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2008.10.28
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カテゴリ: カテゴリ未分類
・10.28.火
村上春樹の「海辺のカフカ」もそろそろ終盤に差し掛り、幾つかの別々のラインが四国で交差し、一つの主題にまとまった。
それは確かにスリリングで、深い少年とその母親の其々の長く耐えて来た苦悩と、そこから離脱する瞬間を読者に考えさせながら押し付けがましくなく書いている。
しかしそこに微妙に、頭の良い人独特な計算された仕組みのようなものが感じられなくもない。
以前ドイツに居たころ、学生寮の中で日本人だけで集まって飲み会をしたことがある。
その寮に住んでいるのは、ケルン大学で博士号を取るため在学していた慶応、早稲田、明治、東大といいった大学院の学生たちだった。
そういった連中と話したのは初めてのことで、随分彼らの話し方が聞き慣れないものだったことを憶えている。
思考自体が全く違うのだ。
何事も頭の中に締まってある公式に当てはめて答えを探す。

そして飲み会は互いの知識のひけらかし会いで張り詰めた空気に包まれ、楽しいというものからは程遠いものだった。
村上春樹の文章からも、少し同じような匂いがしなくもない。
その飲み会の中の一人(早稲田の学生)が「村上春樹は、読者がどうやったら喜ぶかを知っている。
すべて仕組まれているから僕は嫌いだ」と言っていた。
まるで自分と同じ思考で動くから、安らぎがないと言わんばかりであった。
確かに公式とパズルと読者の感情を巧みに操る技術の精密な綾、そしてそのからくりを見破れないようにする技を感じなくもない。
それに明らかに、海外の読者を意識している(あるいは何かの賞を)。
でもそれを踏まえてもやはり所々に見え隠れする著者の素顔と感情があるのも本当であり、やはりすてきな作品だと僕は思う。
頭の良い人たち独特な狭苦しさが、そこに有るにしてもである。





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最終更新日  2008.10.29 00:03:48
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