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・3、31、日
武田氏も新しく出した本の宣伝に躍起である。
そんな意地悪な言い方は良くないかもしれない。
彼にとってはそれだけ心血を注いで書いた本なのだろう。
でも確かに「正しいとは何か」というテーマは興味深いものである。
彼の本を読まずして、販売PRをいやらしいと批判するのもフェアではないだろう。

以前大きな会社の経営に成功された年配の知り合いが居た。
バブルを乗り切り、ピンチを乗り切ってこられた彼の経営能力には感服したものだった。
だが彼の行動を見ていると、趣味で関わる団体にも何百万の寄付を行ったり、やらなくてもいいばら撒きをあちこちで行ったりしていた。

そして彼は団体内で特別扱いとなり待遇を受ける。
結局それがやりたいのだ。
彼は何を言っても金の前には人は屈せずには居られないことを人生を通して痛感して来ているのだ。
常識を超えた寄付も「これは運営に対する好意です」と言えば、渡す方ももらう方も正当な理由が付く。
そして本人は、金の力で人を跪かせられる自分の力に酔いしれたいのだ。
この資本主義社会においては、それこそが一生の幸せと認識されている。
万人の意識が同じくしてここに常識化している以上、その幸せの定義を無視するのはなかなか難しいことである。
しかしこれが我々の本来の生きる意味のようなものを見失って行く原因であろう。
財力を手に入れるためには何でもやるようになって行く。
武田氏が言うように、よしんば財力を手に入れたとしても、それを果てしなく膨らますことへの欲、失うことへの恐怖にいらいらせねばならないのかもしれない。
でも僕の思うに、富の手に入れ方に幸せ、不幸せの分かれ道があるのではないか。

自分がやりたいとは思わない仕事でたくさんの給料をもらって生きるのと、情熱を傾けられる仕事をして貧乏生活をするのとでも、僕はやはり後者を選ぶだろう。
「正しいがいったい何の役に立つ、正しいを頑固に守り続けて生活が豊かになるか?
ボーナスが増えるか?何の心配のない老後が約束されるか?」と誰もが憤ることだろう。
そう、人からバカなやつだと言われながら何故に「正しい」を貫かねばらない。
それは自分の中だけのポリシーであり、死ぬ時に満足を得るだけの施ししか与えられない。

すべての国が核を持ち、兵と軍備を整えて「いつでも」という空気が世界を覆っても、核も兵も持たず殺し合う間違いに何処までも強い意志を持ち続け、他国から蜂の巣にされても満足に微笑んで死んで行く。
それと同じぐらい勇気と意志が必要とされる殺伐とした現代なのだ。

ーーーーーーーー
「正しい」とは何か?時事編(1) フェアー
「tadashii_okanenyusutdyno.115-(10:28).mp3」をダウンロード
欧米の言葉で「フェアー」、日本では明治天皇の「万機公論に決すべし」。
今日(2xxx-xxx-xxxxx)の報道では、そんな記事にあふれていた。原子力委員会の委員が自分
のNPOに電力会社のお金をたっぷりもらっていたこと、ある大学が厚労省の研究費を
秘匿していたこと、全柔連が何もやらずに補助金だけをもらっていたこと、それにア
メリカで日本の自動車部品メーカーがカルテルであげられたこと、の4つだ。
原子力委員だから電力からお金をもらっても法律には違反しない。厚労省からの研究
費をどのように発表するのか明確に決まっていない可能性もある。柔道の指導などの
報酬はもともとそれほど報告などの必要は無かったのだろう。そして、日本では企業
の談合で消費者により高いものを交わせる談合は普通のことだった。
でも、それはすでに明治時代に否定されている。それが「万機公論に決すべし」とい
う明治天皇の五箇条のご誓文である。すべてはオープンにして、そこで公明正大に戦
おうでは無いか、人間だから心の中に闇はあるけれど、それを抑えて日本のために「
万機公論に決すべし」ということだ。
人間は自分で額に汗して働き(額に汗するというのは肉体労働だけではない)、正当
にお金をもらい、それを正しく使う。決して後ろめたいお金を他人からもらわず、も
らったお金はつねに公開できる・・・そう言う「正しい人生」を送ることが幸福につ
ながるという確信がいる。
もし、自分に力があれば稼ぎは多くなるだろうし、もしそれほどでも無ければ貧乏に
甘んじることもある。でもそれはそれでよい。ただ、一つだけ望みたいことは「フェ
アーである」ということだ。
私は「誰々の子どもだから・・・」というのは嫌いだ。なぜ嫌いかというと、「誰々
の子ども」だけなら良いけれど、有名な親を持たない子どもはそれだけハンディを負
うことになる。だから、フェアーでは無い。かならず競争はフェアーに、オープンに
したいものだ。
ところが不思議なことに、力があったり恵まれたりしている人はとかく「ズル」をす
る。ズルをする必要の無い人ほどズルをする。江戸末期、日本に来たスイスの遣日使
節団長アンベールは日本の印象について、
「若干の大商人だけが、莫大な富を持っているくせに更に金儲けに夢中になっている
のを除けば、概して人々は生活のできる範囲で働き、生活を楽しむためにのみ生きて
いるのを見た。」
と書いている。
人間は不思議なものだ。「大商人は莫大な富を持っているくせに更に金儲けに夢中」
であり、「人々は生活のできる範囲で働き、生活を楽しむためにのみ生きている」。
幸せは普通の人にあり、大商人は不満と恐怖のなかで生涯を終えるだろう。
「正しい」ということは人に幸福を与える。
(平成25年3月25日)
武田邦彦





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最終更新日  2013.03.31 12:11:02
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