までが「仙台圏」にかかるという結果になりましたが、中通りと宮城県とを結ぶもう一つの鉄道路線である阿武隈急行はどうでしょうか。こちらについては、「福島圏」の際も話しましたが、近距離の運賃がJR東日本に比べて割高という特徴があり、距離の上では伊達市梁川町南部の新田駅から更に500メートルほど南に行った地点が郡山、仙台両駅の中間点であるにも拘らず、通常運賃上では新田駅より更に4.2キロ郡山駅寄りの保原駅においても片道運賃が郡山駅1,260円(阿武隈急行440円、JR820円)、仙台駅1,250円(阿武隈急行850円、JR400円)と仙台駅優位の結果となります。なお、福島駅~郡山駅間のWきっぷを用いれば保原駅~郡山駅間の片道運賃は1,140円(阿武隈急行440円、JR700円)まで下がりますが、阿武隈急行の側でも同線と福島交通飯坂線とが一日乗り放題になる飯坂温泉日帰りきっぷという切符を通年販売しており、これを活用(悪用?)して往復で利用すれば保原駅~仙台駅間が片道1,150円(阿武隈急行750円、JR400円)になります。ただし、保原駅に関して言えば、全区間普通列車を利用した場合、平均所要時間が郡山駅1時間25分に対して仙台駅1時間33分と若干郡山駅優勢であり、運行本数は郡山駅上下46本に対して仙台駅30本と郡山駅圧倒的優勢となるので、総合的には「郡山圏」となります。伊達市役所の所在する拠点地域が「仙台圏」だったらどうしようかと心配しましたが、とりあえずその危機は免れているようです。ただし、保原駅の北側、人口約1万9千人を擁する伊達市梁川町になると、若干微妙な情勢となります。全区間普通列車を利用した場合運賃、所要時間の両面で仙台駅優勢になってしまうし、町中心部の南端に位置し阿武隈急行本社や車両基地の所在地でもある梁川駅からは仙台駅まで乗換なしにダイレクトに乗り入れる列車も一日上下4本設定されています。そこで、梁川駅のデータを調べてみると、【対郡山駅】運行本数 上下46本平均所要時間 1時間35分片道運賃 1,240円(梁川駅~福島駅間540円、Wきっぷ700円)【対仙台駅】運行本数 上下33本平均所要時間 1時間22分片道運賃 1,150円(飯坂温泉日帰りきっぷ750円、JR400円)となり、指標は、【対郡山駅】運行本数 +16.5ポイント平均所要時間 - 7.3ポイント片道運賃 - 3.8ポイント計 + 5.4ポイント【対仙台駅】運行本数 -16.5ポイント平均所要時間 + 7.4ポイント片道運賃 + 3.8ポイント計 - 5.4ポイントと、運行本数の多さがモノを言いとりあえず郡山駅優勢という結果になりますが、そのわずか1.7キロ北、梁川町中心部の北端にあるやながわ希望の森公園前駅のデータに目を転じると、福島駅~梁川駅止まりの区間列車が運行されている影響で、運行本数の差が縮まります。以下データを示すと、【対郡山駅】運行本数 上下41本平均所要時間 1時間40分片道運賃 1,240円(梁川駅~福島駅間540円、Wきっぷ700円)【対仙台駅】運行本数 上下33本平均所要時間 1時間19分片道運賃 1,150円(飯坂温泉日帰りきっぷ750円、JR400円。なお、通常運賃でも同額)となり、指標は、【対郡山駅】運行本数 +10.8ポイント平均所要時間 -11.7ポイント片道運賃 - 3.8ポイント計 - 4.7ポイント【対仙台駅】運行本数 -10.8ポイント平均所要時間 +11.7ポイント片道運賃 + 3.8ポイント計 + 4.7ポイントと、仙台駅優勢の結果となってしまいます。なお、紙幅の都合でデータ、指標は紹介しませんが、福島駅~郡山駅間を東北新幹線を利用した場合もまた、梁川駅とやながわ希望の森公園前駅との間が「郡山圏」と「仙台圏」との境界になるようです。同じ市街地なのに圏域が二分されるという異常事態ではありますが、両駅の間にはちょうど広瀬川が流れているので、境界の線引きはさほど難しくないかもしれません。なお、梁川町全体における「郡山圏」と「仙台圏」との区域も、真っ二つに分かれる形になります。各々の圏域を旧町村名で紹介すると、「郡山圏」=旧梁川町南部(広瀬川以南)、旧粟野村、旧堰本村「仙台圏」=旧梁川町北部(広瀬川以北)、旧大枝村、旧五十沢(いさざわ)村、旧白根村、旧富野村、旧山舟生(やまふにゅう)村であり、人口はいずれの圏域も約9,000人となります。従って、「福島圏」との収支計算は、宮城県内で獲得していた丸森町西部(人口約2,000人)と梁川町内の「仙台圏」に回る地域を合わせ、約11,000人の出超になります。
2012.02.12
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「福島圏」について一通り述べたところで、今度は「郡山圏」について考察を進めていきましょう。トップバッターは「福島圏」の時と同じく、東北本線下りから。この路線の沿線は福島駅よりも郡山駅の方が遠くなるだけに、福島県内にどれだけ「仙台圏」が浸食してくるか? あるいは「郡山圏」がどれだけ食い止めるのか? という点が、クローズアップされるかと思います。福島駅と郡山駅とは46.1キロ離れているから、「福島圏」の境界から「46.1÷2≒23キロ」移動するかどうかが、「郡山圏」の有効性の判断基準になるでしょうか。この路線で言うと「福島圏」の境界は越河駅だったので、ここより23キロ南が果たしてどちらに転ぶか… なのですが、結論から言うと、越河駅の23キロ南は福島駅~東福島駅間であり、少なくとも福島駅に関しては、片道運賃も列車の運行本数も郡山駅優勢なので、「仙台圏」に組み入れられることはあり得ません。ところが、福島駅から郡山、仙台両駅への片道運賃を確認すると、通常運賃では郡山駅820円に対し仙台駅1,280円と大差をつけているのに関わらず、Wきっぷを利用した場合往復で郡山駅1,400円に対し仙台駅1,500円だから片道に換算すると郡山駅700円に対し仙台駅750円と急接近。仙台駅への割引運賃が郡山駅への通常運賃より安いなんて、ちょっとあり得ない話だと思います。つまりそれだけ、「郡山圏」か「仙台圏」かに関わらず、福島駅利用者の関心度は「仙台駅>郡山駅」ということになるのかもしれません。この運賃が、「郡山圏」の判定に、微妙な影を落とすことになります。Wきっぷを利用した場合の東福島駅から郡山、仙台両駅への運賃をみると、郡山駅が「福島駅までの片道運賃180円+福島駅~郡山駅間のWきっぷ700円=880円」になるのに対し、仙台駅はWきっぷ一本の750円と、仙台駅の方が郡山駅よりも安くなります。なお、福島駅~仙台駅間のWきっぷは、みどりの窓口が設置されていない東福島、伊達、桑折の各駅の自動券売機で普通に買えるので、その点でも沿線と仙台駅との距離感を縮める効果を果たしています。と、いきなり運賃の話から入ってしまいましたが、所要時間面から見ると、郡山駅と仙台駅との中間点は桑折駅(郡山駅1時間13分、仙台駅1時間08分)と少しばかり「郡山圏」が押し返します。ただしそれでも、一駅仙台駅寄りの藤田駅付近にある両駅の距離上の中間点よりは「仙台圏」が食い込んだ形になります。運転上の拠点でもある福島駅では大半の普通列車が起終点、あるいはそうでなくても10分前後の停車となることが多く、その分時間のロスが生じる結果となってしまいます。なお、福島駅から東北新幹線に乗り換えれば桑折駅どころか福島県内北端の貝田駅でも郡山駅の方が仙台駅より所要時間が短く(郡山駅53分、仙台駅1時間01分)なりますが、その分特急料金がかさむので、利便性の向上にはダイレクトに繋がりません。そんなこんなで結局、「仙台圏」は東福島駅と桑折駅との中間にある伊達駅まで拡大することになります。以下、Wきっぷ+全区間普通列車利用の場合のデータを示すと、【対郡山駅】運行本数 上下39本(うち快速上下6本)平均所要時間 1時間08分片道運賃 890円(伊達駅~福島駅間190円、Wきっぷ700円)【対仙台駅】運行本数 上下36本(うち快速上下6本)平均所要時間 1時間12分片道運賃 750円(全額Wきっぷ)となり、指標は、【対郡山駅】運行本数 + 4.0イント平均所要時間 + 2.9ポイント片道運賃 - 8.5ポイント計 - 1.6ポイント【対仙台駅】運行本数 - 4.0ポイント平均所要時間 - 2.9ポイント片道運賃 + 8.5ポイント計 + 1.6ポイントと、「Wきっぷ効果」で仙台駅優勢の結果となります。念のため、福島駅~郡山駅間で東北新幹線を利用したケースのデータを示すと、【対郡山駅】運行本数 上下41本(うち快速上下6本)平均所要時間 40分片道運賃 1,730円(伊達駅~福島駅間190円、Wきっぷ700円、自由席特急料金840円)【対仙台駅】運行本数 上下36本(うち快速上下6本)平均所要時間 1時間12分片道運賃 750円(全額Wきっぷ)となり、指標は、【対郡山駅】運行本数 + 6.5ポイント平均所要時間 +28.6ポイント片道運賃 -39.5ポイント計 - 4.4ポイント【対仙台駅】運行本数 - 6.5ポイント平均所要時間 -28.6ポイント片道運賃 +39.5ポイント計 + 4.4ポイントと、項目によって乱高下を見せますが、結局仙台駅優勢の結果となります。伊達駅は対「福島圏」において「仙台圏」の南限であった白石駅から24.9キロの地点に位置しているので、「仙台圏」サイドから見ると、想定以上のエリア拡大と言っていいかもしれません。最後に、「福島圏」との収支計算を。まず、宮城県内で獲得していた白石市南部および七ヶ宿町全域(人口約9,000人)は、すべて「仙台圏」に回ります。それはまだいいのですが、「仙台圏」は福島県内にも食い込み、国見町および桑折町の全域、また伊達市のうち旧伊達町の阿武隈川以西と伊達駅のすぐ西側の福島市飯坂町東湯野、人口31,000人ほどが入ってしまう結果となります。
2012.02.12
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福島県内外の各地において検討してきた「福島圏」について、とりあえず総括してみましょう。まず、「福島圏」と周辺各県との関係をまとめてみると、以下の通りになると思われます。【対宮城県】 ◎「福島圏」の獲得地域(人口約11,000人) 七ヶ宿町の全域 白石市の一部(旧大鷹沢村、斎川村、越河村および小原村) 丸森町の一部(旧大張村、耕野村および旧丸森町のうち丸森小羽出庭分校の学区) ◎「仙台圏」への流失地域(人口約163,000人) 新地町、南相馬市、双葉町、大熊町および富岡町の全域 相馬市の大部分(旧山上村および玉野村を除く) 浪江町の大部分(旧津島村を除く) 楢葉町の北半分(旧竜田村)【対山形県】 ◎「福島圏」の獲得地域(人口約2,000人) 米沢市の一部(旧山上村、万世村の一部(刈安))【対新潟県】 ◎「新潟圏」への流失地域(人口約18,000人) 只見町および西会津町の全域 喜多方市の一部(旧山都町および高郷村) 金山町の一部(旧本名村および横田村)【対栃木県】 ◎「宇都宮圏」への流失地域(人口約96,000人) 南会津町、檜枝岐村、昭和村および西郷村の全域 下郷町の大部分(旧江川村を除く) 白河市の大部分(東北中の学区、旧大信村、旧東村のうち小野田小の学区を除く)【対茨城県】 ◎「水戸圏」への流失地域(人口約354,000人) 塙町、矢祭町および広野町の全域 棚倉町の一部(旧近津村) 鮫川村の一部(渡瀬および青生野) いわき市の大部分(旧川前村、旧三和村のうち三阪中・小の学区、常磐自動車道 いわき中央IC周辺(中好間、上好間、北好間および好間工業団地)を除く) 楢葉町の南半分(旧木戸村)宮城、山形両県で13,000人ほどが「福島圏」に入りますが、福島県民のうち実にその32%ほどにあたる631,000人あまりの人口が、福島駅よりも周辺各県の県庁所在地駅の方が利便性が高い地域に住んでいるという、ある意味驚愕の結果となりました。そんな県、他にいったいあるんだろうか? とすら思います。一応、「福島圏」の範囲を示す簡単なマップも作ってみました。ただし、平成の大合併以前の市町村の境界より細かい範囲はペイントできなかったので、範囲は正確さを欠きます。「福島圏」=赤「仙台圏」=青緑「山形圏」=黄「新潟圏」=黄緑「前橋圏」=オレンジ「宇都宮圏」=水色「水戸圏」=ピンクにて表示。周辺各県については福島県ないし「福島圏」に隣接する旧市町村のみペイントなお、「福島圏」関連の話はこれでは終わりません。次回からは、これが「郡山圏」だったら周辺各県の県庁所在地との関係がどのように変化するのか、考察していきたいと思います。乞うご期待!?
2012.02.09
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先月末から長々と続けてきた「福島圏」についての考察。最終回は相双地域を走る常磐線についてです。なお、常磐線については、東日本大震災や福島第一原発事故の影響で広野駅~原ノ町駅間および相馬駅~亘理駅間で運行不能な状態になっていますが、本稿では震災前の状況にてらして、考察を進めていきたいと思います。とは言うものの、前回の考察で「福島圏」の境界が磐越東線の川前駅だと述べてしまったことから推察される通り、結論から申し上げて、福島県内の常磐線沿線において「福島圏」に属する地域は、皆無です。福島市の方は「相馬市は仙台市よりも福島市の方が近い」と口にしますが、それは国道115号線をクルマで走行した場合の実距離に限った話であり、公共交通機関の側面から見ると、福島、相馬の両都市を国道115号線を直通、あるいは途中で乗り継いで到達可能なバス路線は存在せず、最短ルートは相馬駅から常磐線を岩沼駅まで北上して東北本線で福島駅に至るというものでした。言うまでもなく、岩沼駅は宮城県内の駅であり、仙台駅から17.6キロ、福島駅から51.4キロの地点に位置していますから、相馬市は完全に「仙台圏」に入ってしまうのです。なお、福島市~相馬市間に限らず、震災前においては、中通りと相双地域とを直結するバス路線は皆無でした。以前は福島駅東口と浪江駅前とを結ぶJRバス東北の福浪線などが運行されていましたが順次廃止され、バスの乗り継ぎで何とかたどり着くルートしか存在しなかったのです。しかも、その大半が1日上下10本以下という体たらくでしたから、1日上下30本以上は運行されていた常磐線と比べることすら憚られるほどでした。ただし、震災後に相馬市と福島市とを直結する長距離バスが一日上下8本ながら運行されるようになったおかげで、バスが停車する相馬市西部の山上地区及びその西側に位置する玉野地区については、現在では仙台市よりも福島市の方が行きやすくなっています。同様に、山上地区のような阿武隈高地の只中にある地域では、常磐線の駅へ行くのにも時間や距離を要する地理的事情があるため、「福島圏」に入るものと思われます。具体的な地域を列挙すると、飯舘村、浪江町津島地区、葛尾村といったところでしょうか。また、先日「帰村宣言」を行った川内村についても、震災前は富岡駅方面にしかバス路線が通じていませんでしたが、今後は田村市との間に路線バスを運行させるなど中通りとの交流を密にしていく方針を示しているので、「福島圏」に加えていいと考えます。なお、相双地域のうち「福島圏」に属する地域の人口は、約13,000人といったところ。原発事故の影響で人口の流出が止まらない相双地域ですがそれでも住民票上は184,000人ほどの人口がいるので、残りの約171,000人は「水戸圏」か「仙台圏」のいずれかに属するということになります。そこで、(どちらに転んでも「福島圏」ではないのであまり気が進まないのですが)常磐線沿線における「水戸圏」と「仙台圏」の境目はどこだろうと調べてみたところ、ちょっと意外な結果が出ました。個人的には相馬藩と磐城平藩との境界であった大熊町の大野駅あたりかなと漠然と思っていたのですが、水戸駅と仙台駅との中間点は楢葉町の木戸駅から200メートル北であり、列車の所要時間や運賃もまた、木戸駅の一駅北、同じ楢葉町にある竜田駅で仙台駅優勢となります。なお、全区間普通列車利用の前提で竜田駅におけるデータを示すと、【対水戸駅】運行本数 上下31本平均所要時間 2時間23分片道運賃 2,210円【対仙台駅】運行本数 上下29本平均所要時間 2時間22分片道運賃 1,890円となり、指標もまた、【対水戸駅】運行本数 + 3.3ポイント平均所要時間 - 0.4ポイント片道運賃 - 7.8ポイント計 - 4.9ポイント【対仙台駅】運行本数 - 3.3ポイント平均所要時間 + 0.4ポイント片道運賃 + 7.8ポイント計 + 4.9ポイントと、仙台駅が水戸駅を上回る結果となります。従って、常磐線沿線における「水戸圏」と「仙台圏」の境界は、木戸、竜田両駅の中間を流れている木戸川ということになるでしょうか。地理的には目立つ境界ではありますが、楢葉町は南北に二分された形になります。なお、相双地域における各「圏」の区域と人口を軽く紹介すると、「福島圏」…川内村、葛尾村および飯舘村の全域、相馬市山上および玉野、浪江町津島。人口約13,000人「水戸圏」…広野町の全域、楢葉町南部(旧木戸村)。人口約8,000人「仙台圏」…南相馬市、双葉町、大熊町および富岡町の全域、山上および玉野を除く相馬市、津島を除く浪江町、楢葉町北部(旧竜田村)。人口約163,000人となります。宮城県は白石市など中通りの北側で「福島圏」の浸食を受けましたが、浜通りで倍返しどころか「10倍返し」ぐらいのリベンジをした格好になりますね。
2012.02.08
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前回の考察が予想外に大分量に及んだので、ちょっとまとめです。中通り南部において、「宇都宮圏」および「水戸圏」に分類される地域は、「宇都宮圏」…白河市のうち東北中学校学区(概ね旧大沼村および旧小田川村)、旧大信村、旧東村東部(=旧小野田村)を除く全域、西郷村の全域(人口約72,000人)「水戸圏」…棚倉町のうち旧近津村、塙町および矢祭町の全域、鮫川村のうち渡瀬、青生野(人口約21,000人)となるものと思われます。従って、福島県内における「宇都宮圏」は南会津地域(約24,000人)と併せ、約96,000人の人口を擁することになります。県民の5%弱が浸食されているというだけも凄まじいと思うのですが、「宇都宮圏」を上回る様相を呈しているのが、これから紹介するいわき市内における「水戸圏」の浸食ぶりです。なにせ、福島駅と水戸駅との中間地点は、いわき市内の山間、夏井川渓谷や背戸峨廊に程近い江田駅の北側500メートルの地点。ただし、磐越東線が地方交通線であり江田駅からだと福島駅方面の方がその距離が長い関係で、同駅からの運賃は、水戸駅が1,890円なのに対し福島駅が2,210円と割高になります。従って、江田駅のデータもまた、普通列車利用を前提に考えると、【対福島駅】運行本数 上下11本平均所要時間 2時間28分片道運賃 2,210円【対水戸駅】運行本数 上下12本平均所要時間 2時間14分片道運賃 1,890円と対福島駅の完敗であり、従って指標も、【対福島駅】運行本数 - 4.3ポイント平均所要時間 - 5.0ポイント片道運賃 - 7.8ポイント計 -17.1ポイント【対水戸駅】運行本数 + 4.3ポイント平均所要時間 + 5.0ポイント片道運賃 + 7.8ポイント計 +17.1ポイントと大差がつく結果となります。東北新幹線を利用すれば平均所要時間の面では対水戸駅を上回ることが可能ですが、その分運賃が割高になるため、指標の差は縮まりません。なお、江田駅から一駅福島駅寄り、中通り側から見ていわき市の玄関口に位置する川前駅だと、【対福島駅】運行本数 上下11本平均所要時間 2時間14分片道運賃 1,890円【対水戸駅】運行本数 上下12本平均所要時間 2時間23分片道運賃 2,210円と、平均所要時間、片道運賃の両面で対水戸駅を上回るため、指標も、【対福島駅】運行本数 - 4.3ポイント平均所要時間 + 3.2ポイント片道運賃 + 7.8ポイント計 + 6.7ポイント【対水戸駅】運行本数 + 4.3ポイント平均所要時間 - 3.2ポイント片道運賃 - 7.8ポイント計 - 6.7ポイントと、逆転することになります。この結果を踏まえると、いわき市は、川前地区を除いた全域が「水戸圏」ということになるかと思います。川前地区の人口は約1,300人。いわき市の全人口は約333,000人ですから、実に331,700人が流失していることになります。それだけでは可哀想だから、49号線と349号線の両国道が合流する三和町三阪地区も、お情けで「福島圏」に入れてもいいかもしれません。三阪地区は小野町や平田村に近接し、2006年までは川前駅から更に二駅福島駅寄りの小野新町駅から常磐交通(現・新常磐交通)の路線バスが発着していたから、一応それなりの根拠はあります。しかし、三阪地区を合わせたとしても人口は2,500人程度ですから、残りの330,500人は依然として「水戸圏」に留まります。なお、平田村、あるいはその南に隣接する古殿町に関しては、いわき市方面からの路線バスの便が皆無であり、逆に小野新町駅や磐城石川駅といった「福島圏」の駅からは路線バスが発着しているので、「福島圏」に組み入れていいでしょう。…と一旦書いてみたのですが、更に詳しく調べてみると、実はこの他に、いわき市内の意外な場所に「福島圏」があることがわかりました。それは、好間地区のいわき中央IC付近。ICに隣接するバス停に福島駅や郡山駅とを結ぶ高速バスが頻繁に発着する関係で局地的に中通りとを結ぶパイプが発達している地理的条件により、なんと「福島圏」の飛び地が発生しているのです。複数のルートについて試算してみたところ、いわき中央IC付近では、福島駅方面は「いわき~福島間高速バス(一日上下16本)」および「いわき~郡山(~会津若松)間高速バス⇒東北新幹線(一日上下45本)」両ルートの合算、水戸駅方面は「町田橋バス停~いわき駅間路線バス⇒常磐線(特急含む)」のルートがベストであり、各便のデータを集計してみると、【対福島駅】運行本数 上下61本平均所要時間 1時間49分平均片道運賃 2,938円※片道運賃の内訳 いわき~福島間高速バス(上下16本) 2,300円 いわき~郡山間高速バス⇒東北新幹線(上下45本) 3,160円【対水戸駅】運行本数 上下51本平均所要時間 1時間57分平均片道運賃 2,481円※片道運賃の内訳 いわき駅から普通列車利用(上下27本) 1,940円 いわき駅から特急列車利用(上下24本) 3,090円となり、指標は、【対福島駅】運行本数 + 8.9ポイント平均所要時間 + 3.5ポイント片道運賃 - 3.7ポイント計 + 8.7ポイント【対水戸駅】運行本数 - 8.9ポイント平均所要時間 - 3.5ポイント片道運賃 + 3.7ポイント計 - 8.7ポイントと、水戸駅を上回ることになります。なお、福島駅方面の運賃は通常運賃によるものであり、高速バスの往復割引や郡山駅~福島駅間のWきっぷを活用すれば、隣の叶田団地入口バス停もまた「福島圏」に組み入れることが可能です。ついでに、いわき中央ICから国道49号線を西進した先にある三和町永戸、沢渡の両地区についても調べてみたのですが、こちらについては、いわき中央ICでバスを乗り換えなければならない時間的ロスが響き「福島圏」への編入は厳しい情勢のようです。高速バスがいわき三和ICでも停車してくれるのならば情勢が一変するのでしょうが、多分期待はできないでしょう。いわき中央ICの駅勢圏ならぬ「バス停勢圏」は、大字名を列挙すると好間町内の中好間、上好間、北好間、そして好間工業団地といったあたりでしょうか。人口は6,000人ほど。従って、先に紹介した川前、三阪の両地区と併せて、いわき市内における「福島圏」の人口は8,000人強ということになるでしょうか。残りの325,000人余りは「水戸圏」ですが、福島市といわき市との距離感から連想する印象から考えると、「福島圏」は意外に健闘していると言えなくもありません。
2012.02.08
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さて、前回の考察で「かなりややこしい様相を呈している」と書いた白河市周辺部について、切り込んでいきたいと思います。本稿では主として鉄道の通じていない地域について紹介する予定ですが、行きがかり上水郡線のデータについても紹介する必要が生じます。というのも、例えば白河市の旧東村を通過するバスは、「新白河駅~白河駅前~旧東村~(磐城)石川駅前」(一日上下14本)及び「白河駅前~旧東村~(磐城)棚倉駅前」(同上下8本)と福島交通の二系統があり、東北本線(宇都宮線)のみならず水郡線のデータも見ていかないとどこの都市との間が利便性が高いのか判別がつかないからです。同様に、旧東村の南に位置する白河市の旧表郷村もまた、「白河駅~新白河駅(一部経由しない便あり)~磐城棚倉駅」(JR関東白棚線 一日上下42本)というバス路線があり、やはり水郡線の存在抜きには利便性を語れない状況です。なお、白河市周辺部については「福島圏」と「宇都宮圏」との争いでしたが、水郡線はその名の通り水戸駅と郡山駅(線路名称上の終点は安積永盛駅ですが、列車はすべて郡山駅まで直通します)とを直結しているので、同線の沿線については「福島圏」と「水戸圏」との争いになります。3都市の圏域が複雑に絡み合う点もまた、ややこしいと言えるでしょう。そこで、水郡線のデータについてみていくと、距離、運賃とも、磐城棚倉~磐城浅川間を境に、水戸駅優勢か福島駅優勢かが分かれるようです。列車の運行本数に関しては福島駅方面が若干優勢のようですが、とりあえず、双方面とも普通列車利用ということで磐城棚倉駅のデータをみていくと、【対福島駅】運行本数 上下16本平均所要時間 2時間13分片道運賃 1,890円【対水戸駅】運行本数 上下15本平均所要時間 2時間15分片道運賃 1,620円となり、指標は、【対福島駅】運行本数 + 3.2ポイント平均所要時間 + 0.7ポイント片道運賃 - 7.7ポイント計 - 3.8ポイント【対水戸駅】運行本数 - 3.2ポイント平均所要時間 - 0.7ポイント片道運賃 + 7.7ポイント計 + 3.8ポイントと、若干水戸駅優勢となります。なお、福島駅方面で新幹線を使用した場合でも、所要時間が短くなる半面特急料金の負担が大きくなるため、水戸駅を上回ることができません。で、話がこれで終わればいいのですが、郡山駅~福島駅間でWきっぷを利用した場合、磐城棚倉駅~福島駅間は片道1,650円で行くことが可能になります。従って、対水戸駅との運賃の差額が減少するため、指標もまた、【対福島駅】運行本数 + 3.2ポイント平均所要時間 + 0.7ポイント片道運賃 - 0.9ポイント計 + 3.0ポイント【対水戸駅】運行本数 - 3.2ポイント平均所要時間 - 0.7ポイント片道運賃 + 0.9ポイント計 - 3.0ポイントと、対水戸駅を逆転するに至ります。もっとも、磐城棚倉駅と福島駅を往復する際にWきっぷを活用しようと思いつく人はあまり多くないと推定されますので、磐城棚倉駅に関してはわずかに水戸駅優勢かなと思わなくもありません。ところが、話はここだけでは終わりません。本稿の冒頭において白河駅・新白河駅と磐城棚倉駅とを結ぶバス(白棚線)が一日上下42本あると述べましたが、これは水郡線の列車本数の倍以上の数字なのです。従って、白棚線で新白河駅まで行き、そこで東北本線(宇都宮線)なり東北新幹線に乗り換えて福島駅や宇都宮駅に行った方が水郡線を利用するよりも利便性が高い可能性があるのです。そこで、このルートについて、普通列車を利用した場合の福島駅、宇都宮駅の双方のデータを調べてみると、【対福島駅】運行本数 上下29本平均所要時間 2時間41分片道運賃 2,160円【対宇都宮駅】運行本数 上下25本平均所要時間 2時間31分片道運賃 1,990円という結果が出ます。意外に感じたのは、対福島駅の運行本数が対宇都宮駅のそれを4本も上回っていることです。特に磐城棚倉駅⇒新白河駅⇒福島駅方面の便が17本と多く、白棚線が棚倉町・旧表郷村と郡山市・福島市とを結ぶ重要な足であることが認識されます。前回の考察で新白河駅自体は「宇都宮圏」であると記しましたが、その新白河駅がハブになっている所に、妙な印象を受けます。従って、このルートの指標も、【対福島駅】運行本数 + 7.4ポイント平均所要時間 - 3.2ポイント片道運賃 - 4.1ポイント計 + 0.1ポイント【対宇都宮駅】運行本数 - 7.4ポイント平均所要時間 + 3.2ポイント片道運賃 + 4.1ポイント計 - 0.1ポイントと、ほんのわずかに福島駅優勢との結果が出てしまいます。なお、東北新幹線を利用した場合でも同様の結果がでますが、いずれも平日における指標であり、白棚線の運行本数が減少する土日祝日に関しては、宇都宮駅優勢の結果となります。ちなみに、磐城棚倉駅における、対水戸駅、対宇都宮駅双方についても、一応比較してみると、【対水戸駅】運行本数 -25.0ポイント平均所要時間 + 5.6ポイント片道運賃 +10.2ポイント計 - 9.2ポイント【対宇都宮駅】運行本数 +25.0ポイント平均所要時間 - 5.6ポイント片道運賃 -10.2ポイント計 + 9.2ポイントと、運行本数の多さがモノを言って、宇都宮駅優勢の結果が出ます。以上のことから、磐城棚倉駅における利便性の順位は、福島駅(白棚線経由)≧宇都宮駅(白棚線経由)>水戸駅(水郡線経由)≧福島駅(水郡線経由)ということになるかと思われます。磐城棚倉駅の話にずいぶんと時間を割いてしまいましたが、冒頭で述べた白河市近辺の路線バスについて、簡単に話をまとめたいと思います。まず、白棚線沿線の旧表郷村についてですが、磐城棚倉駅での指標を敷衍してそのまま福島駅がわずかに優勢になると思ってしまいがちですが、各項目のポイントを見ると平均所要時間と片道運賃が宇都宮駅優勢となっています。この差異は新白河駅まで固定化されますから、磐城棚倉駅よりも所要時間や運賃が縮小される旧表郷村ではむしろ指標のポイント格差は広がるという結果を招きます。0.1ポイントの差なんてすぐにひっくり返りますので、旧表郷村は「宇都宮圏」に属すと見ていいと思います。旧東村については、バスの時刻を調べてみると磐城石川駅での接続があまり良くなく、福島駅方面とのアクセスもまた宇都宮駅方面と同様に白河駅で乗り換えた方が利便性が高くなります。白棚線と同様の奇跡は起こらず、すべての項目で宇都宮駅が福島駅を上回ります。なお、このバスの経由地である白河市五箇地区は久田野駅と比較的近いのでひょっとすると「福島圏」に属する可能性もありますが、本稿では一応「宇都宮圏」に加えます。また、旧東村東端に位置する野出島地区はバスが経由せずかつ水郡線の里白石、磐城浅川両駅と至近距離に位置するため、本稿では「福島圏」に加えます。また、同じ白河市内では、旧大信村も白河駅から福島交通(一日上下6本)、矢吹駅から大信地域自主運行バス(同4本)が発着しており判断に迷うところですが、これについては「福島圏」に属する矢吹駅との繋がりの方が強いようです。あと、磐城棚倉駅周辺の処遇ですが、同駅の所在する旧棚倉町及びその周辺の旧社川、山岡、高野の各村については、多少異論は残りますが「福島圏」ということにしたいと思います。久慈川の源流と八溝山の山頂の一角が確保できるのだから、ある意味御の字と言えるかもしれません。ただし、同じ棚倉町内でも南部の旧近津村は、その南に位置する塙、矢祭両町と同様に「水戸圏」になります。一番迷ったのが棚倉町の東にある鮫川村の処遇で、バス路線を調べてみると磐城棚倉駅ではなく磐城石川駅との繋がりが最も強いことから原則的には「福島圏」にしたいと考えていますが、村南部、塙町に近い国道289号線沿道の渡瀬、青生野(あおうの)両地区については「水戸圏」にした方がいいようです。
2012.02.06
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前回の考察に続いての「福島圏」と「宇都宮圏」の境界論議は会津から中通りへと舞台を移し、今回は東北本線(宇都宮線)について述べていきたいと思います。東北本線において福島駅と宇都宮駅との中間になる地点は、白河駅と久田野駅との間、白河駅の北側3キロほどの地点にあります。東北本線(宇都宮線)一本で結ばれているので運賃体系の面でも素直であり、片道運賃を見ると白河駅では宇都宮駅1,280円に対し福島駅1,450円、逆に久田野駅では宇都宮駅1,450円に対し福島駅1,280円と、立場がクッキリと分かれます。所要時間の面でも同様で、この区間を境に宇都宮駅優勢か福島駅優勢かで分かれます。宇都宮方面では黒磯駅で必ず乗り換える必要があるため多少のロスが発生しますが、福島方面も郡山で乗り換える列車が結構多く、また乗換を要さない列車でも郡山駅で長時間停車するため、どちらも優劣つけられない情勢となってしまいます。従って、東北本線(宇都宮線)の普通列車でみていく限り、白河駅以南が「宇都宮圏」ということになります。以下白河駅のデータを示すと、【対福島駅】運行本数 上下36本平均所要時間 1時間36分片道運賃 1,450円【対宇都宮駅】運行本数 上下36本平均所要時間 1時間28分片道運賃 1,280円となり、指標もまた、【対福島駅】運行本数 ± 0.0ポイント平均所要時間 - 4.3ポイント片道運賃 - 6.2ポイント計 -10.5ポイント【対宇都宮駅】運行本数 ± 0.0ポイント平均所要時間 + 4.3ポイント片道運賃 + 6.2ポイント計 +10.5ポイントと、宇都宮駅優勢の結果が出ます。郡山駅~福島駅間のWきっぷを活用すれば白河駅~福島駅間は片道1,350円まで値段を下げることが可能ですが、白河駅~宇都宮駅間の運賃を下回ることができず、指標を逆転するまでに至りません。県南の枢要である白河市中心部が「宇都宮圏」というのも、少し淋しい気がします。また、白河駅から一駅宇都宮駅に位置し東北新幹線も停車する新白河駅もまた、在来線、新幹線ともに宇都宮優勢の結果となります。新幹線を利用した場合のデータを示すと、【対福島駅】運行本数 上下37本平均所要時間 33分片道運賃 3,240円(自由席特急券代1,790円を含む)【対宇都宮駅】運行本数 上下37本平均所要時間 27分片道運賃 3,070円(自由席特急券代1,790円を含む)であり、指標も同様に、【対福島駅】運行本数 ± 0.0ポイント平均所要時間 -10.0ポイント片道運賃 - 2.7ポイント計 -12.7ポイント【対宇都宮駅】運行本数 ± 0.0ポイント平均所要時間 +10.0ポイント片道運賃 + 2.7ポイント計 +12.7ポイントとなります。ここで注目すべきは、平均所要時間に大きな差がついてしまっていることです。この背景には、新白河駅に停車する新幹線の列車の3分の1近い上下12本が郡山駅止まりの「なすの」であり、福島駅までたった2駅しか離れていないにも関わらず中間の郡山駅で乗換を余儀なくされることと無縁ではありません。確かに新白河駅周辺は首都圏への通勤者も少なからず存在するし「なすの」の存在は貴重でしょうが、同じ県内なのに新幹線を乗り換えなければならない現状があるということに対し、福島県当局や新白河駅付近の方がどのように考えているか伺ってみたいところです。なお、白河駅や新白河駅近辺のバス路線については、東側を走っている水郡線との絡みもあってかなりややこしい様相を呈しているので、発表は次回に回します。
2012.02.05
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前回考察した只見線沿線の駅とを結ぶバス路線について調べてみたら、ちょっと意外なことがわかりました。会津川口駅から会津バスの路線が出ている昭和村なのですが、実はこの村、冬季(12月1日~翌年3月31日)運休ながら国道401号線舟鼻峠を越えて南会津町にある会津鉄道の会津田島駅とを結ぶ路線バスも運行されているのです。運行しているのは、昭和村内に本社を置く金子建設という建設会社で、「金子観光バス」の名称でバスを走らせています。昭和村とを結ぶバスの本数は、会津バス、金子観光バスとも一日3往復と少ないですが、周辺諸都市へのアクセスの利便性についてみていくと、会津田島駅・宇都宮市>会津田島駅・福島市>会津川口駅・福島市>会津川口駅・新潟市の順になるのです。宇都宮市へのアクセスは会津鉄道⇒野岩鉄道⇒東武鬼怒川線と順次南下して東武鬼怒川線と東武日光線が合流する下今市駅からJR日光線の今市駅まで10分ほど歩きJR宇都宮駅に至るという「乗り鉄」以外には食指が動かなそうなルート(苦笑)なのですが、にも拘らず、福島駅が敗れ去るという結果になります。なお、郡山駅と宇都宮駅との比較であれば、会津鉄道⇒高速バスというルートをとった場合に限り、郡山駅優勢の結果が出るようです。磐越西線や只見線は同じJR東日本の路線なので運賃も割安で済みましたが、会津鉄道は第三セクターなので、同一体系運賃というJR線の優位性が減殺される一方で、磐越西線に比べて運行本数の多い高速バスとの相性が良くなるようです。この結果から、昭和村や南会津町は「福島圏」ではなく「宇都宮圏」に属するという仮定が成り立ちそうですが、その前に、会津鉄道における両圏の境界はどの辺りにあるのか、確定させる必要があるかと思われます。そこで、早速調べてみると、更に驚愕の事実が判明します。鉄道での距離だけで算出すると、「福島圏」と「宇都宮圏」との中間点は、なんと会津田島どころか会津若松市南部に位置する芦ノ牧温泉駅の南方1.7キロの地点となるのです。もっとも、会津鉄道の運賃はJR東日本どころか阿武隈急行よりも割高であり、会津鉄道の起点である西若松駅~芦ノ牧温泉駅間が10.5キロしかないのに片道運賃が400円、西若松駅~会津田島駅間が42.0キロで1,430円もします。野岩鉄道も全線が会津高原尾瀬口駅~新藤原駅の30.7キロしかないのに片道運賃が1,040円という状況で、会津鉄道ほどではないですが、お付き合いしてくれています。従って、運賃上の「福島圏」と「宇都宮圏」との中間点は、南会津町と会津若松市との中間に位置する下郷町の会津下郷駅駅付近となります。同駅からの正規片道運賃は、とりあえず普通列車利用で考えると、福島駅が3,010円なのに対し、宇都宮駅が2,910円。その一駅福島駅寄りの弥五島駅だと、福島駅2,910円、宇都宮駅2,910円と逆転する結果となります。どうやらこの辺りが境界のようで、データを採ってみると、その通りの結果となります。以下、双方面とも普通列車のみを利用した場合のデータを示すと、【対福島駅】運行本数 上下23本平均所要時間 3時間35分片道運賃 3,010円【対宇都宮駅】運行本数 上下21本平均所要時間 3時間19分片道運賃 2,910円となり、指標もまた、【対福島駅】運行本数 + 4.5ポイント平均所要時間 - 3.9ポイント片道運賃 - 1.7ポイント計 - 1.1ポイント【対宇都宮駅】運行本数 - 4.5ポイント平均所要時間 + 3.9ポイント片道運賃 + 1.7ポイント計 + 1.1ポイントと、宇都宮駅が若干優勢の結果となります。なお、対福島駅のデータを高速バスや新幹線を使ったものに変更しても、大半のケースで弥五島駅~会津下郷駅間で指標が逆転する結果となります。非常に面白いことに、会津下郷駅より北側は、1955年に下郷町が成立するまでは江川村という独立した村でした。恐らく旧江川村までが「福島圏」で、それ以南の下郷町(旧楢原町及び旧旭田村)及び会津田島駅を基点としてバス路線が網羅されている南会津町全域、更に檜枝岐村は「宇都宮圏」と考えることができるかと思います(ただし、旧楢原町に属していた大内宿で知られる大内地区は、現在江川小学校の学区となっていることから、「福島圏」に属すると考えられます)。本稿の冒頭で述べた昭和村も含めて、「宇都宮圏」に属する地域の人口は、24,000人程度かと推察されます。ここでもまた、「福島県」に属しながら「福島圏」の埒外にある地域が、広範囲にわたっているということになるかと思います。
2012.02.05
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前回の考察で、磐越西線沿線の「福島圏」の境界は喜多方駅と山都駅との間になる旨を書きました。従って、その境界線は、概ね旧喜多方市と旧山都町との境目になると思われます。なお、喜多方駅からはバスが数系統出ており、旧熱塩加納村方面(会津バス)と北塩原村北山・大塩方面(磐梯東都バス)については簡単に調べてみましたが、いずれも福島駅優位の結果となりました。ダイヤを確認するとバス沿線の各地域から会津若松市との通勤、通学などの便宜が図られているようで、結果、福島駅方面への利便性が相対的に高まったと言えるでしょう。また、国道49号線に沿って会津坂下町の会津バス坂下営業所から西会津町の野沢駅前まで西会津町民バスが走っているのでこちらについても一応調べてみましたが、西会津町内のバス停については新潟駅優勢の結果となりました。以上の結果から、喜多方市のうち旧山都町及びその西側に位置する旧高郷村、そして更に西側の西会津町については「新潟圏」ということになるかと思われます。この地域の人口は約13,000人。宮城県と山形県でこさえた「貯金」を、ここで一気に吐き出した形になります。磐越西線と同様に、福島県内において「福島圏」と「新潟圏」とがつばぜり合いを演じる路線としては、もう一つ、只見線があります。もっとも、この路線は昨年7月の新潟・福島豪雨によって甚大な被害を受けたために現時点での列車の運行は会津川口駅以東、また代行バスの運行自体も只見駅以東にとどまっており、新潟県への通り抜けが不可能な状況にあります。ただ、いずれは全線復旧することと思うし、祈願の意味合いも込めて、本稿では豪雨以前の運行体系に基づいて、考察していきたいと思います。只見線における福島駅と新潟駅との中間地点は、金山町の中心に位置する会津川口駅付近となります。福島駅まで171.5キロ、新潟駅まで171.1キロですから、どちらにしても遠いとしか言いようがありません。なお、会津川口駅の片道運賃は、福島駅、新潟駅とも2,940円です。ちなみに、磐越西線の項で登場したえちごワンデーパスは、有効期限が一日しかなく、しかも金山町から新潟方面へは一日上下5本しか列車が運行されていない上に平均所要時間が片道4時間以上かかるため日帰りはほぼ不可能と考えられることから、使用は不可能ではないかと思います。また、えちごワンデーパスのフリーエリアは小千谷駅までのため、新潟駅との距離(79.5キロ)を考えると、仮に購入し片道だけ利用しても通常運賃(1,280円)より割高な結果となります。逆にWきっぷは有効期間が1ヶ月のため別に日帰りではなくとも利用は可能ですが、本稿では新潟駅側にあわせ、利用しないものとしてデータ、指標を計算しようかと思います。なお、会津川口駅におけるデータは、福島駅、新潟駅両方面とも全区間在来線利用とした場合、以下の通りとなります。【対福島駅】運行本数 上下10本平均所要時間 4時間41分片道運賃 2,940円【対新潟駅】運行本数 上下5本平均所要時間 4時間29分片道運賃 2,940円所要時間や運賃は大差ないものの、只見線は会津若松~会津川口間の区間列車が多いため、運行本数は福島駅側が倍という結果になります。従って指標も、【対福島駅】運行本数 +33.3ポイント平均所要時間 - 2.2ポイント片道運賃 ± 0.0ポイント計 +31.1ポイント【対新潟駅】運行本数 -33.3ポイント平均所要時間 + 2.2ポイント片道運賃 ± 0.0ポイント計 -31.1ポイントと、福島駅が大きく優勢という結果となります。なお、新幹線を利用した場合でも、新潟側にSきっぷという新潟駅~長岡駅間が往復2,920円で新幹線乗車可能な回数券が通年で利用できるというメリットがあるものの、運行本数の差は如何ともできず、福島駅優勢の結果となります。ちなみに、新幹線を利用しても、会津川口駅~福島、新潟両駅間の平均所要時間はいずれも3時間57分で、「遠いな~」と嘆きたくなります。会津川口駅の西隣の本名駅以西は、福島駅、新潟駅両方面とも一日上下5本しかないため、所要時間及び運賃面から新潟駅優勢の結果となります。従って、旧金山町西部の旧本名村及び旧横田村、更にその西側の只見町については、「新潟圏」に入るとみていいと思います。なお、これらの地域の人口は、5,000人強といったところでしょうか。
2012.02.02
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「対山形駅」の奥羽本線・山形新幹線編に続いては、「対新潟駅」。今回は、磐越西線について、考察を進めたいと思います。この路線を考えるとき、返す返すも残念だなと思うのが、1984年に廃止された国鉄日中線の存在です。喜多方駅から旧熱塩加納村の熱塩駅までの盲腸線として運行されていましたが、元々は大峠を越えて米沢市まで通じる予定でした。従って、仮に全線開通したとなれば、喜多方駅から福島駅までのルートが複数できたことになるし、奥羽本線・山形新幹線編で述べたように米沢駅は福島駅よりも山形駅の方が利便性が高いから、ひょっとしたら旧熱塩加納村内の駅に福島駅より山形駅の方が行きやすい駅が出現していた可能性があります。もっとも、この路線が廃止されて以降も大峠を越えて運行される定期の路線バスは皆無です(ロンドンタクシーだったらありますが)から、「対山形駅」を調査する必要もまた現時点ではないと言っていいでしょう。また、この路線の沿線から福島駅方面へのルートを考えた場合、パターンが多岐にわたるというのも、特徴の一つに挙げられるでしょう。というか、沿線で福島駅から乗換なしで行くことができる地域は、高速バスが直通する会津若松市のみです。なお、パターンを列挙すると、・磐越西線⇒郡山駅⇒東北本線⇒福島駅・磐越西線⇒郡山駅⇒東北新幹線⇒福島駅・磐越西線⇒郡山駅⇒高速バス⇒福島駅・磐越西線⇒会津若松駅⇒高速バス⇒福島駅・磐越西線⇒会津若松駅⇒高速バス⇒郡山駅⇒東北本線⇒福島駅・磐越西線⇒会津若松駅⇒高速バス⇒郡山駅⇒東北新幹線⇒福島駅・磐越西線⇒会津若松駅⇒高速バス⇒郡山駅⇒高速バス⇒福島駅これだけあるのです。とりあえず、磐越西線経由における福島、新潟両駅の中間点を、探っていきたいと思います。全区間普通列車利用を前提とした場合、距離上の中間点は、堂島駅~笈川駅間となります。笈川駅と福島、新潟両駅間の運賃は、いずれも1,890円。堂島駅だと新潟駅への運賃が、笈川駅の一駅新潟駅寄りの塩川駅だと福島駅への運賃が、いずれも2,210円に跳ね上がります。塩川駅から更に三駅新潟駅寄りにある喜多方駅でも、新潟駅が1,890円、福島駅が2,210円となります。ただし、これは正規運賃の場合で、福島、新潟両駅方面とも通年販売の割引切符が販売されているため、実質的な運賃体系はかなり崩れます。福島駅方面だと2枚綴りの回数券・Wきっぷが喜多方駅・会津若松駅~郡山駅間1,800円、郡山駅~福島駅間1,400円で販売されているため、往復利用を前提とした場合、喜多方駅~福島駅間の片道運賃は1,600円まで一気にダウンします。一方、新潟駅方面でもえちごワンデーパスという1枚1,500円でフリーエリア内乗り放題という切符が販売されており、磐越西線では福島県境に近い日出谷駅までがフリーエリアです。これもまた往復利用を前提とすると日出谷駅~新潟駅間が片道750円で利用できることになるため、喜多方駅~新潟駅間の片道運賃は、この750円に喜多方駅~日出谷駅間の片道運賃820円を加算した1,570円まで下がります。上記の運賃事情、また喜多方駅がJR東日本の仙台、新潟両支社の境界駅となっていることも考えると、どうやら喜多方駅が「福島圏」の境界でもあると考えられそうです。そこで、普通列車及び快速列車のみを利用を利用した場合のデータを示すと、【対福島駅】運行本数 上下24本平均所要時間 2時間56分片道運賃 1,600円【対新潟駅】運行本数 上下14本平均所要時間 2時間39分片道運賃 1,570円となります。喜多方駅そのものの列車本数を見ると会津若松駅方面に上下30本、野沢駅方面に上下22本の列車が走っているのですが、福島駅や新潟駅を朝一番に発っても乗車不可能な早朝の列車や逆にその日のうちに福島駅や新潟駅まで辿り着くことが不可能な深夜の列車が存在することや、新潟駅方面だと野沢駅止まりの区間列車も走っているといった要因に伴い、当日中に行き来できるパターンは上記の本数しかありません。このデータを指標化してみると、【対福島駅】運行本数 +26.3ポイント平均所要時間 - 5.1ポイント片道運賃 - 0.9ポイント計 +20.3ポイント【対新潟駅】運行本数 -26.3ポイント平均所要時間 + 5.1ポイント片道運賃 + 0.9ポイント計 -20.3ポイントとなり、運行本数の多さが幸いして喜多方駅は「福島圏」ということになります。白石、丸森、米沢各駅の借りを、喜多方駅で返した形になります。もっとも、喜多方駅から一駅新潟駅寄りの山都駅になると、【対福島駅】運行本数 上下17本平均所要時間 3時間07分片道運賃 1,790円【対新潟駅】運行本数 上下14本平均所要時間 2時間28分片道運賃 1,400円というデータとなるため、指標もまた、【対福島駅】運行本数 + 9.7ポイント平均所要時間 -11.6ポイント片道運賃 -12.2ポイント計 -14.1ポイント【対新潟駅】運行本数 - 9.7ポイント平均所要時間 +11.6ポイント片道運賃 +12.2ポイント計 +14.1ポイントと、新潟駅優勢の結果が出ます。福島駅方面を在来線利用ではなく郡山駅から新幹線利用に変更したとしても、【対福島駅】運行本数 上下18本平均所要時間 2時間25分片道運賃 2,630円(自由席特急券代840円を含む)【対新潟駅】運行本数 上下14本平均所要時間 2時間28分片道運賃 1,400円の比較となり、指標は、【対福島駅】運行本数 +12.5ポイント平均所要時間 + 1.0ポイント片道運賃 -30.5ポイント計 -17.0ポイント【対新潟駅】運行本数 -12.5ポイント平均所要時間 - 1.0ポイント片道運賃 +30.5ポイント計 +17.0ポイントと、運行本数、平均所要時間で上回りながら片道運賃の高さが災いして、大惨敗を喫してしまいます。なお、高速バス利用に関しては、運賃の割引率がJR東日本ほどではない(会津若松~福島線の場合、片道運賃1,600円のところ往復利用前提で1,400円に割り引かれる程度)ので、山都駅を「新潟圏」から奪還するのは厳しいと考えていいでしょう。
2012.02.01
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前回までの考察では東北本線、東北新幹線、阿武隈急行と「対仙台駅」の路線を取り上げてきましたが、今回は「対山形駅」となる奥羽本線・山形新幹線について、考察してみたいと思います。奥羽本線・山形新幹線における福島駅と山形駅との中間地点は、米沢駅の北3.5キロほどの地点にあります。従って、米沢駅における片道運賃は、山形駅が820円に対して福島駅が740円になり、また山形新幹線の自由席特急料金も福島、山形両駅とも730円となるため、米沢駅の料金面においては、普通列車、新幹線双方とも、福島駅が優位に立っています。ところが、列車の所要時間についてみていくと、普通列車が46分、新幹線が34分と、対福島駅、対山形駅ともに同じとなります。とりわけ新幹線に関しては福島駅~米沢駅間が全列車ノンストップとなるので福島駅優位となりそうなところですが、同区間には板谷峠という最大38パーミル(=%の10分の1)の難所があるため、電車が走っているとはいえどうしても時間がかかってしまうようです。加えて、普通列車の運行体系は、米沢駅を境に福島方面の列車が激減しています。山形方面が一日上下35本あるのに対して、福島方面は一日上下12本しかないのです。従って、普通列車と新幹線とを合算した米沢駅におけるデータは、【対福島駅】運行本数 上下44本(普通列車12本 新幹線32本)平均所要時間 37分片道運賃 1,271円【対山形駅】運行本数 上下67本(普通列車35本 新幹線32本)平均所要時間 40分片道運賃 1,169円となります。先ほど米沢駅における片道運賃は福島駅の方が山形駅よりも優位に立っていると述べましたが、福島方面への普通列車の本数が極端に少ないため、新幹線を含む各列車の平均運賃を算出すると、福島駅の方が割高になるという逆転現象が起こります。従って、指標の方も、【対福島駅】運行本数 -20.7ポイント平均所要時間 + 3.9ポイント片道運賃 - 4.2ポイント計 -21.0ポイント【対山形駅】運行本数 +20.7ポイント平均所要時間 - 3.9ポイント片道運賃 + 4.2ポイント計 +21.0ポイントとなり、運行本数の多さがモノを言って山形駅が圧倒的に優勢という結果となります。この傾向は、米沢駅から分岐する米坂線や路線バスにも見られます。これらの路線とアクセスする福島方面への列車の大半が普通列車ではなく新幹線となってしまい料金が割高となるため、どの路線で調べても山形市優勢の結果となります。ただし、奥羽本線に関しては、米沢市より南の駅では運賃、所要時間とも福島駅に分がある上に列車の運行本数も福島、山形両方面とも同数の一日上下12本となるため、福島駅優勢の結果となります。駅名で言えば、関根、大沢、峠、板谷と米沢市南部の4駅が、「福島圏」に入ることになります。駅勢圏を大字名で列挙すると関根、三沢、赤崩、大小屋、大沢、板谷及び万世町刈安の7ヶ所で、人口は2,500人ほどでしょうか。いずれも奥羽山脈に抱かれた過疎地域であり、ここでもまた、中山間地域を掴まされる「福島圏」だったりします。
2012.01.31
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前回までの白石市近辺における考察に引き続き、今回は、阿武隈急行について、考察していきたいと思います。この路線の特徴としてまず挙げられるのは、近距離区間の運賃が高いことです。一例を挙げると、福島駅~保原駅間(12.8キロ)が片道440円、福島駅~梁川駅間(18.3キロ)が片道540円します。この路線が仮にJR東日本の地方交通線であったならば、230円、320円で済んでいたから、かなり割高と言えるでしょう。ただし、その一方で、距離が延びるに従って運賃が割安になる傾向があり、福島駅~槻木駅の全線(54.9キロ)を乗り通した場合片道運賃は940円で、同距離のJR東日本の地方交通線の片道運賃(950円)より安くなります。もう一つの特徴としては、全線を通して運行する列車が少ない一方で福島駅~梁川駅・富野駅間と丸森駅~槻木駅間とを結ぶ短区間の列車が多いことが挙げられます。梁川駅での本数で比較すると、福島駅と直結する列車が上下60本の列車が通っているのに対し、槻木駅と直結する列車は上下32本に留まります。丸森駅だと、槻木駅と直結する列車が上下45本なのに対し福島駅と直結する列車は上下32本と、立場が逆転します。福島、仙台両駅との行きやすさで比較した場合、距離上の中間点は、丸森駅の一駅仙台駅寄りにある北丸森駅から更に300メートル仙台寄りに行った地点になりますが、JR東日本とは大きく異なる運賃体系が影響し、片道運賃は北丸森駅でも福島駅820円、仙台駅890円(阿武隈急行490円とJR東日本400円との合算)で福島駅優勢の結果となり、更に二駅仙台駅寄りの角田駅でようやく、福島駅850円、仙台駅780円(阿武隈急行380円とJR東日本400円との合算)と逆転するに至ります。余談ですが、仮に阿武隈急行がJR東日本の地方交通線であった場合、丸森駅においても福島駅、仙台駅双方片道740円で済んだはずです。また、所要時間面においては、北丸森駅で福島駅57分、仙台駅56分とほぼ拮抗する結果となります。仙台駅方面では大半の列車において槻木駅での乗換が必要になりますが、福島駅方面の列車本数が多く駅間距離も短いことから列車交換や駅の停車に伴う待ち時間が発生しがちであり、若干ですが距離に比して時間がかかりがちな結果となっています。以上のデータを総合すると、列車の運行本数では丸森駅、運賃では角田駅、所要時間では北丸森駅が境界ということになるかと思います。そこで、丸森駅におけるデータを比較してみると、【対福島駅】運行本数 上下32本平均所要時間 54分片道運賃 780円【対仙台駅】運行本数 上下45本平均所要時間 58分片道運賃 890円となり、指標は、【対福島駅】運行本数 -16.9ポイント平均所要時間 + 3.6ポイント片道運賃 + 6.6ポイント計 - 6.7ポイント【対仙台駅】運行本数 +16.9ポイント平均所要時間 - 3.6ポイント片道運賃 - 6.6ポイント計 + 6.7ポイントで、対仙台駅がわずかに優勢の結果となります。従って、阿武隈急行における「福島圏」の北端は、丸森駅の一駅南に位置するあぶくま駅ということになります。あぶくま駅は、宮城県における阿武隈急行南端の駅で、駅所在地が含まれる丸森小学校羽出庭(はでにわ)分校の通学区域や阿武隈川の対岸に位置する耕野(こうや)、大張といった地域が駅勢圏に入ります。人口は、2,000人前後といったところでしょうか。白石市近辺と同様、宮城県には食い込んでいるものの、どうにもパッとしない地域にしか影響の及ばない「福島圏」なのであります。
2012.01.30
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前回の日記において、白石駅と福島、仙台両駅との関係を見た場合、所要時間と運賃では福島駅有利だが運行本数が仙台方面の方が倍以上多いために仙台駅の方が行きやすい=利便性が高いとの結論を書きました。ですが、白石市内と福島、仙台両駅とを結ぶ公共交通機関は、白石駅を経由する東北本線の他にも白石蔵王駅を経由する東北新幹線もあり、こちらに関しては、白石蔵王駅を起終点とする仙台方面への列車の設定はありません。従って、東北本線で見られたメリットが消滅することになり、結果、白石蔵王駅は、所要時間、運賃共に有利な福島駅が優勢を保つことになります。以下結果を示すと、運行本数が【対福島駅】運行本数 上下40本平均所要時間 12分片道運賃 1,410円(自由席特急券代840円を含む)【対仙台駅】運行本数 上下40本平均所要時間 14分片道運賃 1,580円(自由席特急券代840円を含む)なので、指標は、【対福島駅】運行本数 ± 0.0ポイント平均所要時間 + 7.7ポイント片道運賃 + 5.7ポイント計 +13.4ポイント【対仙台駅】運行本数 ± 0.0ポイント平均所要時間 - 7.7ポイント片道運賃 - 5.7ポイント計 -13.4ポイントとなります。また、白石駅で接続する路線バスの沿線地域においても、福島駅優勢となる可能性があります。といっても、国道113号線経由で七ヶ宿町中心部とを結ぶ七ヶ宿町営バスの場合のみなのですが、同路線は上下10本しか運行されていないので、白石駅を発つ列車がどれだけたくさん運行されていようが、七ヶ宿方面と福島、仙台の両駅とを結ぶ運行パターンは、最大で10パターンしか存在しません。従って、白石駅での運行本数の優位性が完全に減殺されることになるのです。なお、実際にシミュレートして見ると、【対福島駅】運行本数 上下10本平均所要時間 1時間56分片道運賃 770円【対仙台駅】運行本数 上下10本平均所要時間 1時間52分片道運賃 940円と、仙台方面の方が列車運行本数の多さに伴い白石駅での待ち時間が短くなるため所要時間が短くなるものの、片道運賃の差額は埋めようがないことから、指標もまた、【対福島駅】運行本数 ± 0.0ポイント平均所要時間 - 1.8ポイント片道運賃 + 9.9ポイント計 + 8.1ポイント【対仙台駅】運行本数 ± 0.0ポイント平均所要時間 + 1.8ポイント片道運賃 - 9.9ポイント計 - 8.1ポイントと、福島駅優勢の結果となります。また、白石市小原地区南部から七ヶ宿町西部の湯原(ゆのはら)地区にかけての国道113号線は桑折町から延びている羽州街道と重なるので、歴史的由縁の面においても福島県に近い地域でもあります。なお、白石駅で接続する路線バスには宮城蔵王・遠刈田温泉とを結ぶミヤコーバスの便もありますが、こちらに関しては、仙台駅から東北自動車道村田IC経由で同方面とを結ぶ高速バスも走っており、運行本数は両者とも同数の上下20本、所要時間や片道運賃は福島駅⇒白石駅⇒遠刈田温泉の乗り継ぎが乗車時間だけでも70分前後、1,450円かかるのに対し、高速バスは所要時間こそ70分前後なものの運賃は片道で1,200円、往復利用ならかなり割引が効いて1,700円(つまり片道実質850円)となるため、仙台優勢の結果となります。上記までの結果を踏まえると、白石市近辺における「福島圏」の範囲は、白石市内では越河駅が所在する越河及び東北本線沿線で白石駅よりも越河駅の方が近い斎川、白石蔵王駅が所在する大鷹沢、旭町及びこれに隣接する大平(おおだいら)坂谷、国道113号線沿道の小原の各地区が該当し、更に七ヶ宿町の全域が加わるという形になるかと思います。ただし、七ヶ宿町湯原地区は実距離的には福島駅よりも山形駅の方が近くなるので、「福島圏」に加えていいかどうか微妙な一面はあります。ちなみに、上記の地区の人口は、約9,000人。面積は400km2ほどあるのですが大半が山地であり、白石蔵王駅周辺を除けば市街地らしいものもありません。せっかく県庁が県域の北に偏している(苦笑)のに、北に隣接する県で影響力を発揮できないのも、福島県民としてはちょっと悔しい気持ちがします。
2012.01.28
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昨年11月30日の日記で、「ある地域から周辺の都市へと公共交通機関で向かう場合、どちらの都市の方が行きやすいか?」という命題を強引に数値化するという企画をやりました。実はこの結果に微妙に納得できなくて、その後、福島県及び近隣各県において「福島駅と近隣の県の代表駅のどちらが行きやすいか?」ということを、時間を見つけては地道に調べておりました。その結果がある程度まとまったので、当ブログの開設10周年記念企画(?)として、今日から十数回に分けて発表しようかと思います。もっとも、毎日こんなテーマで日記を書き続けるのもしんどいので、数日おきに思い出したように書くような形になると思いますが(苦笑)第1回目は、東北本線下り方面において、福島駅の方が行きやすい駅と仙台駅の方が行きやすい駅との境界はどこか? について、考察していきたいと思います。まず、この区間におけるデータを、簡単に示します。東北本線の福島~仙台間の距離は、79.0キロ。中間点は東白石駅と北白川駅との間、東白石駅から1.3キロ仙台寄りの地点となります。距離は運賃に反映されるので、東白石駅からの運賃は福島駅まで650円、仙台駅まで740円となり、逆に北白川駅では福島駅まで740円、仙台駅まで650円となります。所要時間についても同様の傾向が出ており、直通する列車においては東白石駅が福島駅まで37~38分に対し仙台駅まで45分前後を要するのに対し、北白川駅では福島駅まで42~43分に対し仙台駅まで40分前後と逆転します。ところが、運行本数については、東白石駅の一駅福島駅寄りにある白石駅を境として、福島方面が上下36本(うち快速上下6本)なのに対し、仙台方面は上下81本(うち快速上下6本)と倍以上の差をつけています(平日の場合。以降の論考でも平日ダイヤで統一します)。従って、白石駅より南側(越河駅以南)では各指標で福島駅有利、逆に北白川駅以北では仙台駅有利と言えますが、白石、東白石の両駅では運賃、所要時間では福島有利、運行本数では仙台有利となり、果たしてどちらが優勢なのだか瞬時には判別がつきません。そこを強引に数値化しようと考えた訳です。一応、苦し紛れに以下のように考えました。白石駅を例にとると、福島、仙台各駅へのデータは、下記の通りとなります。【対福島駅】運行本数 上下36本(うち快速上下6本)平均所要時間 34分片道運賃 570円【対仙台駅】運行本数 上下81本(うち快速上下6本)平均所要時間 48分片道運賃 740円ここで、非常に乱暴なやり方ですが、対両駅の各指標の平均値を示すと、運行本数 上下58.5本(うち快速上下6本)平均所要時間 41分片道運賃 655円となります。この平均値に対して、対両駅の指標がどのぐらい勝っているのか、あるいは劣っているのかをポイントで示せば、ある程度の傾向は掴めるのではないか、と思うのです。もっとも、利便性を図る上で重要視されるべきファクターは人によって異なるでしょうが、ここでは運行本数、平均所要時間、片道運賃の3指標について各々が等価であると仮定して算出することにします。すると、【対福島駅】運行本数 -38.5ポイント平均所要時間 +17.1ポイント片道運賃 +13.0ポイント計 - 8.4ポイント【対仙台駅】運行本数 +38.5ポイント平均所要時間 -17.1ポイント片道運賃 -13.0ポイント計 + 8.4ポイントとなり、運行本数の多さがものを言って「白石駅は福島駅よりも仙台駅の方が行きやすい」という結論が導き出されます。こんな具合に、福島県及び近隣各県の鉄道、高速バス、路線バスの各路線について、マニアックに調べてみました。今後も飽きずにお付き合いくださると嬉しいですが、誰もついてこないかも…
2012.01.27
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