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2007.01.05
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カテゴリ: カテゴリ未分類
次の日は僕の歌うドイツ歌曲の演奏会だった。
僕がホールに到着した時には若い男性のロシア人ピアニストが演奏しており、少しの間客席で聴いてみた。
音が何というかロシア独特のもので、割鐘のような強い濁った響きを出しそれが不思議な魅力を感じさせる。
やはりこちらの人々の強い筋肉の音に聴こえた。
今から演奏するドイツ歌曲は、ずっと繊細でロシア音楽とは全く違う醍醐味のものであり、おまけにテノールの訓練を始めたばかりの僕のか弱い声で果してロシアの観客を少しでも楽しませることが出来るのだろうか。
初めから抱えていた不安が突然大きく膨らみ、逃げ出したい気持ちになって来た。
こういった場合、今自分の持てる器の中でどのようにマイワールドをつむぎ出すか、一人ぼっちで行う舞台の上での自分との対話である。
僕は伴奏者と共に観客の前に出て行き、大きな拍手を受けた。
何処の場所で歌おうと、そこがどこの国であろうと、自分のドイツ歌曲を頑固に守り演奏出来なければならない。

しかしそううまくは行かない。
人間には誰にでも「他人に良く思われたい、良いところを見せたい」という欲がある。
ある程度はそれも必要であろうが、過ぎると自分を見失う。
自分のために歌う歌というものを僕も少しずつ体で覚えて行かなくてはならない。 
つづく





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最終更新日  2007.01.06 07:02:07
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